Date: 5月 2nd, 2015
Cate: 価値・付加価値

オーディオ機器の付加価値(余談)

別項でふれたステレオサウンドのPDF
ファイル名がstereosound_mediaguide_140401となっているから、
これからはステレオサウンド・メディアガイド(PDF)と表記していく。

ステレオサウンド・メディアガイド(PDF)にも「付加価値」が登場している。
読者プロフィールの説明文に「高付加価値への千里眼」とある。

この読者プロフィールの説明文は、誰が書いたのだろうかとつい詮索したくなる文章である。
それにしても高付加価値とは、いったいなんなのだろうか。

説明文には、高付加価値のあとに、こう続いている。
《商品の歴史や伝統、デザイン、質感、実用性にもこだわりをもつ。》と。
ということは商品の歴史や伝統、デザインを、ここでは高付加価値と定義しているのか。
だとしたら、甚だしい認識不足とひどい勘違いとしかいいようがない。

いったい、いまのステレオサウンド編集部は、付加価値をどう捉えているのだろうか、と心配になってくる。

Date: 5月 2nd, 2015
Cate: 世代

世代とオーディオ(あるキャンペーンを知って・その2)

ステレオサウンドの恒例企画となっているベストバイ。
昔は今と違い、評論家の選ぶベストバイコンポーネントだけでなく、
読者の選ぶベストバイコンポーネントも掲載されていた。

このころのステレオサウンドには毎号アンケートハガキがついていた。
ベストバイ特集号のひとつ前の号には、ベストバイコンポーネントの投票ハガキとなる。

ステレオサウンド 47号(1978年夏号)をみてみる。
年齢分布の棒グラフがある。

10〜15才:5%
16〜20才:15.7%
21〜25才:28.9%
26〜30才:29.4%
31〜35才:9.6%
36〜40才:5.7%
41〜45才:3.9%
46〜50才:1.9%
51〜55才:1.1%
56〜60才:0.5%
61才以上:0.2%
無記入:1.2%

この結果をみるかぎり、中心読者は若い世代といえる。
とはいえこの結果はベストバイコンポーネントに投票してきた読者であり、
ステレオサウンドがクライアント用につくったPDFとは調査方法も違うのだから、
このふたつの結果を照らし合せて、どれだけ正確なことがわかるのかはなんともいえない。

それでも若い世代の比率が減ってきていることはいえるのではないか。
47号はいまから37年前のステレオサウンドだから、
全体の約60%をしめる21〜30才の人たちは、いまでは58〜68才ということになり、
2014年の調査結果の年齢分布とほとんど一致している、とみることもできる。

少なくともどちらの結果もステレオサウンドの読者を対象としたものである。
やはり若い世代のオーディオマニアは減っているのか。
ステレオサウンドを読む若い人は減ってきていることだけは確かなようだ。

Date: 5月 2nd, 2015
Cate: 世代

世代とオーディオ(あるキャンペーンを知って・その1)

エラック、オラクルの輸入元であるユキムが、学割キャンペーンをやっている。
対象となるブランドはエラックとオーラデザインであり、
高校生以上の学生ならば、指定されたオーディオ販売店では35%の割引がうけられる。
ヨドバシカメラ、ビックカメラなどの量販店では25%の割引+10%のポイント。

オーディオ専門店で買っても量販店で買っても、実質的に定価の65%で購入できるわけだから、
学生にとってはたいへんありがたいキャンペーンである。

しかも通信販売には適用されないというのも、いい点だと思う。
とにかくオーディオ専門店、量販店に足を運ぶ必要があるからだ。

この学割キャンペーンは4月1日から始まっているが、いつまでなのかはユキムサイトには表記されていない。
好評であれば長く続けてくれるのだろうか。
こゆユキムの学割キャンペーンがうまくいけば、同じことを始める輸入元も出てくることだってあろう。

ユキムが、なぜ学割キャンペーンを始めたのか、
その理由はわからない。
若いオーディオマニアが減っている・少ない、とはよく耳にするようになってた。
思うに、これから先細りしていくのを指をくわえてみているわけにはいかない。
少しでも積極的になんらかの手を打とうということなのか。

