Date: 10月 20th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十二夜(Vitavox CN191 Corner Hornで聴く)

ヴァイタヴォックスのCN191は、1977年の時点では一本796,000円だった。ペアで1,592,000円。

復刻されたCN191の価格は、ずっとわからなかった。エンクロージュアの手のかかる造りからして、かなり高価になっていることわかるし、
なんとなくだが、最低でもペアで800万円、もしかしたら1,000万円前後か、と思っていた。

今回のインターナショナルオーディオショウで価格がわかった。ペアで1,500万円ほどである。
約五十年ほどで十倍になったわけだが、復刻のCN191のホーンは、ずっしりと重たそうなウッドホーンになっている。

是枝重治氏の話では、ドライバーのS2も精度が高くなり、昔のS2よりもいい、ということだった。
ということはウーファーもエンクロージュアの造りも、昔よりも一段と良くなっているのかもしれない。

まだ日本では誰も復刻CN191の音を聴いていないのだろう。

そんな復刻CN191の音を想像しながら、11月のaudio wednesdayでは、昔のCN191を鳴らす。

Date: 10月 19th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その15)

結局、今年のインターナショナルオーディオショウは17日しか行けなかった。
18日も予定していたのだが、膝の調子が芳しくなくて休養を優先した。
今日(19日)は用事があったので無理。

初日の午後だけ。しかも今井商事のブースに二時間ほどいたので、すべてのブースどころか、わずかなブースのみしか回れなかった。

それでも是枝重治氏と話す機会があったし、私にとってはけっこう有意義なショウだった。

タクトシュトックのブースで、15時からのジャーマン・フィジックスを聴きたかったけれど、
是枝重治氏の講演が終ったのが、15時15分くらいだったため、諦めた。

今井商事のブースに行く前にタクトシュトックのブースに寄ったのだが満員だったのを見ていたから、
15時過ぎに行ってもダメだろう、と思い、太陽インターナショナルのブースで並んだ。

16時から土方久明氏の回。列はすぐに長くなり、席はすぐに埋まってしまう。立っている人も多い。
太陽インターナショナルといえば、今年はdCSのVarèseが、
なんといっても大きな注目を集めている。

買える買えない、そんなことは関係なく一度は聴いてみたい。そう思わない人は、いるのだろうか。
けれどVarèseの試聴は、dCSからのお達しで、人数制限ありで整理券が必要となる。

朝10時から配布される整理券は、行く前から諦めていた。とはいえ実物を見ることはできる──、そう思っていたら、
土方久明氏の回の最後で、一曲だけではあったがVarèseの音を聴くことができた。

Date: 10月 18th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その14)

昨晩の(その13)では恥らいという言葉を使ったが、だからといってヴァイタヴォックスのCN191の音を、恥らいの音と表現するのには躊躇いがある。

恥らいと書いてしまうと、どこか、そして少しばかりネガティヴにも受け止めれかねない。
大きく外れていないけれど、微妙に誤解を招くとも感じる。

含羞。
辞書には、はにかみ、はじらい、とある。

それでも恥らいと含羞とでは、同じだろうか。
同じだろう、と言われれば、そうですね、と言ってしまうけれど、
CN191の音を聴いた人ならば、わかってくれるかもしれない、とも思っている。

含蓄のある音と、CN191の音をたとえることもできる。
でもそれだけではない、といまの時代のスピーカーを聴いた後だと、よけいに思う。

含羞のある音。
いまの私はそう感じている。

Date: 10月 18th, 2025
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その17)

昨日のインターナショナルオーディオショウ、今井商事での是枝重治氏の講演で、
ヴァイタヴォックスのCN191のネットワークがらみで、JBLのハーツフィールドについても、少し話された。

ハーツフィールドがうまく鳴らないのであれば、ヴァイタヴォックスのネットワーク、NW500を試してみるといい、ということだった。

ハーツフィールドのネットワークはN500で、NW500と同じくクロスオーバー周波数は500Hz。
使用ユニットのインピーダンスもほぼ同じなので確かに使える。

N500は一般的な並列型、 NW500はくり返しになるが直列型。
使用部品の違いもあるが、この並列型か直列型かの違いの方が、そこで鳴ってくる音への影響は大きいと私は考えている。

どういう結果になるのかはなんともいえないが、NW500の中古を探して試してみる価値はある。

Date: 10月 17th, 2025
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その16)

四谷三丁目の喫茶茶会記でaudio wednesdayをやっていた時、
アルテックのスピーカーユニットによるスピーカーシステムのネットワークは、
途中から私が作った直列型になった。

