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Date: 6月 3rd, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その36)

とはいえ、いま4343/4341を、優秀なパワーアンプで、内蔵ネットワークを通して鳴らすとして、
52μFのコンデンサーまわりの配線を変えて……、ということは無理に近い。

4344、4345のネットワークはプリント基板上に部品を配置して、
それをケースにおさめることはしていないから、手を加えることは比較的簡単なのだが、
4343のネットワーク3143は、金属ケースにコンデンサーやコイルをおさめた上でピッチで固めてあるからだ。
配線をやりかえようとしたら、このピッチをすべて取り除いて、という作業が必要になり、
そうしてしまったら、もうピッチを元に戻すことはできないからだ。

4343の場合、バイアンプ駆動も可能としているため、4341のネットワーク3141よりもスイッチは増えているし、
配線も多少複雑になっている。
バイアンプをやらずに内蔵ネットワークでの音を追求していくつもりであるなら、
いっそネットワークを作った方がいいだろう。

回路図はJBLのサイトからダウンロードできる。
それに4343に、4344、4345のネットワークをもってくるというのも、おもしろいと思っている。

3143と同じ回路でも、部品が異り、52μFのコンデンサーの扱いをどうするかにより、音はずいぶん変化する。
それにサイズ考で述べたアースの配線を行うことも可能になる。

Date: 6月 3rd, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その35)

4341が登場したのは1974年。
マークレビンソンのLNP2が登場して話題になりはじめたころである。

このとき市販されていたパワーアンプは、いまのモノのようなドライブ能力の高さを持ってはいなかった。
トランジスターアンプならではのドライブ能力が実現されはじめたのは、もうすこしあとの、
たとえばスレッショルドのデビュー作の800Aや、GASの、これもデビュー作のAmpzilla、
それからSAEのMark2500あたりからであり、
さらに一段飛躍するのが、マークレビンソンのML2L、スレッショルドのSTASIS1、
SUMOのThe Power、The Goldからだろう。

そして1980年代にはいり、オールリボン型、そして低インピーダンスのスピーカー、アポジーの出現により、
より低インピーダンスでも安定した動作を保証するパワーアンプが登場してくる。

パワーアンプの能力は確実に向上している。
いま、4343でも4341でもいい、
どちらかを優れたパワーアンプで鳴らすとしたら、52μFの挿入位置も変ってくるだろう。
通常のネットワークと同じように、ミッドハイとトゥイーターへの信号は、
この52μFを通らなくてもすむ配線に変更されるだろう。それでも、システムとしてのまとまりはくずれないはずだ。

事実、1981年に登場した4345では、
4343の52μFにあたる60μF(実際は20μFのコンデンサーを3個並列接続)の取り扱いは、
通常のネットワークと同じだ。
ミッドハイ、トゥイーターへの信号は、このコンデンサーを経由していない。

52μFのコンデンサーの存在は、あくまでも1970年代なかばにおける、
4343/4341をとりまく環境での答えであったはずだ。時代が変れば、その答えも変っていく。

Date: 6月 3rd, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その34)

4340のネットワーク3140に52μFのコンデンサーがないように、
4343のネットワーク3143でも、バイアンプ駆動にした場合には、52μFのコンデンサーはショートされる。

どちらもミッドバスのレベルコントロールは、そのまま生きることになる。

ウーファー駆動に専用アンプを設けることで、ウーファーのローパスフィルターのための5.4mHの、直列に入るコイルと、
72μFの、並列にハイルコンデンサーは、ウーファーへの信号系路から切り離される。
5.4mHも72μFも、それぞれコイル、コンデンサーとしては、かなり大きな値である。
これらの部品を信号が通らないこと、
それにウーファーと、それより上の帯域のアースの配線が独立することなどにより、
適切に調整されたバイアンプ駆動の音は、内蔵ネットワークで全帯域を鳴らす音に較べ、
ひとことであらわすなら、よりクリアーになる。

ウーファーの、つまり低音の透明度がぐんと増す。
そのことによって、上の帯域を、それまでのウーファーの鳴り方に合わせる必要はなくなる。
音をすこしぼけさせることで、システムとしてのまとまりを重視しなくてもいいことになる。

4343も4341もウーファーのカットオフ周波数は、300Hzと低い。
この低さが、コイルとコンデンサーに大きな値を要求しているし、そのための難しさが音にも影響している。

つまりカットオフ周波数が低い4343/4341だけに、バイアンプ駆動のメリット(ようするに音の変化)は、
より高いカットオフ周波数の4331/4333よりも大きいといえるはずだ。

