Archive for category アクセサリー

Date: 12月 1st, 2015
Cate: アクセサリー

オーディオ・アクセサリーとデザイン(その4)

メガネをかけるかかけないかで、顔の印象は違ってくる。
どんなデザインのメガネかによっても、その人に似合っているのかどうかにもよって、
印象の変化も度合も違ってくる。

鼈甲のフレームのメガネを私はかけたことがないけれど、
鼈甲のフレームは装飾品としてのつくりと価格であるから、
かけた時の印象の変化は、そうでないフレームのメガネよりも大きい。

かけてもかけなくても顔の印象がほとんど変らない鼈甲のフレームが仮にあったとしたら、
それはあまり売れない商品になってしまうのかもしれない。

ここでマークボーランドのスピーカーケーブルの話に戻ると、
マークボーランドのケーブルを鼈甲のフレームのように見ているのか……、と思われるかもしれない。

そうともいえるし、そうでないともいえる。
何もマークボーランドのケーブルだけではない。
非常に高価で、そのケーブルに替えると音が大きく変化するという印象を与えるケーブル、
それらをすべてをふくめてのことなのだが、
私にとってマークボーランドがその手のケーブルで最初に聴いたモノだっただけに印象が強い。

スピーカーケーブルがなければ、どんなに高価なアンプであろうと、
どんなに優れたスピーカーシステムであろうと、それらはただの金属の箱、木製の箱でしかない。
スピーカーケーブルで両者が接がれて、
アンプはアンプとしての、スピーカーはスピーカーとしての仕事を果すことになる。

スピーカーケーブルは必需品であり、
その意味では私のように視力の悪い者にとってのメガネと同じともいえなくもない。

その必需品によって顔の印象が変り、音が変化する。
ここにデザインとデコレーションの違いが入りこむような気がする。

Date: 2月 2nd, 2015
Cate: アクセサリー

オーディオ・アクセサリーとデザイン(その3)

以前、メガネを増永眼鏡のMP649にしたことを書いた。
当時は日本橋の三越本店別館のメガネサロンでしか川崎先生デザインのフレームは扱ってなかった。

東京にいったい何軒のメガネ店があるのかしらないが、1998年の時点では、ここだけだった。

ここでメガネをつくったことのある人なら、
その他多くのメガネ店とは雰囲気が違うことを感じとられると思う。

私がMP649を取り寄せてもらうため注文していた横で、
あるご婦人が完成したメガネを受けとっていた。
そのとき支払っていた金額に驚いた。

私が購入しようとしていたMP649とレンズを合わせた値段の約十倍もの金額だった。
MP649が届いて受けとりにいったときも、別のご婦人がメガネを受けとっていた。
その金額は、さらに高額だった。

どちらも鼈甲のフレームだった。
鼈甲のフレームは、こんなにも高額なのか、と驚きながらも、
ふたりのご婦人にとってメガネはアクセサリー(装飾品)でもあることに気づいた。

私の視力は左右とも0.1くらい。
メガネがないと不便である。
つまり私にとってメガネは医療機器であり、生活必需品である。
そこに装飾品の要素は求めていない。

けれど世の中には装飾品としてのメガネを買う人もいる。
そんなことを書きながらも、お前も川崎先生デザインのフレームというこだわりをもっているじゃないか、
と読まれている方にいわれそうだが、ここにデザインとデコレーションの違いがあると考える。

Date: 2月 2nd, 2015
Cate: アクセサリー

オーディオ・アクセサリーとデザイン(その2)

マークボーランドがどういう会社なのか、いまも詳しくことはしらない。
最初なんとなくアメリカの会社なのかなぁ、と思っていたけれど、どうも日本で作っていたようだ。
その後、どうなったのかも知らない。

私が聴くことができたマークボーランドの製品は、
朝沼予史宏さんがステレオサウンド試聴に持ち込んだスピーカーケーブルだけである。
このケーブルの型番すら知らない。

外観はおよそ30万円もするケーブルには見えなかった。
それでも朝沼さんは自信たっぷりにみえた。
とにかくマークボーランドのケーブルを、何も知らないわれわれ編集部に聴かせたかったようだった。

当時使っていたケーブルからマークボーランドのケーブルに変える。
その音の違いは、それまで聴いてきた、さまざまなケーブルの音の違いよりもはるかに大きかった。
これだけはっきりと音が変化すれば、ケーブルで音は変らないと頑なに主張しつづけている人でも、
あっさりとケーブルによる音の変化を認めるであろう。
そのくらいの違いがあった。

逆にいえば、スピーカーケーブルを変えただけでこれだけの音の変化があることが不自然に思えるほどだった。

スピーカー側からみれば、アンプとはスピーカーケーブルを含めた範囲であり、
パワーアンプ側からみればスピーカーとはスピーカーケーブルを含めたものが負荷となる。
だからスピーカーケーブルが変ることでアンプにとっての負荷も変動する。

マークボーランドのスピーカーケーブルに変えての音の差は、
アンプの動作が、それまでのスピーカーケーブル使用時とは違ってきているような、そんな印象さえあった。

だからといってすべての点で、それまで使っていたケーブルよりも良かったのかというと、
そこに関しては保留をつけたくなっていた。
それに30万円という価格にも、当時はかなりの抵抗を感じていた。

Date: 2月 1st, 2015
Cate: アクセサリー

オーディオ・アクセサリーとデザイン(その1)

デザインとデコレーション。
デコレーションとは装飾である。
装飾品はアクセサリーである。

オーディオにもいくつものアクセサリーが存在する。
ケーブルもそのひとつだし、インシュレーター、スタビライザー、クリーナー、その他多くのジャンルのモノが、
いまオーディオ・アクセサリーとして流通している。

オーディオアクセサリーは音元出版の季刊誌の誌名なので、
ここではオーディオ・アクセサリーと表記する。

以前はオーディオ・アクセサリーは地味な存在だった。
いわば陰の存在のようでもあった。
価格もそれほど高価なモノはほとんど存在しなかった。

スピーカーケーブルにしても、ほとんどのケーブルが1mあたり数百円だった。
そこにマークレビンソンのHF10Cが登場した。
1mあたり4000円だった。

ステレオサウンド 53号に瀬川先生が「1mあたり4千円という驚異的な価格」と書かれているくらい、
当時としては非常に高価なスピーカーケーブルであった。
いまでは安価なスピーカーケーブルということになってしまうけれども。
これが1979年だった。

1980年代の後半になって、朝沼予史宏さんがステレオサウンドの試聴室に、
マークボーランドという、初めてきくブランドのスピーカーケーブルを持ち込まれた。
長さは3mくらいだった。
朝沼さんによると、ペアで30万円ほどだということだった。

3mだとしよう。
HF10Cだと片チャンネル12000円、ペアで24000円。
マークボーランドのスピーカーケーブルはHF10Cの十倍ほどの価格である。