コーン型ウーファーとホーン型トゥイーターといった、上と下で構造の違うユニットを組み合わせるとき、
直列型ネットワークの方がうまくまとまるような感じを持つようになった。

コーン型ウーファー、コーン型トゥイーターもしくはドーム型トゥイーターといった、どちらもダイレクトラジエーター型ならば、
ネットワークはどちらがいいのかは、その結果は変ってくるかもしれないが、
コーン型とホーン型の組合せにおいては、直列型ネットワークが優位性が高いような気さえする。

今日、インターナショナルオーディオショウに行き、今井商事のブースで是枝重治氏の話を聞いて、
ヴァイタヴォックスのネットワークNW500も、直列型であったことを知る。

Date: 10月 17th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その13)

インターナショナルオーディオショウに行ってきた。
もちろん今井商事のブースで、ヴァイタヴォックスのCN191を聴くためだ。

14時からの是枝重治氏の講演で聴く。
13時には今井商事のブースに入っていた。
D/AコンバーターはマイテックのManhattan DACで、MQAが再生できる。

今井商事が用意されていたCDの中に、MQAの発売が始まったころ、
ユニバーサルミュージックが通常のCDとMQA-CDを比較試聴できるサンプラーを発売していた。このCDがあったので聴かせてもらった。

MQAで聴くCN191の音である。アンプは是枝重治氏製作のアンプ。管球王国で発表されていた管球式プリメインアンプでの音でもある。

おそらく今年のインターナショナルオーディオショウで鳴っていたスピーカーの中で、一番の変換効率の高さのCN191である。

その高能率とひきかえに、決してワイドレンジなスピーカーではない。
これだけ大型のスピーカーであっても、ずっと小型の今どきのスピーカーの方が低域も高域も伸びている。

でも、そんなこととは無縁といえる音を聴くことができる。
古めかしい音と一蹴するのは、聴く人の自由と言えようが、
本当にそうだろうか。それは聴き手の自由なのだろうか。

世の中、恥じらいが失われていると感じている人もいるだろう。オーディオもそうだ、と感じている人もいるだろう。
そういう時代だからこそ、CN191の存在が輝きを取り戻しつつあるのかもしれない。

是枝重治氏の講演でCN191が聴けるのは、明日(18日)の14時からの会で終る。

Date: 10月 16th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その12)

今井商事のブースで、ヴァイタヴォックスのCN191を鳴らすアンプは、是枝重治氏製作のモノ。
入力系は、というと、マイテックのManhattan DACとのこと。
ということはMQA対応のはず。

今井商事のブースが来場者のリクエストに応えてくれるのかはわからないが、
MQAで鳴るCN191の音が聴けるかもしれない。

Date: 10月 16th, 2025
Cate: ハイエンドオーディオ

ハイエンドオーディオ考(その22)

マッキントッシュのゴードン・ガウの言葉がある。

「quality product, quality sales and quality customer」。
どれかひとつ欠けても、オーディオの世界はダメになってしまう──、
とゴードン・ガウは言っていた。

これまで、別項で何度も引用してきている。
この項でも、このゴードン・ガウの言葉を思い出す。

非常に高価なオーディオ機器を一式ポンと買っていく富裕層が、いまのハイエンドオーディオブランドの客だという話がある。

そうかも、と思う。
金額の桁が一つどころか二つほど違うオーディオ機器を、ポンと買える人たちを相手にした方が、商売の効率はいい。

そういう層の人たちがいるのはいい。
そういう層の人たちがいるから、ものすごいモノにメーカーも取り組めるという一面があるからだ。

でも、前回書いたことのくり返しになるが、そういう層の人たちは、
ゴードン・ガウのいうところのquality customerだろうか。

ゴードン・ガウがマッキントッシュからいなくなってずいぶん経つ。
マッキントッシュというブランドもずいぶん変った。

ゴードン・ガウがいた頃のマッキントッシュにとってのquality customerと、
不在の、いまのマッキントッシュにとってのquality customerは同じとは思えない。

このことはマッキントッシュだけに限ったことではない。
そしてゴードン・ガウのいうところのquality customerも、最初からquality customerだったわけではないはず。

だからこそ“quality product, quality sales and quality customer”なのだろう。

Date: 10月 15th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その11)

今年のインターナショナルオーディオショウにも、注目を集める製品はある。
今年も相当に高額なスピーカーシステムが登場する。そういうスピーカーを聴く機会はそうそうない。
オーディオ店でもなかなか聴けないだろうから、インターナショナルオーディオショウは数少ない機会なのだから、注目を集めるのも当然ではある。

