オーディオ・アクセサリーとデザイン(その3)
以前、メガネを増永眼鏡のMP649にしたことを書いた。
当時は日本橋の三越本店別館のメガネサロンでしか川崎先生デザインのフレームは扱ってなかった。
東京にいったい何軒のメガネ店があるのかしらないが、1998年の時点では、ここだけだった。
ここでメガネをつくったことのある人なら、
その他多くのメガネ店とは雰囲気が違うことを感じとられると思う。
私がMP649を取り寄せてもらうため注文していた横で、
あるご婦人が完成したメガネを受けとっていた。
そのとき支払っていた金額に驚いた。
私が購入しようとしていたMP649とレンズを合わせた値段の約十倍もの金額だった。
MP649が届いて受けとりにいったときも、別のご婦人がメガネを受けとっていた。
その金額は、さらに高額だった。
どちらも鼈甲のフレームだった。
鼈甲のフレームは、こんなにも高額なのか、と驚きながらも、
ふたりのご婦人にとってメガネはアクセサリー(装飾品)でもあることに気づいた。
私の視力は左右とも0.1くらい。
メガネがないと不便である。
つまり私にとってメガネは医療機器であり、生活必需品である。
そこに装飾品の要素は求めていない。
けれど世の中には装飾品としてのメガネを買う人もいる。
そんなことを書きながらも、お前も川崎先生デザインのフレームというこだわりをもっているじゃないか、
と読まれている方にいわれそうだが、ここにデザインとデコレーションの違いがあると考える。