4331と4333の開発担当はグレッグ・ティンバースだが、
もし3ウェイの4333をパット・エヴァリッジが担当していたとしても、
2420のローカットのためのコンデンサーを経由させて、2405を鳴らすという方法はとらないような気がする。

52μFの挿入位置は、
内蔵ネットワークで鳴らす際のシステムとしてのまとまりを重視してのことだ、と私は考えている。

Date: 6月 3rd, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その33)

さらに、そう考えるようになった理由は、もうひとつある。
ステレオサウンド別冊、HIGH-TECHNIC SERIES Vol.3
「世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方」のなかにある。

巻頭座談会で、井上卓也、黒田恭一、瀬川冬樹の三氏が、JBLの4343のトゥイーターをバイアンプ駆動して、
JBLの2405、パイオニアのPT-R7、テクニクスの10TH1000、YLのD1800、マクソニックのT45EX、
ピラミッドのT1の比較試聴をやられている。

2405をバイアンプしたときの音について語っているなかで、瀬川先生の、こんな発言がある。
「4343の内蔵のネットワークを通したもので聴くとある程度音がぼやけるんですね。」
さらに「4343を全音域マルチアンプドライブしている人がいてその音も聴いているのではっきり言えるのだけれど、
内蔵ネットワークというのは、ユニットの音をずいぶん甘くしているということですね。」

井上先生は「それが、4343というシステムをつくっているということでしょう。」と語られ、
さらに「今度の実験で2405のもっている限界みたいなものがわかりましたね。」と続けられている。

それに対して瀬川先生は「内蔵ネットワークがその辺のところをうまくコントロールしていることも言えますね。」と。

バイアンプ駆動、マルチアンプ駆動すれば、内蔵ネットワークを通した時も、音の鮮度が増すから、
そんなこと当然じゃないか、という反論が聞こえてきそうだが、
この試聴に参加されている瀬川先生も、井上先生も、そんなことは百も承知のうえでの発言であることを、
はっきりしておきたい。その前提を無視して、この記事を読んでも何になる。

Date: 6月 3rd, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その32)

4343のネットワーク3143と、4343の前身4341のネットワーク3141は、
バイアンプと通常ドライブの切換えスイッチの有無だけの違いで、
回路構成、定数の違いことは、前に書いているとおりだ。

ここで注目したいのは、4343と4341のネットワークについてではなく、
4341と、そのバイアンプ専用モデルの4340のネットワークの違いについて、である。
4340のネットワーク3140には、52μFのコンデンサーはない。
52μFのコンデンサーは、ミッドバス(2121)用の低域カットのためのものだから、
エレクトロニッククロスオーバーネットワークによって、
ウーファー用と、それ以上の帯域用にと分割しているわけだから当然といえば、当然なのだが、
3140は、52μF同様、省略できる部品をじつは省略していない。
ミッドバスのレベルコントロール用のアッテネーターである。

レベルコントロールは、エレクトロニッククロスオーバーネットワーク側で行うわけだから、
ミッドバス用のレベルコントロールは必要ない。
52μFは省略して、レベルコントロールは残したまま。

4340と同じ、4ウェイ構成でバイアンプ駆動仕様の4350には、ミッドバスのレベルコントロールはない。
4340/4341、4350、それに4343は、すべて開発・設計には同じパット・エヴァリッジ。

4350には、前に書いているとおり、レベルコントロールはトゥイーター2405用がひとつだけついてる。
4350と4340/4341の開発時期は、わりと近い。

このへんのことを考え合わせていくと、52μFの挿入位置についての答えが見えてくる。

Date: 6月 1st, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その31)

52μFのコンデンサーの挿入位置を、あえて通常とは違うところにしているのは、
特性やユニットの保護の意味合いではなく、上ふたつの帯域(ミッドハイの2420とトゥイーターの2405)の音を、
あえて甘くしている、というか、すこしぼけさせるためだ、と考えている。

こういう表現すると、なぜ、メーカーが、わざわざ音を悪くするのか、と疑問ももたれるだろう。
だが、スピーカーシステムとしての完成度は、
必ずしも個々のスピーカーユニットの性能をできるかぎり発揮すればいい、というものではない。

ウーファーとミッドバスはコーン型、ミッドハイとトゥイーターはホーン型。
同じホーン型でも2420と2405はダイアフラムの形状が異る。2405はリング状になっている。
ホーンの構造も、異る。
ウーファーとミッドバスのユニットも、コーン型でも、2121はコンケーブ型で、
センターキャップの形状が、通常型の2231Aとは異る。