そう思いながらも、しつこいようだが、私の楽しみはヴァイタヴォックスのCN191だ。

CN191はコーナー型スピーカーだから、どう設置されるのか。そのことだけでも興味深い。
おそらく縦長に部屋を使うように設置されるだろう。
でも私が聴いてみたいのは、思い切り左右に広げるために、
横長での部屋の使用だ。

勝手なことをいえば、金曜日は縦長で、土曜日は横長での部屋の使用とやってほしい。

Date: 10月 15th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その10)

今年のインターナショナルオーディオショウでの今井商事のブースでは、是枝重治氏がヴァイタヴォックスのCN191を鳴らされる。

これまでの告知では、金曜日と土曜日の14時からの一時間だった。
先ほどインターナショナルオーディオショウのウェブサイトを見たら、下記のようになっていた。

10月17日 (金)
11:00~12:00     自社講演
14:00~15:00     是枝重治氏
17:00~18:00     自社講演

10月18日 (土)
11:00~12:00     自社講演
14:00~15:00     是枝重治氏
17:00~18:00     自社講演

10月19日 (日)
11:00~12:00     自社講演
15:00~16:00     自社講演

尚、金曜日と土曜日の自社講演につきましては、
是枝重治氏の講演に変更する場合があります。

ということは金曜日と土曜日は、それぞれ最大で三回、是枝重治氏の講演となるのかもしれない。
あくまでの可能性なので、確実に是枝重治氏の講演を聴きたい方は、14時からの回である。

Date: 10月 14th, 2025
Cate: ステレオサウンド

早瀬文雄氏の文章(余談)

10月12日から始めた早瀬文雄さんの文章の公開は、いまのところ一日一本のペースでやっている。

ステレオサウンド 95号から始めたのには、これといった理由はなく、
いちばん近くにあったからだけが、その理由だ。

95号の特集は、「最新スピーカーシステム50機種・魅力の世界を聴く」で、
大型、中型、小型の三つのグループに分けての試聴を行っているだけでなく、
単発の記事として、上杉先生の「ついに〝ジャジャ馬〟を飼い鳴らした! アルテックにおける人間研究」と、95号の表紙にもなっているゴールドムンドのアポローグもある。

別項で、ステレオサウンドを弁当に喩えると、幕の内弁当、さらにはマス目弁当化している、と書いている。

95号は、そうなる前のステレオサウンドである。

ゴールドムンドのアポローグの記事だが、これを読んで不思議に思われた方もいるだろう。
表紙にもなっていることもあって、モノクロ5ページがあてられているが、
扉のページに、製品解説:早瀬文雄、ヒアリングインプレッション:傅 信幸とある。

普通だったら、二人のうちのどちらかが製品解説も試聴も担当するのに、
このアポローグの記事だけは違う。
しかも扉のページには、編集部による文章もあったりする。

このアポローグの記事が、こうなったのにある理由がある、と確信している。苦肉の策のはずだ。
当時、舘(早瀬文雄)さんに理由をきくこともしなかった。

その理由がきくまでもなくわかっていたし、そういうことだったんですね、で通じていた。

Date: 10月 13th, 2025
Cate: the Reviewの入力

早瀬文雄氏の文章

昨晩からthe re:View (in the past)の更新を再開している。

昨夏からMacが全て故障してしまっていて、このブログも一年以上、iPhoneで書いている。
なのでMac(+親指シフトキーボード)で書いていたころの誤入力、誤変換とは違った誤入力、誤変換になっている。

the re:View (in the past)の更新には、私の場合、親指シフトキーボードがどうしても必要なのだが、
使えなくなったMacしかない状態では、そんなことも言ってられないのだが、
とはいえiPhoneでの、他の人が書いた文章の入力は、やってみるとけっこうしんどい。

でもiPhoneでは音声入力ができる。試しにやってみると、なかなかいい感じで、実用になるレベルだ。
ずっと以前IBMが音声入力のハードウェアとソフトウェアのバンドル版を出していた。

使ったことはないが、当時のMac関係の雑誌の記事を読む限り、実用にはまだ遠いなと感じていた。
それがいまやiPhoneだけで、当時よりもずっと変換精度も高くなっている。

今年7月に、早瀬文雄(舘 一男)氏の文章を公開する許諾を得ていた。
舘さんの誕生日は8月、1955年生れだから今年で70。
だから8月に公開しようと思いつつも、暑さの前に、10月にしよう、と変更してしまった。

