結線というテーマ(その10)
私がいたころのステレオサウンドの試聴室で使っていたラインケーブルは、
ほとんどが1.5mか2m程度の長さだった。
それ以上の長さのケーブルももちろんあったけれど、
実際に使う長さのケーブルといえば、上記の長さのものだった。
この程度の長さのラインケーブルでも、(その9)で書いていることが発生する。
ラインケーブルのシールドで、
コントロールアンプとパワーアンプのアースは接続されている。
どんな導体にも直流抵抗はあるわけで、
たとえ1.5m程度のケーブルであっても、わずかとはいえ直流抵抗は存在する。
それからインダクタンスもある。
とはいえ、コントロールアンプ側のアースとパワーアンプ側のアースとに、
どれだけの電位差が生じるというのだろうか。
それから左右のケーブル間には浮遊容量が存在する。
1.5mもしくは2mのケーブルの引き回しかたによっては、
二本のケーブルの距離が広いところと狭いところができる。
それによって浮遊容量は変化する。
それでも左右チャンネルのシールドの電位は同じ、といってよい。
同電位間では浮遊容量の影響はほぼない。
こんなふうに考えていっても、理屈に合わないほどの音の変化が確かにある。
ならば試してみるしかないわけで、
ラインケーブルのシールドを、片側だけ外す。
コントロールアンプ側を外すのか、
パワーアンプ側を外すのか。
それは別項「境界線」で書いているように、
それぞれのアンプの領域をどこまでと考えるかによって違ってくる。
私はコントロールアンプの領域は、出力に接がれるラインケーブルまで、
つまりパワーアンプの入力端子まで、と考えるので、
ここではパワーアンプ側のシールドを外すことになる。
RCAプラグを開けて、シールド側にハンダづけされているのを外すだけである。
もちろん、こうしてしまうと音は基本的には出ない。
ただし機器間の浮遊容量があるため、実際には音が鳴ることがある。
そしてラインケーブルの他にアース線を用意して、
コントロールアンプとパワーアンプを接ぐ。