4343における52μFの存在(その33)
さらに、そう考えるようになった理由は、もうひとつある。
ステレオサウンド別冊、HIGH-TECHNIC SERIES Vol.3
「世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方」のなかにある。
巻頭座談会で、井上卓也、黒田恭一、瀬川冬樹の三氏が、JBLの4343のトゥイーターをバイアンプ駆動して、
JBLの2405、パイオニアのPT-R7、テクニクスの10TH1000、YLのD1800、マクソニックのT45EX、
ピラミッドのT1の比較試聴をやられている。
2405をバイアンプしたときの音について語っているなかで、瀬川先生の、こんな発言がある。
「4343の内蔵のネットワークを通したもので聴くとある程度音がぼやけるんですね。」
さらに「4343を全音域マルチアンプドライブしている人がいてその音も聴いているのではっきり言えるのだけれど、
内蔵ネットワークというのは、ユニットの音をずいぶん甘くしているということですね。」
井上先生は「それが、4343というシステムをつくっているということでしょう。」と語られ、
さらに「今度の実験で2405のもっている限界みたいなものがわかりましたね。」と続けられている。
それに対して瀬川先生は「内蔵ネットワークがその辺のところをうまくコントロールしていることも言えますね。」と。
バイアンプ駆動、マルチアンプ駆動すれば、内蔵ネットワークを通した時も、音の鮮度が増すから、
そんなこと当然じゃないか、という反論が聞こえてきそうだが、
この試聴に参加されている瀬川先生も、井上先生も、そんなことは百も承知のうえでの発言であることを、
はっきりしておきたい。その前提を無視して、この記事を読んでも何になる。