10月15日は、舘さんの命日。この日に公開しようとも考えたが、
私の性格からして、そんなふうに延ばしてしまうと、またずるずるとなりそうなので、
思い立ったときに、ということで昨晩から公開することにした。
とはいえポチポチと更新していく。

以前は、「更新のお知らせ」を載せていたが、もうやめた。なので、更新されたのかどうか分かりにくいだろうが、このままで続けていく。

Date: 10月 12th, 2025
Cate: ハイエンドオーディオ

ハイエンドオーディオ考(その21)

その19)で触れている、ソナス・ファベールのソナス・ファベールのStradivari Homageを見て、
音を聴くこともなく、買っていった女の人は、その後どうなんだろうかとおもう。

当時、ペアで五百万円ほどのStradivari Homageを買う。
この女の人は、Stradivari Homageに見合うアンプその他をすでに所有していたのか、
それともStradivari Homageと一緒にまとめて購入したのか。

なんとなく後者のような気がするするが、仮にそうだとして、
この女の人は、その後、オーディオにお金をかけるのだろうかと思う。

Stradivari Homageをポンと買っていく人だから、かなり裕福な方だろう。
アンプその他も買って行ったとしたら一千万円を超える買い物となる。
オーディオ店にとって、いいお客のはずだ。
ただ、その後もいいお客と言えるのか。

Stradivari Homageの購入をきっかけにオーディオに強い関心を持ってくれるかもしれないが、
高価な音の出る家具としての購入とも考えられる。

そうだとしたら、グレードアップといったことには関心がないだろう。
つまり一回限りのお客の可能性もある(高い)。

それでも一回で大金を払ってくれるのだから、十分すぎるいいお客と、オーディオ店の店員からすれば、そうだろう。

こういうお客が来てくれれば、オーディオ店は潤う。けれど長いつきあいとなるお客かどうかは、なんとも言えない。

オーディオ機器はいつか故障する。
その時は新しい機器を、またポンと買ってくれるかもしれないから、なんとも言えないけれども、
オーディオ界を支えているのは、そういう層の人たちだろうか。

Date: 10月 11th, 2025
Cate: デザイン

オーディオ・システムのデザインの中心(その35)

2020年末まで四谷三丁目でやっていたaudio wednesdayは、2024年から狛江でやっている。

スピーカーも違う、アンプも違う、部屋も違う。いろいろと違う中で、私がいまいちばん意識していることは、
コントロールアンプを使うことが増えてきた、である。

四谷三丁目のころは、アンプはマッキントッシュのプリメインアンプだったから、
コントロールアンプを使うことはあまりなかった。
全く使わなかったわけではない。

マークレビンソンのLNP2を鳴らした方もある。
マッキントッシュのプリメインアンプにはパワーアンプ部への入力端子がある。
コントロールアンプ部をパスしてパワーアンプとして使ったわけだが、
マークレビンソンとマッキントッシュの組合せが決していいとほ思っていないが、
それでもLNP2の存在感を十分すぎるほどに感じられた。

このころはパワーアンプとして使うこともけっこうあった。

2024年は使ったり使わなかったりだったのが、2025年は使うことの方が多い。

アインシュタインのコントロールアンプも使っていたし、マランツのModel 7をメインのコントロールアンプとして使っている。

野口晴哉氏のリスニングルームにはマッキントッシュのC22もあって、
今年、整備されて使えるようになっている。

C22も使おう(鳴らそう)と思いながらも、Model 7を選んでいる。

深く考えてのModel 7ではなかったけれど、こうやって改めて考えてみると、
野口晴哉氏のオーディオシステムのデザインの中心として選んでいたのかも──、と思い始めている。

Date: 10月 10th, 2025
Cate: ディスク/ブック

gulda récital Montpellier, 1993

グルダの1993年のモンペリエ・サマー・フェスティヴァルでのライヴ録音(CD二枚組)は、
グルダの数多いアルバムの中でも素敵な一枚といえるけれど、
残念なことに廃盤のまま、けっこうな月日が経っているし、
それだけでなくTIDALでもQobuzでも配信されていない。

11月半ばにドイツ・グラモフォンからグルダのCDボックスが発売になる。

ドイツ・グラモフォン、アマデオ、デッカ、フィリップス、アコールなどへの録音をおさめたもので、
CD84枚プラスDVDという内容。

今回初めてCD化された録音もある。そしてモンペリエでのライヴ録音も含まれている。