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Date: 2月 26th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その7)

LS5/1をみていくことではっきりしてくるのは、指向特性を、
LS5/1以前のスピーカーシステム以上に重要視していることだ。

周波数特性が、振幅特性だけでないことは、別項で書いた。
位相特性も関係してくる。
スピーカーシステムにおいては、そこに指向特性も大きく関係してくる、といってもいいだろう。

無響室でスピーカーシステムの正面軸上では周波数特性に、ほとんど指向特性は関係していない。
けれど、われわれがスピーカーシステムを設置する部屋は、どんなに響きの少ないデッドな部屋でも、
無響室とはまったく異る空間である。
そこに置いて鳴らす以上は、周波数特性に関係してくる項目のひとつとして、指向特性は決して無視できない、と
BBCモニターの開発陣は、考えたように私は思う。

LS5/1が開発され、最初のモデルが登場したのは1958年ごろ。
すでにステレオ録音は登場していた。
このこともLS5/1の指向特性重視の設計に関係しているように思っている。

Date: 2月 25th, 2011
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(番外・その11)

スピーカーシステムとパワーアンプは決った。
次はコントロールアンプを決めて、最後にCDプレーヤー、というふうに最初は考えていた。

でも、ぴったり、というか、うまくはまってくれる印象のコントロールアンプが思い浮ばない。
いくつか候補はあるけれど、この組合せの目的である「対決」ということには、
どれもピンとこない。実際に音を聴くことができれば、話は変ってくるのだろうが、そんなことは望めない。

それでは、ということで、CDプレーヤーは何にしたいのか、と考えていたときに浮んできたのは、
47研究所のPiTracer(Model 4704)だ。

またナグラのCDプレーヤーのことを引合いに出してちょっと申し訳ないという気持もあるけれど、
PiTracerの精度は、気持がいい。

ターンテーブルがあって、CDはピット面を上にしてのせる。
クランパーはスクリュー・ロック式。ナグラのクランパーとは大違いで、気持良くセンターが決る。

PiTracerは、決して安くない。かなり高価でしかもトランスポートだから、別途D/Aコンバーターが要る。
価格のことは、妄想組合せだから、この際無視するとしても、D/Aコンバーターに何を選ぶか。

D/Aコンバーターを決めても、コントロールアンプで結局悩むことになる。
だったら、いっそのことデジタル・コントロールアンプをもってくるのは、どうだろうか。
そしてD/Aコンバーターをパワーアンプ(ナグラのMPA)の直前に置く。

Date: 2月 24th, 2011
Cate: トーラス

同軸型はトーラスなのか(その26)

これまで書いてきたようにフィードバックには、
ポジティヴ(乗算)とネガティヴ(除算)のふたつがある。

加算・減算はなんなのか。
フィードフォワードにも、ポジティヴとネガティヴがあるとしたら、
ポジティヴフィードフォワードが加算であり、ネガティヴフィードフォワードが減算と考えれば、
サンスイのスーパー・フィードフォワード・システムは減算であるから、
いわばネガティヴフィードフォワードといえる。

加算のポジティヴフィードフォワードの回路となると、
QUADの405がそうだと思う。
405独自のカレントダンピング回路は、一種のフィードフォワード回路であり、
しかもサンスイの減算ではなく加算である。
もちろん405にも、NFBは用いられている。つまり加算と除算の組合せである。

この項の(その4)に書いた、
「回」の字がトーラスに見える、から、
本来スピーカーの同軸型について書いていくつもりだったのが、
「回」の字がつく回路という言葉から話がアンプに脱線してしまったが、
回路は circuit であることから、
同軸型がトーラスなのか、について考えていくこととまったく無関係とは思えない。

Date: 2月 24th, 2011
Cate: ベートーヴェン

ベートーヴェン(その4)

3人掛けのソファの真中に私、
真後ろに菅野先生が腰かけられて、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の第1番が鳴った。

鳴った瞬間、「すごい!」と思った。

第1楽章が終った。
通常なら、ここでCDプレイヤーのストップ・ボタンをおさえるのだが、
この日の「音」、それに「音楽」は見事に鳴っていたようで、
菅野先生から「最後まで聴くか」と。