では、ほんとうに若いオーディオマニアは、昔よりも減っているのだろうか。
そのことを示すなんらかの調査結果がないのかと検索してみた。
そして見つけたのが、ステレオサウンドがクライアント(広告主)用につくったと思われるPDFだ。

このPDFのファイル名をみると、2014年4月の時点の資料と思われる。
この資料の読者プロフィールにある年齢構成比をみると、たしかに若い世代の比率はかなり低い。
30歳未満はわずか5%である。

Date: 5月 1st, 2015
Cate: audio wednesday

第52回audio sharing例会のお知らせ(続・五味康祐氏のこと、五味オーディオ教室のこと)

今月のaudio sharing例会は、6日(水曜日)です。

ステレオサウンド 39号に掲載された瀬川先生による「天の聲」の書評からの引用だ。
     *
 五味康祐氏とお会いしたのは数えるほどに少ない。ずっと以前、本誌11号(69年夏号)のチューナーの取材で、本誌の試聴室で同席させて預いたが、殆んど口を利かず、部屋の隅で憮然とひとりだけ坐っておられた姿が印象的で、次は同じく16号(70年秋号)で六畳住まいの拙宅にお越し頂いたとき、わずかに言素をかわした、その程度である。どこか気難しい、というより怖い人、という印象が強くて、こちらから気楽に話しかけられない雰囲気になってしまう。しかしそれでいて私自身は、個人的には非常な親近感を抱いている。それはおそらく「西方の音」の中のレコードや音楽の話の書かれてある時代(LP初期)に、偶然のことにS氏という音楽評論家を通じて、ここに書かれてあるレコードの中の大半を、私も同じように貧しい暮しをしながら一心に聴いていたという共通の音楽体験を持っているからだと思う。ちなみにこのS氏というのは、「西方の音」にしばしば登場するS氏とは別人だがしかし「西方の音」のS氏や五味氏はよくご存知の筈だ。この人から私は、ティボー、コルトオ、ランドフスカを教えられ、あるいはLP初期のカザドウシュやフランチェスカフティを、マルセル・メイエルやモーリス・エヴィットを、ローラ・ボベスコやジャック・ジャンティを教えられた。これ以外にも「西方の音」に出てくるレコードの大半を私は一応は耳にしているし、その何枚かは持っている。そういう共通の体験が、会えば怖い五味氏に親近感を抱かせる。
     *
S氏という音楽評論家──。
盤鬼、西条卓夫氏のことで間違いないはずだ。

時間はこれまでと同じ、夜7時からです。
場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 5月 1st, 2015
Cate: 変化・進化・純化

変化・進化・純化(その4)

瀬川先生が書かれていることをおもっている。
     *
「天の聲」になると、この人のオーディオ観はもはや一種の諦観の調子を帯びてくる。おそらく五味氏は、オーディオの行きつく渕を覗き込んでしまったに違いない。前半にほぼそのことは述べ尽されているが、さらに後半に読み進むにつれて、オーディオはすでに消えてただ裸の音楽が鳴りはじめる。しかもこの音楽は何と思いつめた表情で鳴るのだろう。
     *
ステレオサウンド 39号に掲載された「天の聲」の書評である。

《オーディオはすでに消えてただ裸の音楽が鳴りはじめる。》
これが(これも)純化なのだろう……。

《オーディオの行きつく渕を覗き込んでしまった》から鳴りはじめる音楽なのか。

私はオーディオの行きつく渕を覗き込めるのか。
その渕までたどり着けるのか。

瀬川先生が最後に書かれている。
《「天の聲」の後半にも、行間のところどころに一瞬息のつまるような表現があって、私は何度も立ちどまり、考え込まされた。》と。

Date: 5月 1st, 2015
Cate: オーディオ評論

「新しいオーディオ評論」(その4)

