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Date: 9月 10th, 2013
Cate: ジャーナリズム, 岩崎千明, 瀬川冬樹

「オーディオABC」と「カタログに強くなろう」(その5)

「オーディオABC」と「カタログに強くなろう」のすごさがわかるようになるには、時間が必要である。

だからといって、オーディオをやり始めたばかりのとき、
いいかえれば、このふたつのすごさがよく理解できないときに、
「オーディオABC」と「カタログに強くなろう」を読まなくてもいい、というわけではなく、
むしろ、その反対で、できるだけ早い時期に読んでいて、
とにかく理解しようとすることがなければ、その後、どれだけ時間が経とうとも、
「オーディオABC」と「カタログに強くなろう」のすごさはわからない。

「オーディオABC」、「カタログに強くなろう」からオーディオの基礎・基本を出発することで、
いずれ、そのことがどれだけ確かなことをベースにしてこれたのか、に気づくだろうし、
「オーディオABC」、「カタログに強くなろう」を書くことの難しさにも気づくはずだ。

だから、岡先生が「オーディオABC」ではなくて「オーディオXYZ」と題した方がよかった、
と書評に書かれたことが理解できる。

「オーディオABC」も「カタログに強くなろう」も、
タイトルからも、編集者の意図からかも、掲載されたFM誌の性格からしても、
オーディオ入門者に向けてのものではあったはずだ。

けれど、一般的な意味でのオーディオ入門書では、決してない。

Date: 9月 9th, 2013
Cate: ジャーナリズム, 岩崎千明, 瀬川冬樹

「オーディオABC」と「カタログに強くなろう」(その4)

私のところに届いた「カタログに強くなろう」の記事は20本あった。
音をテーマにした記事、スピーカーをテーマにした記事が含まれた20本だった(1本抜けがあった)。

いつごろ連載されていたのかは、送ってくださった人もはっきりとはわからない、とのことだった。
記事の裏側に載っていた広告からすると、この連載の1974年ごろから始まったと思われる。

「カタログに強くなろう」、
いかにも初心者向きの記事といったタイトルのつけ方だ。

中学生のときの私だったら、素直に読み始めただろう、
でもこの記事が届いたときの私は、もう中学生ではなかった。
この「カタログに強くなろう」を書かれていたころの岩崎先生よりも、少し上になっていた。

軽い気持で読み始めた。
おもしろい。
私が担当編集者だたら、「カタログに強くなろう」というタイトルはつけない、と思った。

中学生のとき読んでいたら、いま感じている、この連載の価値はよくわからなかったはずだ。

岡先生は瀬川先生の「オーディオABC」について、
「オーディオXYZ」と題した方がよかった、と書かれている。

正直、「オーディオABC」を最初に読んだ時は、
岡先生がそこまでいわれることが、まだ理解できていなかったところもあった。

「オーディオABC」はたしかにいい本である。
でも、中学生にとっては、岡先生と同じようには読み込むことができていなかった。
それは、ふり返ってみれば、当然のことなのだが、当時はそんなことには気がつかない。

瀬川先生の「オーディオABC」、岩崎先生の「カタログに強くなろう」のすごさがわかるようになるには、
読み手側の勉強と経験が必要だということだ。

Date: 9月 9th, 2013
Cate: ジャーナリズム, 岩崎千明, 瀬川冬樹

「オーディオABC」と「カタログに強くなろう」(その3)

「オーディオABC」は、FM fanでの、同タイトルの連載記事に訂正・補足をくわえ、まとめたものである。
「オーディオABC」のあとがきには、昭和51年12月、とある。
1976年、この年の秋に、私は「五味オーディオ教室」に出逢っている。

オーディオ関係の雑誌を読み始めるようになったのは1976年の冬あたりからなので、
FM fanでの連載を直接読んでいたわけではない。

音楽之友社がそのころ出していた週刊FMは、FM fanのライバル誌であった。
「オーディオABC」がいつごのFM fanから載り始めたのか、は調べていない。
でも上巻、下巻、二冊にまとめられているのだから、一年くらい連載ではなかっただろう。
もっと長かったはずだ。

FM fanも週刊FMも月二回の発行だから、一年で24回の連載。
そうなると数年は連載が続いていた、と思われる。

とすると、週刊FMに連載されていた「カタログに強くなろう」と「オーディオABC」は連載時期が重なる。

「カタログに強くなろう」は岩崎先生による連載記事のタイトルである。
この連載があったことも、実は当時は知らなかった。
「カタログに強くなろう」を知ったのは、たしか2011年の冬ごろだった。

