オーディオ・アクセサリーとデザイン(その4)
メガネをかけるかかけないかで、顔の印象は違ってくる。
どんなデザインのメガネかによっても、その人に似合っているのかどうかにもよって、
印象の変化も度合も違ってくる。
鼈甲のフレームのメガネを私はかけたことがないけれど、
鼈甲のフレームは装飾品としてのつくりと価格であるから、
かけた時の印象の変化は、そうでないフレームのメガネよりも大きい。
かけてもかけなくても顔の印象がほとんど変らない鼈甲のフレームが仮にあったとしたら、
それはあまり売れない商品になってしまうのかもしれない。
ここでマークボーランドのスピーカーケーブルの話に戻ると、
マークボーランドのケーブルを鼈甲のフレームのように見ているのか……、と思われるかもしれない。
そうともいえるし、そうでないともいえる。
何もマークボーランドのケーブルだけではない。
非常に高価で、そのケーブルに替えると音が大きく変化するという印象を与えるケーブル、
それらをすべてをふくめてのことなのだが、
私にとってマークボーランドがその手のケーブルで最初に聴いたモノだっただけに印象が強い。
スピーカーケーブルがなければ、どんなに高価なアンプであろうと、
どんなに優れたスピーカーシステムであろうと、それらはただの金属の箱、木製の箱でしかない。
スピーカーケーブルで両者が接がれて、
アンプはアンプとしての、スピーカーはスピーカーとしての仕事を果すことになる。
スピーカーケーブルは必需品であり、
その意味では私のように視力の悪い者にとってのメガネと同じともいえなくもない。
その必需品によって顔の印象が変り、音が変化する。
ここにデザインとデコレーションの違いが入りこむような気がする。