続・再生音とは……(波形再現・その5)
波形再現について考える前に考えなければならないことは、
そこで表示される波形は、どこまでの情報を含んでいるのか、がある。
昔ながらのペンレコーダーで記録用紙に描いていく測定では、
ペンの重量、慣性の影響があるためが、
いまではコンピューターのディスプレイに表示することが可能であり、
ペンレコーダーに起因する問題は生じない。
ディスプレイも高精度になってきている。
より細部まで検討することができる。
それでも、そこで表示される波形は二次元のデータでしかなく、
そこから音色を読みとれることができるのか、という疑問がある。
音源通りの波形が完全(そんなことはありえないだろうが)に再現されたとして、
そこで鳴っている音は、音色の再生でも完全といえるのか。
音色とは、文字通り音の色である。
視覚的な色は、光があるからこそ色が存在する。
そのことは誰でも知っている。
光がなければ色はない。
光が変化すれば、色も微妙に変化する。
ならば音の場合の光は、何に当るのか。
視覚的な色と聴覚的な色を、同一視できるのかということも考えなければならないが、
音色も、光によって色が変るように、何かによって変っていくものと感じている。