このブログを読んでくださっている方から連絡があり、
記事の切り抜きを送ってくださったおかげである。

Date: 9月 8th, 2013
Cate: ジャーナリズム, 岩崎千明, 瀬川冬樹

「オーディオABC」と「カタログに強くなろう」(その2)

瀬川先生の著書「オーディオABC」の上巻は1977年に共同通信社から出ている。
この本の、岡先生に書評がステレオサウンド 43号に載った。
(下巻の書評は46号に載っている。こちらも岡先生)

43号は、私にとって3号目のステレオサウンド。
オーディオに興味をもちはじめて、基礎的・基本的なことを吸収し始めたばかりのころにあたる。

岡先生はこう書かれていた。
     *
オーディオ・ブームといわれる現象がおこる以前からオーディオ入門書といった類の本はいくつかあり、最近はブームを反映してますますその種の出版物が賑わっている。瀬川さんの新著も「オーディオABC」というタイトルから、そういう類の本だろう、とおもわれてしまうにちがいないが、内容はさにあらずだ。むしろ「オーディオXYZ」と題した方がよかった。つまり音楽再生のためのオーディオのゆきつかなければならぬところを想定して、それがオーディオ機器のハード的なふるまいとどんな風にむすびついているのかというアプローチがこの本の根本的なテーマになっている。こういう書き方というものはやさしいようで実は一ばんむずかしいのである。
     *
この書評を読んで、「オーディオABC」は買わなければならない本、
しっかりと読まなければならない本だとおもい、手に入れた。

運が良かった、とおもう。
オーディオの、ごくはじめの段階で、「オーディオABC」という本があった。

オーディオにはいったきっかけとして、まわりにオーディオをやっていた人がいたから、
ということを挙げる人は少なくない。
そういう場合、まわりの人が、いわば師匠となることが多い(らしい)。

らしい、と書いたのは、私にはまわりにそういう人がいなかった。
だから、本だけが頼りだった。質の高い本だけを頼りにしていた。

Date: 9月 8th, 2013
Cate: ジャーナリズム, 岩崎千明, 瀬川冬樹

「オーディオABC」と「カタログに強くなろう」(その1)

書店に行くと、オーディオ関係のムックがときどき置いてある。
ステレオサウンド、音楽之友社など、これまでもいまでもオーディオ関係の本を出している出版社のではなく、
ほとんどオーディオとは関係のない出版社から出ているのを見れば、
オーディオは、いま静かなブームなのか、とも思えてくる。

売れないとわかっている本をわざわざ出すわけはないのだから、
出す側としては、ある程度の部数はさばけるという読みがあってのことだろう。
ならば、いまはオーディオ・ブームが始まろうとしているのか、ともいえることになる。

オーディオ・ブームが始っている(始まろうとしている)、として、
私がオーディオに関心をもち始めたころと、つい比較してしまうと、
いわゆる入門書と呼べる存在がないことに気づく。

いまはインターネットがある。
だから、そういった本はいらない、という見方もある。
けれど一冊の本で、きちっとまとめられた内容のものは、やはり必要である。

難しい理屈はいらない、いい音が簡単に得られればいい、と考える人に、
基本から丁寧に説明していってくれる内容の本は不必要だろうが、
そうでない人、さらに深い領域に自らはいっていこうとしている人にとっては、
昔もいまも必要とすべき本がなければならない。

とはいえ、昔も、そういう本がいくつもあったわけではない。
けれど、少なくともいくつかはあった。

Date: 8月 14th, 2013
Cate: 山中敬三

深く頷いたこと(山中敬三氏の場合)

ステレオサウンド 50号に
岡先生と黒田先生の対談による「ステレオサウンドに登場したクラシック名盤を語る」が載っている。

そこにこうある。
     *
黒田 第17号にセル指揮のウィーン・フィルのベートーヴェンの「エグモント付帯音楽」(ロンドン盤)がのっていますが、これも印象にのこっている一枚です。いつでしたかオーディオ評論家の方々のリスニングルーム訪問をやったときに、山中さんがこれをかけてくださったんですけれど、そのときの音というのは、いまでも忘れられませんね。
 山中さんの装置だと、このレコードはとくにいい音になるでしょうね。
     *
残念ながら、私は山中先生のリスニングルームでセルの「エグモント」は聴いていない。
でも、黒田先生の話されたことは、よくわかる。

きっとそうだ、とおもう。

Date: 8月 10th, 2013
Cate: 菅野沖彦

菅野沖彦氏のスピーカーのこと(その13)

