続・再生音とは……(波形再現・その8)
スピーカーから出た音をマイクロフォンで拾い、
その波形とCDプレーヤーからの出力波形とを比較する。
波形が完全に一致していれば、
それは正しい音といえるのか、
正確な音といえるのか、
さらにはいい音といえるのだろうか。
この波形再現の測定方法には、まずマイクロフォンをどこに設置するのかが、
問題になる。
無響室であれば、スピーカーから1m離れたところにマイクロフォンを置くるのが、
測定のひとつの基準となっている。
だが実際の部屋は残響がある。
ならばスピーカーの直近にマイクロフォンを置けばいいのか、
それともあくまでも聴取位置に置くのか。
直近に置くとしても、ではそのあたりにするのか。
フロントバッフルの中心近くなのか、ウーファーの正面なのか、
トゥイーター、スコーカーの正面なのか。
もっといえば点で考えるのではなく、面で考えなければならないはずだ。
波形再現の測定におけるそういったことはひとまず措くとして、
たとえばアンプにおいて入力波形と出力波形を比較することは、
測定条件としては、そういったこまごまとした問題はあまりない、といえる。
実際にメーカーは入力波形と出力波形の比較を行っていた。
DCアンプがメーカーから登場したはじめたころ、1970年代後半、
国内メーカー各社は、広告やカタログで、DCアンプとそれまでのACアンプの周波数特性、
それに位相特性のグラフを示していた。
トリオもやっていた。
トリオはさらに実際の音楽信号を使い、
DCアンプとACアンプの出力との比較写真も広告に掲載していた。
それだけでなく引き算回路を用いて、30倍に拡大した差信号の写真もあった。
KA9300の広告がそうである。