色づけ(colorationとcolorization・その2)
カラーレイション(coloration)とカラリゼイション(colorization)は、
同じように捉えがちの人もいるようだが、同じ色づけであっても、
その意味あいが違う、ということを(その1)で触れている。
カラリゼイションということで、私がまっさきに思い浮べるスピーカーは、
やはりアルテックだ。
往時のアルテックのことであり、
そのアルテックの604-8Gを搭載したUREIの813のことである。
UREIの813は聴く機会がなかった。
813Aもなかった。
私がステレオサウンドの試聴室で聴いたのは、813Bと、
そのコンシューマー・ヴァージョンの813Bxである。
813Bはアルテックの604ではなくなっている。
813の音は、ほんとうに聴きたかった。
瀬川先生は、「続コンポーネントステレオのすすめ」で、813についてこう書かれている。
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なにしろ、音がいくらでも湧き出てくるような、弾みのついた明るい響き。雄大なスケール感。まるでコダカラーのような、つまりどこか人工的な味わいであることは感じさせながらも、しかしこれはアメリカでしか作ることのできない色彩のあざやかさと豊富さ。
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ステレオサウンド 46号の特集の試聴記では、こう書かれている。
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たとえばブラームスのP協のスケールの雄大な独特な人工的な響き。アメリカのスピーカーでしか鳴らすことのできない豪華で華麗な音の饗宴。そしてラヴェル。「パリのアメリカ人」ではなくて「パリジャン・イン・アメリカ」とでも言いたい、まるでコダカラーのような色あいのあざやかさ。
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46号では、岡先生も、同じように評価されていた。
こういう良さが、813Bでは、少なくとも私は感じられなかった。
アルテックのユニットではなくなったからなのか。
UREIの813の音は、はっきりとカラリゼイションである。
しかもそのカラリゼイションは、
アルテックのユニットだからこその色づけだと感じるし、
五味先生が山中先生のリスニングルームで、ブルックナーを聴かれたことも思い出す。