オーディオ評論家の「役割」、そして「役目」(300Bのこと・その4)
300Bはトーキー用のアンプに使われる出力管である。
このことを思い出してほしい。
しかもアメリカの映画館で使われていたアンプの出力管である。
サウンドボーイのOさんから聞いたことがある。
「300Bシングルは、いわゆる日本的なシングルアンプの音ではない」と。
Oさんは続けて「トーキー用アンプの球なんだから」とも。
1982年のステレオサウンド別冊 Sound Connoisseur(サウンドコニサー)に、
伊藤先生の300Bについての記事が載っている。
この記事(というよりサウンドコニサーそのもの)の担当はOさんだった。
この記事のタイトルは、「真空管物語」。
さらにこうつけ加えられている。
「ウェスターン・エレクトリックの至宝 極附音玻璃球」である。
極附音玻璃球は、きわめつきおとのはりだま、と呼ぶ。
300Bのシングルアンプ、それも伊藤先生のアンプを聴いたことのある者には、
この「極附音玻璃球」こそ300Bのことだと、頷ける。