うなずいた。

Date: 2月 23rd, 2011
Cate: 朦朧体

ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(続×六・余談)

意外なほどThe Goldは安定していた。
保護回路を搭載していないのもうなずけるぼとに安定している。

ただ正月に帰省したあと一週間ぶり電源をいれるときは、わすかなポッという音がしたけれど、
これすら2日目からは出なくなっていく。

電源を切るときにも、何のノイズも出ない。
あまりオーディオ雑誌には書かれないようだが、
海外製のパワーアンプの中には、電源を切るときにウーファー大きく前後に揺れるものや、
いやな感じのノイズを出すものがあったりする。

The Goldは毎日使っていると、きわめて安定していた。
それでも、電源をいれるときには、いつも心の中で
「今日も頼むぞ」とつぶやていた。

ある日、ついうっかり、このつぶやきをわすれて電源を入れた瞬間、
出力段の平滑コンデンサーがひとつダメになってしまった。
部品の劣化による故障。
ウーファーのコーン紙が前に飛び出してボイスコイルボビンが磁気回路から外れてしまった。

このときは手放すことを、ちょっと考えた。
でも修理から戻ってきたThe Goldはそれまでと同じように安定して、それからは故障知らずだった。

私は、ボンジョルノのアンプが不安定だとは、まったく思っていない。

Date: 2月 23rd, 2011
Cate: ベートーヴェン

ベートーヴェン(その3)

ケント・ナガノ指揮、児玉麻里のピアノによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番を聴いたのは、
3年前、菅野先生のリスニングルームにおいて、である。

「これ、聴いたことあるか?」と言いながら、このCDを目の前に出された。
正直、ケント・ナガノと児玉麻里……と思っていた。

菅野先生は、熱い口調で「まさしくベートーヴェンなんだよ」と語られた。
菅野先生の言葉を疑うつもりはまったくなかったけど、
それでも素直には信じられない気持があった。

菅野先生のところでもう何度も、いろんなディスクを聴かせていただいたけれど、
聴く前にディスクを手渡されたのは、このときがはじめてだった。

音はいいんだろうな、と思っていた。
このディスクは、ノイマンがデジタルマイクロフォンを開発して、
そのデモンストレーション用として作られたものだということだったからだ。

でも菅野先生は「まさしくベートーヴェンなんだよ」と言われたのだから、
それが優れているのは録音のことだけでなく、演奏も含まれているわけだ。

とにかく、このCDが鳴りはじめた。

Date: 2月 23rd, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その6)

ウーファーの開口部を横幅の狭い四角にすることで、
トゥイーターとのクロスオーバー周波数附近の指向特性を改善する手法を見つけ出したハーウッドが、
1976年に設立したハーベスのスピーカーシステムには採用していない。

ハーベスの最初スピーカーシステム、Monitor HLはクロスオーバー周波数は2kHzだが、
ウーファーの口径は20cm。たいてい、この口径の有効直径は18cmを切る。
つまり開口部を四角にすることで、指向特性を改善する必要性がほとんどない、からだ。

ウーファーをフロンドバッフルの裏側から取りつけることに、
ウーファーの前にいかなるものであろうと置けば、音が悪くなる、という理由をつける人がある。

裏側から取りつけて、しかも開口部がウーファーの振動板より狭く、形も四角ということになると、
よけいに音が悪くなりそうだという人がふしぎではない。

でも必ずしもデメリットばかりではなく、
指向特性の改善のほかにも、ウーファーのフレームからの輻射音を大幅に低減できる。
またLS5/1ではエッジ部分もほとんど隠れているため、この部分からの輻射も減らせる。

ウーファーのフレームからの輻射音が、振動板が動くことによって音が鳴りはじめる前に放射されていることは、
1980年代にダイヤトーンが解析をして発表していることからも明らかである。

ウーファーをバッフルのどちら側からとりつけるかは、実際に耳で判断すればいいこと。
どんな方法にも、メリットとデメリットがあるわけだから、何を望むのかを明確にすることのほうが大切である。