1996年12月に発売になったラジオ技術 1997年1月号には、ある特殊なスピーカーのことが記事になっていた。
記事のタイトルは、
 イギリスからやって来たスピーカの革命児
 〝曲げ振動〟を制御するNXTシステムとは
である。

4ページのインタヴュー記事で、
まず、このNTXシステムを完成させたイギリスのヴェリティ(Verity)研究所であり、
このNTXシステムを普及させるためにつくられた会社、New Transducers Ltd、
この会社の副会長ノーマン・クロッカー、技術担当重役ヘンリー・アズマ両氏が登場する。

記事の最初に登場する図は、
QUAD ESL63の振動板の様子を捉えたもの、
その下にはNTXシステムの振動板の様子を捉えたものが載っている。

ESL63はご存知の通り中高域以上に関しては、
同心円状に電極を配置し、それぞれの電極に異る時間差を与えることで、
疑似的な球面波を実現したものである。

ESL63の図はきれいな波紋ができている。
一方のNTXシステムは、いくつもの山谷がランダムにできている。
しかも山の高さ、谷の深さは均一ではなくバラバラである。

何の説明もなく、この二枚の図を見せられたら、
NTXシステムのほうは、分割振動を捉えたものと勘違いしそうになる。

Date: 8月 10th, 2013
Cate: 菅野沖彦

菅野沖彦氏のスピーカーのこと(その12)

そんなソフトドーム型トゥイーターを、マッキントッシュのXRT20は片チャンネルに24個使っている。
ピストニックモーションこそが全てだ、と考えている人にとっては、
XRT20というスピーカーシステムは、なぜ、こんなふうに設計したのか、理解できないだろうし、
評価の対象にもはいってこないのではなかろうか。

事実、口汚く否定的なことを言う人を知っている。
その人には、その人なりの理想のスピーカー像というのが確固としてあって、
その理想像という基準からみれば、XRT20はどうしようもないスピーカーシステムということになるのだろう。

けれど自分の中にあるスピーカーの理想像だけが、評価の基準として存在しているわけではない。
別項で書いているように、ラジオ技術のトーンアームの評価に、
長岡鉄男氏は、テクニクスのEPA100を基準とすればRS-A1はダメだし、
反対にRS-A1を基準にすればEPA100がダメということになる、と発言されるように、
たったひとつの基準──それは往々にしてひとりよがりに陥りがちである──、
それだけでオーディオを捉えてしまうことの怖さと愚かさを、
XRT20を認めない人は気がついていないのかもしれない。

とにかくXRT20はソフトドーム型トゥイーターを24個使っている。
しかも24個のトゥイーターの配線は、24個すべてが同一条件になるようにはなされていない。

ピストニックモーションの正確さをどこまでも求めるのであれば、
スピーカーユニットを複数個使う場合には、すべてのユニットは並列接続が原則となる。
それもできることならそれぞれのユニットへの配線の長さも等しくしたい、ということになる。

ところがXRT20の24個のトゥイーターは直列と並列接続の両方がなされているし、
インピーダンスを合せるために抵抗も挿入されている。

ソフトドーム型トゥイーターの多数使用ととともに、この点を絡めて、
だからXRT20は……、と否定的なことをいうのは難しいことではない。

けれど、実はここにこそXRT20でゴードン・ガウが実現したかったものが隠れている、
ということに私は1996年12月にやっと気がつくことができた。

Date: 8月 10th, 2013
Cate: 菅野沖彦

菅野沖彦氏のスピーカーのこと(その11)

振動板がピストニックモーションからはずれて、脹らんだり縮んだりするのであれば、
逆のこの現象を積極的に利用すれば、ソフトドーム型は呼吸体のような発音方式になるのではないか、
そんなことを考えたこともある。

そのためには伸縮性に富む柔らかい素材でなければならないし、
実際に振動板と磁気回路との間の空間の空気圧の影響を逆手にとることがそううまく行くとは思えない。
でも、ひとつの可能性として、ソフトドーム型だから、それも口径の小さなトゥイーターであれば、
呼吸体の実現も考えられないことではないはずだ。

私が考えつくことだから、誰かがすでに考えていたのではないか、と調べてみれば、
ビクターのSX3のトゥイーターが、まさにそうだった。
40年も前に出ていたわけだ。

当時のSX3の広告をみれば、このことについて触れてあるし、測定結果も載っている。
だからといって、トゥイーターが受け持つすべての帯域において、
ビクターが広告で謳っているとおりに動作しているわけではない、とも考えられる。
それでも振動板を正確に前後に振動させるというピストニックモーションにだけとらわれることなく、
音を出すということを捉え直したビクターのスピーカー・エンジニアリングは高く評価したい。