これらのスピーカーユニットを、ストレートにそのまま鳴らし切ったとしたら、
システムとしてのまとまりは破綻とまではいかなくても、かなり難しい面が出てくるはずだ。

4343を、スピーカーシステムとして仕上げるにあたって、
多少音を甘くすることで音の鮮度感やストレートさは犠牲にしても、
トータルとしてのまとまりを重視したのではなかろうか。

このことが、4343が、素性的にはいいものをもつアンプであれば、
普及価格帯のプリメインアンプでもそこそこ鳴ってくれたことにもつながっているはずだ。

Date: 5月 28th, 2010
Cate: 4343, JBL

4343とB310(その7)

セレッションのSL6の登場が、小型スピーカーシステムの存在を大きく変えた。

LS3/5Aや、ヴィソニックのDavid50などの小型スピーカーシステムは、
大型のモノからは得にくい性質(たち)の音をたやすく出してくれるし、
音量を限定さえすれば、大型スピーカーシステムの上にさりげなく置き、黙って、何も知らない人に聴かせれば、
その質の高さに、大型のほうが鳴っていると錯覚させることはできる。

ただ、ひっそりという音量において、であり、ボリュウムをあげていけば、破綻の色が濃くなってきた。

ところがSL6は、むしろひっそりとした音量で映えるスピーカーというよりも、サイズの小ささを意識させない、
ゆえに小ささゆえに成り立っていた特色は薄れている。

LS3/5AとSL6、どちらが優れた小型スピーカーシステムかは、一概には判断しにくい。

深夜、ひっそりとした音量でインティメイトな雰囲気で、好きな歌い手のレコードを、
その吐息がかかるような至近距離で、濃密に感じとりたいとき、
ややヘッドフォン的な聴き方に近くなるものの、LS3/5Aの醸し出す世界は、おそらくいまでも魅力的だろう。

SL6以降、そのエキスパンドモデルのSL600(SL700)、
セレッションと同じイギリスのアコースティックエナジーのAE1(2)……などが登場した。
これらのスピーカーシステムは、LS3/5A的小型スピーカーではない。
そして、空気の硬い空間においても、本領を発揮できるスピーカーシステムに成長している。

Date: 5月 23rd, 2010
Cate: 4343, JBL

4343とB310(その6)

部屋の空気の硬さは、感覚的なものと書いたが、
部屋の容積とスピーカーの振動板の変位量の比率で考えれば、
やはり部屋の空気の硬さは、容積によって多少の違いはあるといっていいのかもしれない。

部屋の空気の硬さが感覚的なものであったとしても、実際にそうであったとしても、
その結果として、当時話していたのは、狭い部屋(つまり空気が硬い部屋)ほど、
大型のスピーカーシステムを導入すべき、ということだった。

小型のスピーカーシステムでは、硬めの空気を十分に動かすことができない。
これも感覚的ではあるが、空気の硬さにスピーカー側が、やや負けてしまう。

ただ、このことについて話しあっていたのは、1982年ごろのこと。
このときの小型スピーカーといえば、ロジャースのLS3/5Aが代表的な存在だった。
セレッションのSL6の登場以降、次々と現れてきた小型スピーカーシステムは、存在しなかったときの話である。

LS3/5Aはいいスピーカーではあるが、あくまで手の届くほどの近距離に置いて、
ひっそりとした音量で聴いた時に、その魅力を発揮する。帯域もそれほど広いわけではない。
音像も、うまく鳴らした時は精巧なミニチュア的印象で、限定された枠の中での再現ということになる。

「サイズ考」でも書いたように、同じ小型スピーカーでも、LS3/5AとSL6は出発点が異る。

Date: 5月 21st, 2010
Cate: 4343, JBL

4343とB310(その5)

実際に体験したわけではないけれど、傅さんから以前聞いた話では、ヨーロッパの石造りのりっぱな部屋に、
スパイクつきのスタンドに設置された小型スピーカーシステムは、
サイズを意識させない鳴り方をする、とのことだ。

スパイクを通じてがっしりした床に伝わる振動が、石造りの構造と重量にうまく作用しての結果らしい。

小型スピーカーシステムをスパイクつきのスタンドで使っていても、日本での一般的な部屋と、
ヨーロッパのそういう部屋とでは、スパイクの意味合い(効用)に違いが生じても不思議ではない。
木造の部屋では、特にそうだろう。