2011年3月14日、twitterにこんなことを書いた。
     *
はっきり書けば、ステレオサウンドはすでに役目を終えた雑誌だと思っている。それでも、今後のオーディオのあり方についてなにかを提示していけるのであれば、復活できるとも思っている。これはステレオサウンドの筆者についても同じことが言える。
     *
なんと傲慢なことを書くヤツだと思われる方もいよう。
同意される方もいる。

これまでにも、このブログでステレオサウンドに批判的なことを書いてきている。
それを読まれて、ステレオサウンドの現状を嘆いてる、と受けとめられるかもしれない。

別に嘆いているつもりはない。
どちらかといえば挑発している。
それは私自身が、おもしろいと思えるステレオサウンドを読みたいからである。

「今号のステレオサウンドはおもしろかった」、
そう、このブログで書いてみたい──。

そういう気持はこれからも持ちつづけるだろうが、期待はあまりしていないというのが本音でもある。
少なくともおもしろいと思わせてくれるステレオサウンドが、
これから先、一号くらいは出てくるかもしれない。

けれど四年前に書いているように、役目を終えたと思っているわけだから、
ステレオサウンドに「新しいオーディオ評論」は、まったく期待していない。
期待できない、といい直すべきか。

Date: 4月 30th, 2015
Cate: デザイン

日米ヒーローの造形(その2)

三年半ほど前に(その1)を書いたときは、
タイトルの後に(その1)とはつけていなかった。
続きを書くつもりは全くなかったからだ。
それにタイトルもカテゴリーも少し違っている。

なのに、今日(その2)を書いている。
デザインとデコレーションの違いについて、ヒーローの造形が好適な例だと気づいたからだ。

私が小学生のころ、仮面ライダーとウルトラマンの人気はすごかった。
私も夢中になってみていた。

そのウルトラマンの造形だが、
初代のウルトラマン、次のウルトラセブンまでは、カッコイイと感じていた。
三作目「帰ってきたウルトラマン」の造形は、初代ウルトラマンとそれほど変っていない。

けれど四作目のウルトラマンA(エース)、その後のウルトラマンタロウになると、
子供ながら、カッコイイとは感じなくなっていた。
なにかゴテゴテした感じが好きになれなかった。

ウルトラマンというヒーローの造形だけではない。
地球を防衛する組織のメカニズムも、ゴテゴテと飾り立てたモノへと変っていった。

当時は小学生だということもあって、
もしかすると私が初代ウルトラマン、ウルトラセブンに夢中になっていた年齢と同じ子供がみれば、
ウルトラマンA、ウルトラマンタロウもカッコいいと感じるのかもしれない、そんなふうに思っていた。

それからずいぶん経ち、デザインとデコレーションの違いについて語るときに、
私と同世代で、ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンA、ウルトラマンタロウ、
これらをこの順序で見てきた人ならば、わかってもらえるような気もする。

ウルトラマン、ウルトラセブンの造形はデザインであり、
ウルトラマンA以降はデコレーションの要素が極端に強くなっている。
それは登場するメカニズムもまったく同じことがいえる。

Date: 4月 30th, 2015
Cate: モニタースピーカー

モニタースピーカー論(その2)

数年前だった。ある中古オーディオ店にセレッションのDitton66が置いてあった。
懐しいスピーカーだなぁ、と近づいてみて気づいた。
銘板にDitton66の他に、”Studio Monitor”とあったことを、この時初めて知った。

Ditton66は1970年半ばのスピーカーシステムである。
ややトールボーイ型のエンクロージュアに、
30cm口径のウーファー、5cm口径のドーム型スコーカー、2.5cm口径のドーム型トゥイーター、
それに低域はパッシヴラジエーター(セレッションではABRと呼んでいた)の3ウェイ。

Ditton66の音は、暖かく、どこか保守的なイメージを残す響きをもつ。
ゆえに鮮明さ、鮮鋭さといった印象は、Ditton66にはない。
音のアラさがしをするような聴き方に向いていない。

イギリスならではのグッドリプロダクションな聴き方に、もっともフィットするスピーカーといえる。
そういう性質のスピーカーに、セレッションは銘板に”Studio Monitor”と入れている。
そのことが、だからすごく意外な感じだった。