Date: 2月 23rd, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その5)

セレッションのHF1300は、正確に言えばドーム型トゥイーターとは呼びにくい。
見た目はたしかにドーム型のようだが、振動板の形状は、いわゆるドーム状ではなく、鈍角の円錐状に近い。
材質は、合成樹脂という記述も見かけるが、山中先生によるとアルミ合金製、とのこと。

この振動板の前面に、音響負荷の役割をもつディフューザーを置き、
振動板の固有振動の抑制と高域の指向特性の改善を図っている。

現在、似た構造のトゥイーターは、おそらくないと思う。

このHF1300を、LS5/1は2個使っている。
ただ単純に並列に接いでいるわけではなく、3kHz以上では、1個だけロールオフさせている。
とうぜん、高域補整のない、一般のパワーアンプで鳴らすと高域はゆるやかに減衰してゆくかたちになるが、
高域補整しない音を聴いてみると、じつは意外にも聴ける。

LS5/1のウーファーは38cm口径のグッドマン製。
1.75kHzのクロスオーバー周波数だから、38cm口径よりも30cm口径のウーファーの方が有利なのでは?
と思いがちだが、38cm口径の方が高域特性に優れているから、の採用理由だときいている。

ウーファーはフロントバッフルの裏側から取りつけられている。
しかもバッフルの開口部は通常の円ではなく、四角。
LS5/1Aを実測したところ、横幅は18cmだった。ウーファーの左右端はバッフルによってやや隠れる形になる。
縦はもうすこし長くとられているが、ウーファーのエッジはほとんど隠れてしまう。

この四角の開口部は、クロスオーバー周波数附近の指向特性を改善するためであり、
LS5/1の開発中に、開発の中心人物であったハーウッド(のちのハーベスの創設者)が気づいたもの、とのこと。

この手法は、チャートウェルのLS5/8まで続いていたし、
スペンドールのBCIII、SAIIIのウーファーも、LS5/1ほどではないにしても、左右は多少隠れている。

実際に測定してみると、60度での効果はあまりないようだが、
30度までの範囲であればはっきりと水平方向の指向特性の改善が示される、ときいたことがある。

Date: 2月 22nd, 2011
Cate: トーラス

同軸型はトーラスなのか(その25)

テクニクスがリニアフィードバック回路を最初に搭載したアンプは、SE-A5(パワーアンプ)である。

出力段の手前のプリドライバー段からポジティヴフィードバックを、初段にもどしている。
SE-A5の初段は差動回路で、その負荷にカスコード回路とカレントミラー回路を重ねていて、
ポジティヴフィードバックの信号は、初段の負荷のひとつであるカレントミラー回路にかけ、
見かけ上、初段の負荷抵抗が無限大になるようにして、
NFB(ネガティヴフィードバック)をかける前のゲインを、通常のアンプでは比較にならないほどかせげる仕組みだ。

ただこのままでは高域で発振してしまうため、実際の回路では高域でのゲインは落としてある。
NFBは通商のアンプと同じように出力段から初段の差動回路にかけてある。

前に書いたようにPFBとNFBを組み合わせた回路例は過去にもあった。
テクニクスのリニアフィードバックは、テクニクス独自の回路とは言えない面もたしかにあるが、
ここまで積極的にPFBを活用した回路は、おそらくテクニクスが最初だと思う。
つまり、理論としては以前からあった回路を、
テクニクスは独自のテクニックを用いて実現したところに特徴がある。

もうひとつリニアフィードバックの特徴は、
同じくNFBに対してメスを入れたサンスイのスーパー・フィードフォワード・システムにくらべて、
従来の回路にいくつかの部品を追加することで実現可能であるおかげで、普及クラスのアンプにも採用できる。

どうしても回路の規模が大きくなってしまうサンスイのスーパー・フィードフォワード・システムとは、
対照的といってもいい。

サンスイのスーパー・フィードフォワード・システムは、
除算(ネガティヴフィードバック)と減算(フィードフォワード)の組合せ、
テクニクスのリニアフィードバック回路は、
除算と乗算(ポジティヴフィードバック)の組合せ、といえる。

