「オーディオABC」と「カタログに強くなろう」(その1)
書店に行くと、オーディオ関係のムックがときどき置いてある。
ステレオサウンド、音楽之友社など、これまでもいまでもオーディオ関係の本を出している出版社のではなく、
ほとんどオーディオとは関係のない出版社から出ているのを見れば、
オーディオは、いま静かなブームなのか、とも思えてくる。
売れないとわかっている本をわざわざ出すわけはないのだから、
出す側としては、ある程度の部数はさばけるという読みがあってのことだろう。
ならば、いまはオーディオ・ブームが始まろうとしているのか、ともいえることになる。
オーディオ・ブームが始っている(始まろうとしている)、として、
私がオーディオに関心をもち始めたころと、つい比較してしまうと、
いわゆる入門書と呼べる存在がないことに気づく。
いまはインターネットがある。
だから、そういった本はいらない、という見方もある。
けれど一冊の本で、きちっとまとめられた内容のものは、やはり必要である。
難しい理屈はいらない、いい音が簡単に得られればいい、と考える人に、
基本から丁寧に説明していってくれる内容の本は不必要だろうが、
そうでない人、さらに深い領域に自らはいっていこうとしている人にとっては、
昔もいまも必要とすべき本がなければならない。
とはいえ、昔も、そういう本がいくつもあったわけではない。
けれど、少なくともいくつかはあった。