Date: 2月 20th, 2011
Cate: KEF, LS5/1A
Tags:

妄想組合せの楽しみ(自作スピーカー篇・その2)

BBCモニターのLS5/1を、無線と実験の売買欄で見つけて、
なんとかお金を工面して購入して、運び込まれた日、その外観を見て、すこし落胆した。

木目のエンクロージュアのはずなのに、目の前にあるスピーカーはグレイの塗装仕上げ。
売買欄には、はっきりとKEFのLS5/1Aとあったが、
実際に届いたのは、KEFがまだ設立される前につくられたLS5/1だった。

その分、年季の入ったモノだった(つまり、けっこうくたびれていた)。
附属の専用アンプも、EL34のプッシュプルであることは同じでも、
製造会社が、リークとラドフォードで違う。

こんな感じだったので、正直、最初の音出しはまったく期待していなかった。
それでも、ぱっと手にとったCDをかける。

ステレオサウンドで働くようになってしばらくして、
試聴室で聴いた瀬川先生のLS5/1Aを聴いたときよりも、印象がいい。

おそらく、私が手にしたLS5/1は1958年ごろ作られたものと思われる。
当時としてはワイドレンジだったLS5/1も、すでにナローレンジのスピーカーのはずだが、
鳴ってきた音は、そんなことはまったく意識させずに、美しいと思わせてくれた。

見た目のくたびれた感じは、目を閉じて聴いていればまったくない。
フレッシュな音、とはいわないけれど、ケイト・ブッシュの声を、こんなにもよく鳴らしてくれるなんて、
なんという誤算だろう、と思っていた。

しかも、この大きさのスピーカーシステムなのに、驚くほど定位がいい。
その定位の良さは、ある種快感でもある。
ふたつのスピーカーの中央に、数歩前に出て、ケイト・ブッシュがいて、歌っている。

これはそうとうにいいスピーカーだ、と確信した。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]