Bach: 6 Sonaten und Partiten für Violine solo(その4)
ヘンリック・シェリングの無伴奏は、1967年の録音だから、
私がクラシックに興味をもったころにはすでに名盤として存在していた。
皆川達夫氏の評価を読んで、シェリングの無伴奏を買おう(聴こう)と決めたのはおぼえている。
にもかかわらず、あとまわしにしてしまっていた。
初めて聴いたクラシックのコンサートがシェリングだったにもかかわらず、
ふしぎと、そのころの私にとってシェリングは特別な存在ではなかった。
いつかは買おう、そんなことをおもっていると、ずるずるそのままになってしまうことがある。
シェリングの無伴奏が、私にとって、まさにそうだった。
三十年以上聴かずに過ごしてしまった。
なんと堕落した聴き手なんだろう……、と自分でも呆れてしまうけれど、
MQAになっていることで、こうやってであえた。
聴くことがかなった。
CD化されたばかりのころに聴いていたら、どう感じていただろうか。
数字によって何かが決ってしまうわけではないのはわかっている。
それでも44.1kHz、16ビットのCDと、
192kHz、24ビットのMQA。
優劣をうんぬんするつもりはないが、どちらを選ぶかと問われれば、
迷うことなくMQAを、わたしはとる。
e-onkyoには、DSF(2.8MHz)もある。
1967年録音ということは、おそらく録音器材の多くは真空管が使われたモノだろう。
これが数年後の録音ということになっていたら、
トランジスター式の器材もけっこう使われるようになっていたことだろう。