当時のセレッションのスピーカーシステムには、DittonシリーズとULシリーズがあった。
瀬川先生もステレオサウンド 45号、Ditton33の試聴記に書かれているように、
ULシリーズは音をより正確に再生するシリーズであり、
Dittonシリーズはホームユースとして楽しめる音をねらっている、といえる。
ULシリーズはその後SLシリーズへなっている。

だからULシリーズを”Studio Monitor”と謳うのは、まだ理解できる。
けれどDitton66を”Studio Monitor”と謳っているのを見て、考えてしまう。

Date: 4月 30th, 2015
Cate: 輸入商社/代理店

輸入商社なのか輸入代理店なのか(その14)

1ドル360円だった時代、輸入品は、1ドル1000円で換算したのが、ほぼ日本での価格だった。
そんな話を聞いたことがある。
輸入品は、ずっと以前はそれだけ高価だった。
だからというわけでもないのだろうが、並行輸入をやる業者がある。

モノによっては日本での販売価格よりもかなり安く買えたりする。
高価なモノになればなるほどその差額は大きくなるのだから、
並行輸入品を買ってしまう人もいる。

けれど並行輸入品は、その製品を作っている会社の利益にはなっても、
そのブランドの正規輸入元の利益にはならない。
にもかかわらず並行輸入品のアンプが故障して、正規輸入元に修理を依頼する。

いまはどうなのか知らないが、昔は正規輸入元は並行輸入品であっても修理をことわることはできなかった。
ただし修理費用は正規輸入品よりもずっと高く請求してもいいことになっていた。

けれど並行輸入品を修理に出して、その修理費用が高すぎる。
そんなメールをもらったことがある。

こんなことをメールしてくる人がいるのは悲しくなる。
なぜ多くの人は並行輸入品でなく正規輸入品を購入するのか。

並行輸入品と正規輸入品の価格差を、安心のための出費として考えているからのはずだ。
故障したら自分で修理する、もしくは修理専門業者に依頼する、
さらには処分する。
そういう人は並行輸入品に手を出せばいい。

安心して使いたい。
気に入ったモノならば長く使いたい。
そういう人は正規輸入品を買う。

メーカーや輸入元が修理のために部品をストックしている。
これにも税金がかかる。資産ということになるからだ。
それでも良心的なところは部品をストックしている。

その部品が並行輸入品の修理のために使われる。
そうやって使われる部品の中には、すでに製造中止になっている部品もある。

にも関わらず、並行輸入品の修理の費用が高すぎる、と文句をいう人がいる。
私にメールをしてくるくらいだから、おそらく輸入元には文句を言っていることだろう。

こんな人はごくわずかだと思いたい。
けれど現実にいるのも事実である。

Date: 4月 29th, 2015
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その3)

マークレビンソンML7に銀線が使われていることを知ったのは、
ステレオサウンド 76号の特集、コントロールアンプの総テストだった。

この特集では試聴だけでなく測定も行い、
さらに各社から回路図も提供してもらい、長島先生による技術解説もやっている。
このときにML7の回路図を見ることができ、”Silver Coax”の文字に目が留ったのだった。

そして思い出したのが、KEFのModel 105のことだった。
マーク・レヴィンソンは、Model 105に銀線を使うつもりだったのだろうと思っていた。

ステレオサウンド 50号に「マーク・レビンソンのニューライン完成間近」という2ページ見開きの記事がある。
1979年2月、マーク・レヴィンソンが来日して、都内のホテルでデモンストレーションを行っている。
そのときに開発中の製品として発表された中に、KEFのModel 105をベースとしたモデルがある。

このとき発表された製品には、パワーアンプのML3、コントロールアンプのML6の他に、
マークレビンソンとしてはローコストなコントロールアンプML4、
スチューダーのマスターレコーダーA80のトランスポートを使い、
エレクトロニクスをマークレビンソン製におきかえたML5があり、
さらにピラミッドのリボン型トゥイーターT1をベースに、
インピーダンスを4Ωに変更し、振動板にも若干の変更が加えられたモノ、
そしてKEFのスピーカーシステムModel 105をベースに、
ネットワーク、内部配線をモディファイしたというML10がある。

