続・再生音とは……(波形再現・その2)
ステレオサウンド 48号の測定は長嶋先生が行われている。
146ページの囲みも長嶋先生が書かれているのだろう。
そこには《グラフに現われる山の形はカートリッジを替えても変るため、プレーヤーのみならず、他のコンポーネントにも応用できるだろうと考えている。もっと細部まで検討してから発表するつもりでいる。ご期待いただきたい。》
とあった。
それまで測定に使われる信号といえば正弦波ばかりといっていい。
正弦波による測定がわかるのは、いわゆる静特性であり、
実際の音楽信号を使った測定による動特性とははっきりと区別しなければならない。
私は48号の囲み記事を読んで期待していた。
すぐにはないだろうが、ステレオサウンドは48号での測定をさらに検討・発展させ、
動特性の測定を行なってくれるであろう、と。
けれど実際には行われなかった。
測定の難しさが関係してのことかもしれない。
試聴もそうだが、測定も再現性が求められる。
同じ条件で試聴、測定をやって、同じ結果が得られるか、という意味での再現性である。
この再現性が十分に確保されていないと、クレームを受けることにつながってしまう。
ステレオサウンド 48号は1978年である。
CDが登場する三年前であり、それゆえの難しさがあったことは容易に想像できる。