Date: 2月 22nd, 2011
Cate: audio wednesday

第2回公開対談のお知らせ

2月2日に1回目を行ないました、イルンゴ・オーディオの主宰者、楠本さんとの公開対談の2回目を、
3月2日(水曜日)に行ないます。

時間は夜7時から、です。終了予定時間は9時すぎになると思います。
1回目は9時30分終了でした。
場所は前回と同じ、四谷三丁目にある喫茶茶会記のスペースを借りて行ないますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

予約は、とくに必要ありません。

Date: 2月 21st, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その4)

いま入手できるスピーカーユニットは、なにも新品、現行製品に限るというわけではない。
少々の根気があれば、良好なモノが見つけられる可能性のある製造中止のユニットも含めて、のことだ。

だから、LS5/1をいまつくるとしたら、大きくふたつある。
ひとつは、あくまでも現行のスピーカーユニットのみで構成するということ。
もうひとつは、現行・製造中止に関係なく、入手できそうなユニットであれば採用するということ。

最初の現行のスピーカーユニットだけで、というのが、実はけっこう難しい。

LS5/1の良さを、なんとか再構築してみたいと思い、
各国のスピーカーユニットの製造メーカーのウェブサイトをみてまわっているけど、
なかなかセレッションのHF1300のかわりになるようなユニットは、ない。

LS5/1のウーファーとトゥイーターのクロスオーバー周波数は1.75kHz。
トゥイーターはドーム型だから、現在のスピーカーシステムの一般的な値からすると、意外に低い。

おそらくHF1300の数字は、1.3kHzから使えるということだと思う。
それでいて十分な高域まで延びていること。

いま入手できる現行製品のドーム型トゥイーターだと、比較的口径の大きなもので25mm、
たいていのユニットはさらに小さい。
といってもうすこし大きい口径のものとなると、いきなりスコーカー用となってしまい、
逆に大きくなってしまう。

HF1300は38mm口径のダイアフラムを採用している。
だから、このトゥイーターを採用した他のスピーカーシステム、
たとえばスペンドールのBCII、BCIII、B&WのDM4などは、
HF1300の上にスーパートゥイーターを追加している。

決して20kHzまで高域がきれいに延びているトゥイーターではない、が、
私の好きなイギリスのスピーカーには、たいてい、このHF1300がついている。

Date: 2月 21st, 2011
Cate: 表現する

音を表現するということ(続々・聴く、ということ)

いい音で、すこしでもいい音で、音楽を聴きたい、とオーディオをずっと続けてきてこられている人ならば、
そう思われているはず。

いい音で聴くために、いい音を出す。

この当り前のように思えていたことが、
実は、ときには、まったく関連性を無くしてしまうことがあるような気がしはじめた。

つまり、いい音を出すこと、と、いい音で聴くこと、
このふたつの行為は切り離せない関係である、と思っていた。

いい音を出せれば、それでいい音が聴ける、そう思っていたわけだ。

だが、このふたつのあいだには、ときとして、大きな隔たりがある。
つねにあるとは思っていない。
なにかの拍子に、なにかのきっかけで、そこで隔たりが生じてしまう。

いい音を出せたからといって、いい音で聴けているわけではない状況がおきる。

Date: 2月 20th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その3)

手応えを感じていた。

スピーカーシステム本体だけでなく、パワーアンプのほうが、さらにくたびれていた。
時間をかけて、きちんと手入れをしていけば、もっと素晴らしい、美しい音を鳴らしてくれる……。

でもその期待もしばらくして、アンプが片チャンネル、低域発振しはじめて、
さらにウーファーも片チャンネル、ボイスコイルが断線したようで、まったく鳴らなくなった。

オーディオに関心のない人にとっては、わずか数ヵ月の音のために、
40万円という出費は、馬鹿げたものでしかないだろう。

たしかに高い買い物だった。
しかも、その頃は仕事をしていなかったから。

それでもLS5/1が聴かせてくれた音、
聴かせてくれたであろう音を想像すると、
自分のモノとして鳴らしてよかった、と思えてくる。

LS5/1というスピーカーシステムを、もっともっと詰めていけば、
どこまでの音を鳴らしてくれるのか、そういう想いが、そのときからどこかにくすぶっている。
そして、いつかは、LS5/1をふたたび手にしよう、それも今度は、自分の手でつくって、だ。