ML4、ML10、ピラミッドのT1は製品化されることはなかった。
ML10の型番は、ML4とは別のローコストなコントロールアンプに使われている。

この時発表されたモノで、私が興味をいちばんもったのはML10だった。
このML10のことを、ML7に銀線が使われているのを知って思い出したのだった。

Date: 4月 29th, 2015
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その2)

銀線の良さを認める人がいる一方で、否定的な人がいる。
銀線といっても、さまざまなことを考えれば、あたりまえのことである。

銅線にしてもタフピッチ銅と無酸素銅があり、純度に関しても大きな違いがあり、
熱処理、線径の太さなど、すべてが音に関係しているのだから、
銅線の音に関しても、いわゆるピンキリの状態である。

銀線も、銅線ほどあれこれ選べるわけではないけれど、同じであるのだから。

五味先生が感心された岩竹氏によるマッキントッシュのMC275には、
どの程度の銀線が使われたのかはわからない。
それでも、五味先生が「冴え冴えと美しかった」と書かれているのだから、
銀線の可能性に大きく期待して当然だろう。

もちろん銀線だけで音が決定されるわけではない。
それにマークレビンソンにしても銀線をアンプ内配線に使ったのはML6だけだろう、という反論がある。
確かに銀線使用を大きく謳ったのはML6だけである。

ML7以降は、アンプ回路の設計者も変り、モジュール構成も大きく変更され、
銀線は使われていない、と私も思っていた。

けれどML7のブロックダイアグラムをみると、ML7にも銀線が使われいてることがわかる。
インプットセレクターからボリュウムへの配線に、”Silver Coax”と表記してある。
ブロックダイアグラムに、ふつうそういった仕様に関することは書きこまないにもかかわらず、
そう書きこんであるのだ。

Date: 4月 28th, 2015
Cate: 輸入商社/代理店

輸入商社なのか輸入代理店なのか(その13)

マッキントッシュという会社は、ユーザーがとにかく安心して使えることをもっとも大事にしている。
回路構成にしても、動作にしても、サービス体制にしても、
ユーザーが不安を感じることがないようにしている。
(このことはパネル・デザインに関してもいえる。)

マッキントッシュのアメリカでのサービス体制について以前書いているからくり返さないが、
これだけのことをやってくれるメーカーは他にないはずだ。
いまもマッキントッシュが同じサービスを続けているのかは不明だが、
少なくとも、ステレオサウンドから「世界のオーディオ」マッキントッシュ号が出たころはそうだった。

そのマッキントッシュの修理のレベルが、
日本ではマッキントッシュ・ジャパンの時代に大きく低下していった。
マッキントッシュの耳にも、日本でのアフターサービスの低下については入っていたのかもしれない。

そうだとしたら、マッキントッシュにしてみたら、こんなに歯がゆいことはなかったはずだ。
それまで日本のマッキントッシュ・ユーザーは安心して使ってこれた。
エレクトリが輸入元であったからだ。

それがマッキントッシュ・ジャパンになり、ユーザーの間に不安が生じはじめる。
マッキントッシュのこれまで積み上げてきたことからすれば、あってはならないことが、
アメリカに次いで大きな市場である日本で起っている。

マッキントッシュの輸入元がふたたびエレクトリに戻ってホッとしているのは、
ユーザーだけでなくマッキントッシュも、であろう。

修理は難しい。
他人の作ったモノを直さなければならない。
回路図が読め、ハンダゴテが握れるから十全な修理ができるというものではない。
修理がそういうものであることはわかっていたことである。

マッキントッシュ・ジャパンは、修理をどう考えていたのだろうか。
そしてマッキントッシュ・ジャパンの親会社にあたるD&Mホールディングスは、
修理をはじめとするアフターサービスをどう考えているのか、とも思う。

マッキントッシュ・ジャパンがそうであったのだから、
もしかするとD&Mホールディングスの他のブランドも、そうなのかもしれないと疑ってしまう。
そんな人も出てくる。