そして思うのは、同じドーム型の振動板をもつとはいえ、
ソフトドームとハードドームとでは、振動板そのもののモードを考えると、
まったく同じには捉えることはできないものということである。

Date: 8月 10th, 2013
Cate: 菅野沖彦

菅野沖彦氏のスピーカーについて(その10)

マッキントッシュのスピーカーシステム、XRT20を特徴づけている24個のトゥイーター・コラム、
ここに搭載されているのはソフトドーム型ユニットである。

ソフトドーム型ユニットの振動板は、柔らかい素材を使っている。
ドーム型ユニットの構造として、ドーム状の振動板の後方には磁気回路がある。
振動板と磁気回路の間にある空間は、それほど大きなものではない。

つまりこのことは振動板の変形につながっていく。
長島先生から以前きいているし、
ステレオサウンド 111号で、
イギリスのATCのウィリアム・グッドマンにインタヴューされている長島先生の記事でも語られている。
     *
ソフトドーム型ユニットは、ボイスコイルが引っ込んだときに中の空気圧が上がってドームが脹らみ、プラスの音圧が出る。逆にボイスコイルが前へ出たときは、ドームがへっこむわけです。普通、振動板は弾力性があるため、ボイスコイルと空気圧の変移に対してヒステリシスを持つことが多いのです。これがおそらく、いわゆるソフトドームの音を決定づけているのではないかと思うのです。
     *
振動板後方の磁気回路に空気圧を一定にするための逃げ道(孔)を開けるという手法もあるが、
ソフトドーム型ユニットの振動板の動きは、ピストニックモーションの追求には不向きといえよう。

ボイスコイルにプラスの信号が加わるとボイスコイルは前に出る。
ピストニックモーションのユニットであれば、振動板も前に動く。
けれどソフトドーム型ユニットでは振動板とドームとの間に空間が拡がろうとするために、
空気孔がなければ空気圧は低下して、柔らかい振動板であれば内側に向けて変形することは考えられる。

反対にマイナスの信号が加われば後に動こうとするわけで、その空間は縮まろうとするため、
空気圧は増し、振動板は膨れることになる。

Date: 7月 22nd, 2013
Cate: 岩崎千明

いつの日か、ジャズ・オーディオを!

「Harkness」はある事情から、エンクロージュアの補修が必要である。けっこう大がかりになると思う。
ネットワークも片チャンネルの、ウーファー側のコンデンサーがもうだめになっているし、
全体的にこまかな手直しも必要である。

トーレンスのTD224もヘッドシェルがない。
これをなんとかしないとカートリッジが取り付けられない。
一般的なSME-オルトフォン型とはコネクター部のピンの形状が異るのだ。

eBayにTD224のヘッドシェルが、少し前に出品されていたけれど、
300ドルぐらい値がつけられていた。
けっこうなお値段である。

それにトーンアーム・レストもないので、これもなんとかしないといけない。

とにかく完全な状態に仕上げるには、少し時間がかかる。
じっくりと手直ししていく。
いつになるのか、いまのところはっきりとしない。

すべて満足のいく手直しができたら、
どこかのスペースを短期間借りて、
一週間とか一日だけとか、そういうほんとうに短い期間だけ、
岩崎先生の残された「音」の片鱗でも、ひとりでも多くの人に聴いてもらえるようにしたい。

二年後かそれとも三年後、もしかするともっとかかるかもしれない。
アンプも、できればクワドエイトのLM6200Rを手に入れたいし、
パワーアンプもExclusive M4と組み合わせたい。
こんなことまでやろうとすると、もっと時間はかかる。
それでも、いつの日か、ジャズ・オーディオを! と誓っている。

Date: 7月 21st, 2013
Cate: 岩崎千明, 終のスピーカー

終のスピーカー(2013年7月21日)

Tour de Franceの100大会の初日(6月29日)に、岩崎先生のお宅にはじめて伺った。
Tour de Franceの100大会の最終日の今日、また行ってきた。

意図的にそうしたわけではなく、たまたまTour de Franceの日程と重なっただけ。
今日は岩崎先生の原稿をお借りしてきた。
手書きの原稿が数本、
手書きの原稿をコピーしたものが数本、
それから口述筆記の原稿も数本あった。
その他に週刊FMで連載されていた「カタログに強くなろう」の記事のコピーが揃っていた。
この連載記事の一部はある方から譲っていただいてすでに入力が終っているが、
歯抜けが今回すべて埋めていけることになる。

