ラックスのMQ60がやって来たら、まずやることは決っている。
各部のチェックと整備である。
すでに書いているように、私のところに来るのはラックスキットのKMQ60だから、
その組立ての技術に関しては、中を見るまでわからない。
しっかりしたハンダ付けがなされているのか、そうではないのか。
とにかくMQ60がやって来たら、だからチェックとなる。
チェックと整備のあとは、
まずCR方式をトランスの巻線すべてに試してみたい。
電源トランスの一次側と二次側。
MQ60の電源トランスの場合、二次側の巻線はB電源のほかに、
電圧増幅管用のヒーター、それから固定バイアス用の三つの巻線がある。
電源トランスに関してもCR方式が効果があるのはすでに試して確認している。
だから、ここでの楽しみはヒーター用と固定バイアス用の巻線に対して、
どの程度効果があるのかだ。
それからもっと興味があるのは、出力トランスである。
ここも一次側、二次側の巻線に対して行うわけだが、
試してみないとなんともいえないのは、
二次側の巻線に関して、どう対処するかである。
MQ60の出力トランスはOY15である。
4Ω、8Ω、16Ωのタップがある。
8Ωのスピーカーならば、とうぜん8Ωの端子に接続するわけだが、
この時、CR方式は8Ω用の巻線に対して入れた方がいいような気はする。
けれど出力トランスの二次側からのNFBは16Ωのところから還っている。
ならば16Ωの巻線に対してもCR方式は必要となるのか。
このあたりは実際に音を聴きながらの判断になる。
そしてもうひとつ、どうなるのだろうか、と楽しみにしているのが、
真空管のヒーターに対してCR方式は効くのかどうかだ。
出力管の50CA10のヒーターは50V、0.175Aである。
50CA10の6.3V規格の6CA10は6.3V、1.5Aである。
ヒーターの直流抵抗値は、50CA10が約285.7Ω、6CA10が4.2Ωと、
ずいぶんと値に違いがある。
CR方式が真空管のヒーターに対しても効果があるとすれば、
より抵抗値の高い50CA10のほうが、より効果があるという予測もできる。