以前であれば、そんな疑いはいつしか消えてしまっていたことだろう。
けれど今はインターネットで、いくつかのキーワードで検索すれば、
修理の実態がかいまみえてくる。そうなると疑いは確信へと移る。

その怖さをD&Mホールディングスはなんとも思わなかったのか。

Date: 4月 28th, 2015
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その1)

銀が銅よりも導体抵抗が低いことは知っていたけれど、
銀のケーブルがあることを知ったのは、すてサウンドに載っていた新藤ラボラトリーの広告だった。
ウェスターン・エレクトリックに銀のケーブルがあった、とそこには書かれていた。

ちょうど同じころ、マークレビンソンが内部配線材に銀を採用したML6が登場した。
マークレビンソンも銀なのか、その偶然にも驚いていた。

しかもである。ステレオサウンド 52号掲載の五味先生のオーディオ巡礼にも銀線のことが出てくる。
       *
たとえばピックアップコードを通常の銅線から銀線に代えると、高域の伸びは輝きをまし、低域もずいぶんレンジの伸びたふくらみを聴かせてくれるのは、今では大方の人が実験しているだろうが、私の知るかぎり、最初にこれを試みたのは岩竹氏であった。
     *
その岩竹氏のMC275を借りて五味先生は鳴らされている。これも52号に書かれている。
     *
拙宅のマッキントッシュMC275の調子がおかしくなったとき、岩竹さんがアンプ内の配線すべて銀線に替えられたアンプを所持されると聞き、試みに拝借した。それをつなぎ替えて鳴らしていたら娘が自分の部屋からやってきて「どうしたの?……どうしてこんなに音がいいの?」オーディオに無関心な娘にもわかったのである。それほど、既製品のままの私のMC275より格段、高低域とも音が伸び、冴え冴えと美しかった。
     *
もうこれだけで充分である。
銀線の音など聴いてもいないのに、銅線よりも銀線となっていた。

Date: 4月 27th, 2015
Cate: 変化・進化・純化

変化・進化・純化(その3)

「変化・進化・純化」というタイトルをつけている。
はたして、何についての「変化・進化・純化」なのか。
自分でタイトルを考えておきながら、そんなことを考えている。

音の「変化・進化・純化」なのか、
オーディオの「変化・進化・純化」なのか、
それともオーディオ評論の「変化・進化・純化」なのだろうか。

どこかに人の、つまりは自分自身の「変化・進化・純化」なのかもしれないと思いつつも、
まだよくわからずに書いている。

Date: 4月 27th, 2015
Cate: 輸入商社/代理店

輸入商社なのか輸入代理店なのか(その12)

マッキントッシュは2003年、持ち株会社であるD&Mホールディングスに買収された。
しばらくは輸入元はエレクトリのままだったが、
2007年、D&Mホールディングスによって設立されたマッキントッシュ・ジャパンが輸入・販売を行うようになった。

20年以上、マッキントッシュといえばエレクトリという時代が続いた。
エレクトリ時代、マッキントッシュのサービスに対する不安のようなことは聞いたことがなかった。

それがマッキントッシュ・ジャパンになってからは、ちらほら聞くようになってきた。
とはいえ又聞きであったため、はっきりとしたことはわからなかった。
けれど私の友人のアンプが、出力管のカソードに入っているフューズが飛ぶようになり、
マッキントッシュ・ジャパンに修理に出した。

けっこうな金額を請求されたそうだ。
それでもきちんと修理がなされていればよかったのだが、
しばらく使っていると、また飛ぶようになった。

結局マッキントッシュ・ジャパンが修理という名目で行ったのは、
なぜ出力管のフューズが飛ぶのか、その問題点を探り出し、そこを直すというのではなく、
ただ単にフューズを交換したというレベルでしかなかったことがわかった。

マッキントッシュは2012年、別の持ち株会社によって買収された。
そのおかげでエレクトリへ戻った。
マッキントッシュ側の要望でエレクトリに戻った、ときいた。