実は、この他にいただいてきたモノがある。
パイオニアのチューナー、Exclusive F3だ。

外形寸法、W46.8×H20.6×D38.9cm、重量は16.6kg。
これだけの大きさで、受信できるのはFMだけである。

いまFM放送はインターネットを介して聴ける。
音にこだわらなければiPhoneでも聴くことができる。
こうなってきたこの時代に、プリメインアンプ並の大きさと重量のチューナーで聴く。

それはどこか時代錯誤といわれるのかもしれない。
チューナーは一台、なにか欲しい、と思ってはいた。
できればバリコンを使ったチューナーがいい。

インターネットで聴けるものを、わざわざチューナーを介して聴くわけだから、
チューナーならではの音の美しさをもっているモノで聴きたい、
そんなことを漠然と思っていた。
それに別項で「チューナー・デザイン考」を書いている。
そのためにも最高級のチューナーでなくともいいけれど、
すくなくとも手もとに置いときたくなるモノがいい──、
そこにExclusive F3がやって来た。岩崎先生が使われていたExclusive F3である。

Date: 7月 7th, 2013
Cate: 岩崎千明, 終のスピーカー

終のスピーカー(求めるものは……)

岩崎先生のモノだった「Harkness」で、いまは聴いている。

だからこそ忘れてはならないと改めて心に刻むのは、
「古人の跡を求めず、古人の求めたる所を求めよ」である。

Date: 7月 2nd, 2013
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(Electro-Voice Ariesのこと・続余談)

「Aries」は、そこにちょこんといた、という感じだった。
何の知識をもたない、オーディオにも無関心の人ならば、スピーカーとは思わないだろう。
小さめの収納家具にみえてもおかしくない。

「Aries」の写真を撮ってきた。
外観だけでなく、特徴的なサランネットを外して、スピーカーユニットの写真も、
それからリアバッフルの入力端子まわりの写真も。

サランネットの中央には、小さな把手がある。
これがあるから家具に見えて、観音開きできるように思ってしまうのだが、
引いてもびくともしない。
よく見ると左右に蝶番もない。
結局、横に寝かせて底板にあるネジ4本を外さなければ、スピーカーユニットとの対面はできない。

「Aries」は3ウェイ。
使われているユニットに、これといった特徴的なところはない。
コーン型の3ウェイ構成だった。

Ariesについて、岩崎先生は「豊麗な低音」とスイングジャーナルに書かれている。
このサイズで、そういう低音が鳴り響くのか。
それゆえのフロアー型なのか。

とにかく音は聴けなかった。
でも次回訪れる時には、音が聴ける。
「Aries」の音が、豊麗な低音が、きっと聴ける。

この続きは、だからその時が来たら、書いていく。

Date: 7月 2nd, 2013
Cate: 岩崎千明

岩崎千明氏のこと(Electro-Voice Ariesのこと・余談)

エレクトロボイスのAriesを見たことはなかった。
いったい、このスピーカーシステムは、日本にどのくらい輸入されたんだろうか。

岩崎先生の評価が高かったことは知ってはいたから、
Ariesの音を聴きたい、と思いつづけていても、実物すらお目にかかったことがなかった。

昔は中古を扱っているオーディオ店にもよく足を運んでいたいたけれど、
最近はめったに行かなくなってしまった。
もっと行くようにしよう、とは思いはじめている……。

そういう具合だから、最近の中古を扱っているオーディオ店には、
Ariesがあったりする可能性もあるかもしれない。
でも可能性は低い、と思う。

先週末、やっとAriesを見ることができた。
「Harkness」を迎えに行った際に、ずうずうしくも「Ariesを見たい」と言って、見せていただいた。
こういうときは、もう遠慮はしない。
ここで遠慮していては、もうAriesと対面することもないかもしれないし、
なんといっても岩崎先生が使われていた「Aries」が見れる機会は、そうそうないのだから。

「Harkness」は一階にあった。
「Aries」は二階にあった。
階段をあがり、ドアのすぐ隣に左チャンネル用の「Aries」があった。

外形寸法はなんとはなく頭にはいっていたから、
だいたいのサイズは想像がついていたけれど、
それでも実物を見て、まず思ったのは「小さい」だった。

小さいけれど、このスピーカーはフロアー型なのだ。