老いとオーディオ(若さとは・その17)
別項でふれているように、ここしばらくシューベルトを主に聴いている。
そのこともあって、しばらくグレン・グールドの演奏を聴いていなかった。
といっても三ヵ月ほど聴いていなかっただけである。
今日、グールドを聴きたくなった。
昨夏よりグールドを聴く、ということは、TIDALでMQA Studioを聴くことに、
すっかりなってしまっている。
さきほども、だからTIDALでMQA Studioで聴いていた。
何を聴こうか、ということよりも、グールドを聴きたかった。
なので目に入ってきたアルバムを選択した。
バッハの平均律クラヴィーア曲第一集を聴いていた。
MQA Studioで聴いたからといって、最新録音のように聴こえてくるわけではない。
いまとなってはもう古い録音である。
テープヒスもきこえてくる。
いまどきのピアノ録音と比較するまでもない。
それでも十分ほど聴いていると、
グールドのバッハが身体にしみ込んでくるような感触がした。
聴きながら、しみ込んできている、しみ込んできている──、
そんなことをつぶやきそうになるくらいにだ。
平均律クラヴィーア曲集は、グールドの演奏をいちばん多く聴いている。
それでも、いままでこんなふうに感じたことはなかった。
これは老いからくることなのだろうか。