鉄腕アトム・音の世界(その1)
「鉄腕アトム・音の世界」は、音楽の世界ではない。
「音の世界」である。
「鉄腕アトム」とのであいは、マンガよりも先にアニメだった。
モノクロの「鉄腕アトム」が古い記憶だ。
「ブラック・ジャック」の連載が始まったころから手塚治虫のマンガに夢中になった私は、
そのころ「鉄腕アトム」もマンガで読むようになった。
原作のマンガよりも先に、しかもかなり幼いころにアニメに接していた。
しかも、そのころ私が住んでいた熊本には民放の放送局が一局しかなかった。
種々雑多ななかの一本というのではなく、
数少ないなかの一本としての「鉄腕アトム」でもあった。
あのころの「鉄腕アトム」を見ていた人ならば、
アトムの歩く音は、どんな内容かだったよりも、印象に残っていよう。
決して硬いものが床に接する音ではなく、
ゴムのような柔らかい素材による音であるからだ。
ロボットの足音とは思えない音だった。
「鉄腕アトム・音の世界」には、音効の世界である。
しかも現実の世界よりも、鉄腕アトムで描かれている世界は、数十年後の未来だ。
「鉄腕アトム」の時代設定では、
すでにアトムは存在している時代をわれわれは生きているわけだが、
現実にはまだまだである。
そんな時代に「鉄腕アトム・音の世界」を聴いている。