LS5/1は製造されて50年以上、KEFのLS5/1Aにしても、40年以上(50年近い)経過している。
もう程度のいいモノを見つけてくるのは、とても困難だし、
使われているユニットの作りからしても、これから先、あと何年もつのかも、心もとないところがある。

ならば、いま手に入るユニットを使って、自分でつくってみるしかない。

Date: 2月 20th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その2)

BBCモニターのLS5/1を、無線と実験の売買欄で見つけて、
なんとかお金を工面して購入して、運び込まれた日、その外観を見て、すこし落胆した。

木目のエンクロージュアのはずなのに、目の前にあるスピーカーはグレイの塗装仕上げ。
売買欄には、はっきりとKEFのLS5/1Aとあったが、
実際に届いたのは、KEFがまだ設立される前につくられたLS5/1だった。

その分、年季の入ったモノだった(つまり、けっこうくたびれていた)。
附属の専用アンプも、EL34のプッシュプルであることは同じでも、
製造会社が、リークとラドフォードで違う。

こんな感じだったので、正直、最初の音出しはまったく期待していなかった。
それでも、ぱっと手にとったCDをかける。

ステレオサウンドで働くようになってしばらくして、
試聴室で聴いた瀬川先生のLS5/1Aを聴いたときよりも、印象がいい。

おそらく、私が手にしたLS5/1は1958年ごろ作られたものと思われる。
当時としてはワイドレンジだったLS5/1も、すでにナローレンジのスピーカーのはずだが、
鳴ってきた音は、そんなことはまったく意識させずに、美しいと思わせてくれた。

見た目のくたびれた感じは、目を閉じて聴いていればまったくない。
フレッシュな音、とはいわないけれど、ケイト・ブッシュの声を、こんなにもよく鳴らしてくれるなんて、
なんという誤算だろう、と思っていた。

しかも、この大きさのスピーカーシステムなのに、驚くほど定位がいい。
その定位の良さは、ある種快感でもある。
ふたつのスピーカーの中央に、数歩前に出て、ケイト・ブッシュがいて、歌っている。

これはそうとうにいいスピーカーだ、と確信した。

Date: 2月 19th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その1)

あれこれ妄想しているのは、システム全体の組合せだけではなく、
自作スピーカーに関しても、けっこう、電車の中、とか、映画館での待ち時間、とか、
そういうなんとなく、ぽっかり空いた時間に考えている。

ただ自作スピーカーといっても、私のなかでは、その大半を占めているのは、
BBCモニターのLS5/1を、どうつくるか、だ。

LS5/1は、グッドマンの38cm口径ウーファーと、セレッションのドーム型トゥイーターHF1300を2本、
やや特殊なネットワークで構成したスピーカーシステムで、
あらためていうまでもはなく瀬川先生がもっとも愛されたスピーカーシステムである。

私の、あまりコンディションのいいものではなかったけれど、LS5/1は鳴らしていた時期がある。
それに、ステレオサウンドの試聴室で、瀬川先生の愛器そのものだったKEFのLS5/1Aそのものも聴いている。

このスピーカーシステムの特質については、瀬川先生ほどではないにしても、
ある程度は知っている、と自負している。

だから、いまLS5/1を再現してみたら……、という誘惑が、消え去ることがない。

オリジナル通りのスピーカーユニットは手に入らないし、
もしコンディションのいいものが手に入ったとしても、
それではオリジナルのLS5/1を超えることは、ほぼ不可能といえる。

ならば、同じコンセプトで、他のユニットを使って、独自のLS5/1を作ってみたい、と思い続けている。

LS5/1をつくるうえで、まずぶつかるのがトゥイーターの選定の難しさである。