ケーブル考(その8)
ケーブルによる音の違いをあれこれ経験していくうちに、
増幅よりも伝送のほうが難しいのではないのか。
難しい、という表現が適切でないとしたら、
不明なことが多いのではないか、と20代のころから考えるようになってきた。
回路図上では、ケーブルは線で表現される。
実際のケーブルは同じようなモノといえる。
細い金属線で接続しても音は出る。
アンプはそうはいかない。
トランジスター一石のアンプであっても、
トランジスターのみで構成できるわけではない。
抵抗、コンデンサーといった受動素子も必要だし、設計も必要となる。
それに電源がなければ動作しないから、ここをどうするかのかも考えなくてはならない。
それでも伝送のほうが増幅という動作よりも、実のところ、
よくわかっていないのではないのか。
そんなことを以前から考えていた。
これはアンプを自作するしか試せないのだが、
コントロールアンプとパワーアンプの電源を共通とすることで、
ケーブルによる音の変化量と幅は、かなり抑えられるようになるのではないか。
これが私の仮説の一つである。
プリメインアンプは筐体が一つである。
それがセパレートアンプにすることで、
筐体はコントロールアンプとパワーアンプの(最低でも)二つとなる。
パワーアンプがモノーラル仕様なら三筐体になる。
私がいま考えているのは、そして実験してみたいのは、
コントロールアンプ(増幅部のみ)、パワーアンプ(増幅部のみ)、
それに共通電源部という三筐体という構成である。
セパレートアンプとすることで、
コントロールアンプとパワーアンプの電源が独立できているのを、
何も共通にすることはクォリティの低下を招くのではないか──。