小さな部屋といってもさまざまだ。
木造の和室では、音はこもらずに逃げていくことが多いのに対し、
頑丈な造りのマンションの洋室では、音が逃げていく場があまりない。

私がステレオサウンドで働くようになったとき、先輩編集者の話によく出ていたのが、部屋の空気の硬さ、だった。
同じ容積の小さな部屋でも、木造和室とマンションの洋室とでは、空気の硬さは違うはず。
音が逃げていくことの多い木造和室の空気は比較的やわらかく、密室に近い部屋では硬いはず。
同じような造りの部屋でも、容積が違えば、とうぜん広い空間のほうが空気はやわらかい。

あくまでも感覚的な話ではあるが、部屋の空気の硬さの違いがあるだろう、ということだった。

Date: 5月 21st, 2010
Cate: 4343, JBL, 瀬川冬樹

4343とB310(その4)

瀬川先生は、ステレオサウンドの創刊号、同じ年(1966年)に出たラジオ技術の増刊「これからのステレオ」に、
フルレンジからはじめ、2ウェイ、3ウェイ、そして最終的には4ウェイに発展させる記事を発表されている。
同じ内容のものは、1977年にステレオサウンド別冊の High Technic シリーズVol.1にも書かれている。

この記事を書かれた時、瀬川先生は木造の六畳の和室がリスニングルームだった。
この空間でクォリティの高い音を聴こうとして、瀬川先生が考えられたのは、
部屋のサイズに見合った小型スピーカーシステムによるものではなく、
その正反対の大型のスピーカーシステムを持ち込むことを提案されている。

小さな空間に大型のスピーカーシステムを持ち込む込んで聴くなんて、
自己満足でしかなく、いい音なんて得られっこない、と主張する人もいる。

そういわれる理由もわからないわけではないが、私も瀬川先生同様、
小さな部屋こそ大型スピーカーシステムの方が、表情豊かな音を聴けることが多いと考えている。

そして、響きの豊かな部屋であれば、むしろ広い部屋でも小型スピーカーシステムが、
意外にも朗々と鳴ってくれることもある。

少なくとも部屋の広さが……、ということは考えずに、本気で惚れこめるスピーカーがあれば、
そしてそれを購入できるのであれば、導入すべき、といいたい。

Date: 5月 8th, 2010
Cate: 4345, JBL, 瀬川冬樹

4345につながれていたのは(その3)

4345を、生きておられたら瀬川先生は、どのくらいの期間を使われていたのだろうか、
そして、アンプは、どう変化していったのだろうか、そしてCDの登場以降は……、ということを夢想してみる。

マーク・レヴィンソンがはなれてしまったマークレビンソンのNo.シリーズの一連のアンプは、
評価はしながらも自家用として使われなかっただろう。

クレルのPAM2とKSA100の組合せへの評価は、きいてみたかった。

チェロの、オーディオ・スイート、オーディオ・パレットとパフォーマンスの組合せについては、
その価格のことについて、なんらか触れられただろう。
トーレンスのリファレンスのところで、
「であるにしても、アーム2本、それに2個のカートリッジがついてくるにしても、これで〆めて358万円、と聞くと、やっぱり考え込むか、唸るか。それとも、俺には無縁、とへらへら笑うことになるのか。EMT927までは、値上げになる以前にどうやら買えたが、『リファレンス』、あるいはスレッショルドの『ステイシス1』あたりになると、近ごろの私はもう、ため息も出ない、という状態だ。おそろしいことになったものだ。」
と書かれていることを思い出すからだ。

チェロの組合せは、リファレンスの価格を、はるかに超えている。
手もとに1980年代のステレオサウンドが、ほぼ揃った。
ぱらぱらめくってみても、これだ! ピンとくるものがない。

ほんと、何を使われただろうか……。
(個人的には、クレルのPAM2とKSA100のような気もする)

Date: 4月 12th, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その30・ 続余談)

4343の公称出力音圧レベルは、93dB/W/m。
ウーファーとミッドハイの、800〜900Hzにあるクロスオーバーポイントの音圧は、72dBぐらい。その差は約21dB。

意外に高い値だと思うし、800〜900Hzはミッドバスの受持帯域にかかっている。
つまり4343において、ミッドバスの帯域は、2121の音だけでなく、
2231Aと2420、これら3つのユニットの音が混ざり合ったものであると、グラフは示している。

