「オーディオABC」と「カタログに強くなろう」(その4)
私のところに届いた「カタログに強くなろう」の記事は20本あった。
音をテーマにした記事、スピーカーをテーマにした記事が含まれた20本だった(1本抜けがあった)。
いつごろ連載されていたのかは、送ってくださった人もはっきりとはわからない、とのことだった。
記事の裏側に載っていた広告からすると、この連載の1974年ごろから始まったと思われる。
「カタログに強くなろう」、
いかにも初心者向きの記事といったタイトルのつけ方だ。
中学生のときの私だったら、素直に読み始めただろう、
でもこの記事が届いたときの私は、もう中学生ではなかった。
この「カタログに強くなろう」を書かれていたころの岩崎先生よりも、少し上になっていた。
軽い気持で読み始めた。
おもしろい。
私が担当編集者だたら、「カタログに強くなろう」というタイトルはつけない、と思った。
中学生のとき読んでいたら、いま感じている、この連載の価値はよくわからなかったはずだ。
岡先生は瀬川先生の「オーディオABC」について、
「オーディオXYZ」と題した方がよかった、と書かれている。
正直、「オーディオABC」を最初に読んだ時は、
岡先生がそこまでいわれることが、まだ理解できていなかったところもあった。
「オーディオABC」はたしかにいい本である。
でも、中学生にとっては、岡先生と同じようには読み込むことができていなかった。
それは、ふり返ってみれば、当然のことなのだが、当時はそんなことには気がつかない。
瀬川先生の「オーディオABC」、岩崎先生の「カタログに強くなろう」のすごさがわかるようになるには、
読み手側の勉強と経験が必要だということだ。