続・再生音とは……(波形再現・その13)
より正確な波形再現を目指して、
スピーカーの前にマイクロフォンを立てての、実際の音楽波形を使っての測定。
マイクロフォンセッティングに関するこまかなこともきちんとやったうえで、
かなり正確といえるレベルまできたとしよう。
アマチュアの場合、無響室などないから、
マイクロフォンの位置はスピーカーから1mも離れていないであろう
近距離、数10cm程度のところで測定しての波形再現である。
もちろんスピーカーは一本での測定での波形再現である。
そうやって製作したスピーカーで音楽を聴くのであれば、
左右のスピーカーは、左右の耳の真横、
それもスピーカーとマイクロフォンの距離と同じだけ離して置くことになる。
10cmのところで測定していたのであれば、
耳から10cmのところにスピーカーを置く。
向い合った二本のスピーカーのあいだに聴き手は座って聴くかっこうになる。
私がSNSでみかけた波形再現を追求したという人は、
通常のセッティングで聴いていた。
それでは、ほんとうに波形再現を目指していた、といえるのか。
その人の測定の方法からすれば、耳の真横に置くことになる。
さらにいえば、左右のスピーカーの音が混じりあわないように、
中央に仕切り板も必要となる。
つまり仕切り板で、聴き手の右耳と左耳とを分離しなければならない。
それがその人がやっていた波形再現の理屈である。
そうなってくると、巨大なヘッドフォン(イヤースピーカー)といえる。
そしてそれはステレオフォニック再生ではなく、バイノーラル再生である。