ステレオサウンドに掲載されているクロスオーバー特性を見ると、
ミッドバスだけ、他の帯域(ユニット)にくらべ、5dBほど音圧レベルが低い。

測定条件については書かれていないが、とうぜんレベルコントロールは、
ミッドバス、ミッドハイ、トゥイーターすべて「0」のところにあわせてあるはずだ。

4343の周波数特性で、ミッドバスの帯域がひっこんでいるということはない。
ウーファーとミッドハイの干渉分も見込んでの、ミッドバスのレベル設定なのだろう。

Date: 4月 12th, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その30・余談)

2ウェイ構成のスピーカーシステムの場合、クロスオーバーポイントはひとつ。
3ウェイになると二つ、4ウェイでは三つだが、
実際には、2ウェイ以外のスピーカーシステムでは、クロスオーバーポイントは、増えることがある。

ネットワークの遮断特性、スピーカーユニットの周波数特性によっては、
となりあう帯域のユニットとのあいだではなく、
ひとつとんだ帯域のユニットとのクロスオーバーポイントがでてくる。

そのクロスオーバーポイントの-3dBや-6dBではなく、-20dBちかく減衰しているとはいうものの、
帯域分割をすればするほど、第二のクロスオーバーポイントは発生しやすくなる。

このことは以前からときおり指摘されていたことだが、実際の製品で、
個々の帯域の周波数特性を測定してデータが発表されることがほとんどなかったこともあって、
実際にグラフで確認する機会はなかったはずだ。

ステレオサウンド 52号に掲載されている4343のクロスオーバー特性グラフをみると、
ウーファーとミッドバス、ミッドバスとミッドハイ、
ミッドハイとトゥイーターのクロスオーバーポイントのほかに、
ウーファー(2231A)とミッドハイ(2420)のクロスオーバーポイントが、
800〜900Hzのあいだにあることがわかる。

ミッドバス(2121)とトゥイーター(2405)はどうかというと、
2121の、ネットワーク込みの周波数特性が、3kHzあたりから急激に減衰しているのことと、
2405も、8kHzあたりから下の帯域での減衰が急激なこともあって、
3.5kHzあたりでクロスしているかしていない、かといった感じである。

2121のレベルをいくらかあげれば、わずかにクロスするはずといった感じで、
2231Aと2420のクロスオーバーポイントよりも、さらに20dBほど低いレベルである。

Date: 4月 9th, 2010
Cate: 4343, JBL
2 msgs

4343における52μFの存在(その30)

ミッドハイ、トゥイーターのハイパス(ローカット)の減衰特性が、
この52μFのコンデンサーによって変化するかどうかだが、
まず影響を受けることはないと考えられる。

JBLが、4343の各ユニットの、ネットワークを経由した周波数特性をグラフで示してくれていれば……、と思い、
あれこれ探してみたが、少なくともネット上では見つけ出せなかった。

けれど、意外なところに,欲しいものは見つかった。
ステレオサウンドの52号の166ページに、インピーダンス特性とともに、
4343の、いわゆるクロスオーバー特性のグラフが載っている。

これをみれば一目瞭然だが、ミッドハイとトゥイーターの減衰特性が、
途中から変化して、より急峻になっている、ということはない。

もっとも、このグラフをみなくとも、4343のバイアンプ駆動時、4340では、
またくり返すことになるが、このコンデンサーはない。

ミッドハイ、トゥイーターの減衰特性に関係しているのであれば、
52μFのコンデンサーを使っているはずである。

それでは、いったい、なぜ52μFのコンデンサーを経由させているのだろうか。

Date: 4月 9th, 2010
Cate: 4343, JBL

4343における52μFの存在(その29)

まずミッドハイとトゥイーターの保護用として、この52μのコンデンサーを経由しているのであれば、
4343においてバイアンプ駆動、もしくは4340のネットワーク、3140でも、
この52μFのコンデンサーがあって当然なのに、
3140に、52μFのコンデンサーは、ない。

4340は、バイアンプ駆動にも関わらず、
ミッドバスのレベルコントロールを搭載しいてることは、すでに指摘している。
必要のない、それにわずかとはいえ音質を劣化させる要素となる、
そしてわずかとはいえコストアップにもなるミッドバスのレベルコントロールを残しているのだから、
スピーカーユニットの保護用として52μFのコンデンサーを経由させているのであれば、
3140にも、このコンデンサーの存在があってしかるべきだろう。

4343においても、バイアンプ駆動時にも、このコンデンサーを経由させるだろう。

ミッドハイ、トゥイーター用のネットワークは、当然のことだが、
コンデンサーが直列に入っている。
だから52μFという、ミッドハイ、トゥイーター用としては大容量のコンデンサーを経由させたからといって、
特別に保護用ということにはならない。