別項「タンノイはいぶし銀か」で、
東欧のオーケストラの音についてのコメントがあり、
そのことで思い出したことを少しばかり書いた。
書いてしばらくして、そういえばと、
テンシュテットも東ドイツ出身の指揮者だったことを思い出す。
黒田先生だったと記憶しているが、
テンシュテットの録音がEMIが出始めたころに、
テンシュテットを大きな氷山に喩えられていた。
氷山の一角といわれるように海面にあらわれているのは、ほんの一部で、
海中にはその何倍もの大きさが隠れている。
テンシュテットが、そのころ見せ始めたのは、まさしく氷山の一角で、
これからその全貌を、われわれにみせて(聴かせて)くれるであろう、と。
そんなことを読んだ記憶がある。
なるほどなぁ、と思いながら読んでいた。
私が買った(聴いた)テンシュテットの最初のレコードは、マーラーだった。
六番が最初だった。
そのころステレオサウンドの試聴室で何度となく聴いていたレーグナーのマーラーの六番。
テンシュテットの場合は、亡命して西欧のオーケストラを振ってもので、
そのころは、そのへんのことをあれこれ考えながら(比較しながら)、
聴くことはしていなかったし、考えてもいなかった。
テンシュテットのマーラーは、その後もいくつか聴いている。
けれどマーラーばかり、テンシュテットばかり聴いているわけでもないから、
テンシュテットのマーラーをすべて聴くことはなかった。
テンシュテットの名声は、私がそうやって聴いていたころも、
あとになって非常に高くなっていた。
でも、そのころはテンシュテットから遠ざかっていた。
二年ほど前だったか、タワーレコードに、
テンシュテットのマーラー全集のCDボックスが、三千円を切る価格で売っていた。
ひさしぶりにテンシュテットのマーラーを聴こうかな、と思いつつ、
手にとっては見たものの、他に優先したいディスクがけっこうあり、
わずか三千円ほどであっても、レジまで持っていくことはなかった。
そのあとも、何度か店頭でみかけている。
いつこのあいだもみかけた。
それでも他のディスクを優先してしまった。
先日、タワーレコードのサイトを眺めていたら、
テンシュテットのマーラーの一番、五番、九番、十番(一楽章)、
テンシュテットのマーラーでアナログ録音だったものが、
SACDになっているのを知った。
何年か前に出ていたのに気づいていなかった。
今回は違う。ひさしふりにテンシュテットのマーラーである。