4343における52μFの存在(その35)
4341が登場したのは1974年。
マークレビンソンのLNP2が登場して話題になりはじめたころである。
このとき市販されていたパワーアンプは、いまのモノのようなドライブ能力の高さを持ってはいなかった。
トランジスターアンプならではのドライブ能力が実現されはじめたのは、もうすこしあとの、
たとえばスレッショルドのデビュー作の800Aや、GASの、これもデビュー作のAmpzilla、
それからSAEのMark2500あたりからであり、
さらに一段飛躍するのが、マークレビンソンのML2L、スレッショルドのSTASIS1、
SUMOのThe Power、The Goldからだろう。
そして1980年代にはいり、オールリボン型、そして低インピーダンスのスピーカー、アポジーの出現により、
より低インピーダンスでも安定した動作を保証するパワーアンプが登場してくる。
パワーアンプの能力は確実に向上している。
いま、4343でも4341でもいい、
どちらかを優れたパワーアンプで鳴らすとしたら、52μFの挿入位置も変ってくるだろう。
通常のネットワークと同じように、ミッドハイとトゥイーターへの信号は、
この52μFを通らなくてもすむ配線に変更されるだろう。それでも、システムとしてのまとまりはくずれないはずだ。
事実、1981年に登場した4345では、
4343の52μFにあたる60μF(実際は20μFのコンデンサーを3個並列接続)の取り扱いは、
通常のネットワークと同じだ。
ミッドハイ、トゥイーターへの信号は、このコンデンサーを経由していない。
52μFのコンデンサーの存在は、あくまでも1970年代なかばにおける、
4343/4341をとりまく環境での答えであったはずだ。時代が変れば、その答えも変っていく。