輸入商社なのか輸入代理店なのか(その13)
マッキントッシュという会社は、ユーザーがとにかく安心して使えることをもっとも大事にしている。
回路構成にしても、動作にしても、サービス体制にしても、
ユーザーが不安を感じることがないようにしている。
(このことはパネル・デザインに関してもいえる。)
マッキントッシュのアメリカでのサービス体制について以前書いているからくり返さないが、
これだけのことをやってくれるメーカーは他にないはずだ。
いまもマッキントッシュが同じサービスを続けているのかは不明だが、
少なくとも、ステレオサウンドから「世界のオーディオ」マッキントッシュ号が出たころはそうだった。
そのマッキントッシュの修理のレベルが、
日本ではマッキントッシュ・ジャパンの時代に大きく低下していった。
マッキントッシュの耳にも、日本でのアフターサービスの低下については入っていたのかもしれない。
そうだとしたら、マッキントッシュにしてみたら、こんなに歯がゆいことはなかったはずだ。
それまで日本のマッキントッシュ・ユーザーは安心して使ってこれた。
エレクトリが輸入元であったからだ。
それがマッキントッシュ・ジャパンになり、ユーザーの間に不安が生じはじめる。
マッキントッシュのこれまで積み上げてきたことからすれば、あってはならないことが、
アメリカに次いで大きな市場である日本で起っている。
マッキントッシュの輸入元がふたたびエレクトリに戻ってホッとしているのは、
ユーザーだけでなくマッキントッシュも、であろう。
修理は難しい。
他人の作ったモノを直さなければならない。
回路図が読め、ハンダゴテが握れるから十全な修理ができるというものではない。
修理がそういうものであることはわかっていたことである。
マッキントッシュ・ジャパンは、修理をどう考えていたのだろうか。
そしてマッキントッシュ・ジャパンの親会社にあたるD&Mホールディングスは、
修理をはじめとするアフターサービスをどう考えているのか、とも思う。
マッキントッシュ・ジャパンがそうであったのだから、
もしかするとD&Mホールディングスの他のブランドも、そうなのかもしれないと疑ってしまう。
そんな人も出てくる。
以前であれば、そんな疑いはいつしか消えてしまっていたことだろう。
けれど今はインターネットで、いくつかのキーワードで検索すれば、
修理の実態がかいまみえてくる。そうなると疑いは確信へと移る。
その怖さをD&Mホールディングスはなんとも思わなかったのか。