Date: 8月 10th, 2013
Cate: 菅野沖彦
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菅野沖彦氏のスピーカーのこと(その12)

そんなソフトドーム型トゥイーターを、マッキントッシュのXRT20は片チャンネルに24個使っている。
ピストニックモーションこそが全てだ、と考えている人にとっては、
XRT20というスピーカーシステムは、なぜ、こんなふうに設計したのか、理解できないだろうし、
評価の対象にもはいってこないのではなかろうか。

事実、口汚く否定的なことを言う人を知っている。
その人には、その人なりの理想のスピーカー像というのが確固としてあって、
その理想像という基準からみれば、XRT20はどうしようもないスピーカーシステムということになるのだろう。

けれど自分の中にあるスピーカーの理想像だけが、評価の基準として存在しているわけではない。
別項で書いているように、ラジオ技術のトーンアームの評価に、
長岡鉄男氏は、テクニクスのEPA100を基準とすればRS-A1はダメだし、
反対にRS-A1を基準にすればEPA100がダメということになる、と発言されるように、
たったひとつの基準──それは往々にしてひとりよがりに陥りがちである──、
それだけでオーディオを捉えてしまうことの怖さと愚かさを、
XRT20を認めない人は気がついていないのかもしれない。

とにかくXRT20はソフトドーム型トゥイーターを24個使っている。
しかも24個のトゥイーターの配線は、24個すべてが同一条件になるようにはなされていない。

ピストニックモーションの正確さをどこまでも求めるのであれば、
スピーカーユニットを複数個使う場合には、すべてのユニットは並列接続が原則となる。
それもできることならそれぞれのユニットへの配線の長さも等しくしたい、ということになる。

ところがXRT20の24個のトゥイーターは直列と並列接続の両方がなされているし、
インピーダンスを合せるために抵抗も挿入されている。

ソフトドーム型トゥイーターの多数使用ととともに、この点を絡めて、
だからXRT20は……、と否定的なことをいうのは難しいことではない。

けれど、実はここにこそXRT20でゴードン・ガウが実現したかったものが隠れている、
ということに私は1996年12月にやっと気がつくことができた。

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