オーディオ・アクセサリーとデザイン(その2)
マークボーランドがどういう会社なのか、いまも詳しくことはしらない。
最初なんとなくアメリカの会社なのかなぁ、と思っていたけれど、どうも日本で作っていたようだ。
その後、どうなったのかも知らない。
私が聴くことができたマークボーランドの製品は、
朝沼予史宏さんがステレオサウンド試聴に持ち込んだスピーカーケーブルだけである。
このケーブルの型番すら知らない。
外観はおよそ30万円もするケーブルには見えなかった。
それでも朝沼さんは自信たっぷりにみえた。
とにかくマークボーランドのケーブルを、何も知らないわれわれ編集部に聴かせたかったようだった。
当時使っていたケーブルからマークボーランドのケーブルに変える。
その音の違いは、それまで聴いてきた、さまざまなケーブルの音の違いよりもはるかに大きかった。
これだけはっきりと音が変化すれば、ケーブルで音は変らないと頑なに主張しつづけている人でも、
あっさりとケーブルによる音の変化を認めるであろう。
そのくらいの違いがあった。
逆にいえば、スピーカーケーブルを変えただけでこれだけの音の変化があることが不自然に思えるほどだった。
スピーカー側からみれば、アンプとはスピーカーケーブルを含めた範囲であり、
パワーアンプ側からみればスピーカーとはスピーカーケーブルを含めたものが負荷となる。
だからスピーカーケーブルが変ることでアンプにとっての負荷も変動する。
マークボーランドのスピーカーケーブルに変えての音の差は、
アンプの動作が、それまでのスピーカーケーブル使用時とは違ってきているような、そんな印象さえあった。
だからといってすべての点で、それまで使っていたケーブルよりも良かったのかというと、
そこに関しては保留をつけたくなっていた。
それに30万円という価格にも、当時はかなりの抵抗を感じていた。