JBL SA750(その21)
ゴールドムンドのEidos 20は、ステレオサウンドの新製品紹介記事で取り上げられている。
166号あたりだったと記憶しているが、手元にないので確認していない。
モノクロ1ページの扱いだったはずだ。
傅 信幸氏が担当されていたはずだ。
Eidos 20の中身がパイオニアのDV600であることは、
ステレオサウンドの記事の前からインターネットでは話題になっていた。
だからこそ記事では、そのへんのことをどう触れているのかは、
少なからぬ人が興味を持っていたと思う。
傅 信幸氏はまったく触れていなかったわけではないが、
あくまでもさらっとした触れ方だった、と記憶している。
少なくとも問題となるような書き方ではなかった。
ここでいう問題となる、とはクライアントから苦情がくる、という意味である。
ちなみにきいたところによると、
ゴールドムンドはパイオニアから直接DV600を購入できたわけではなかった、ようだ。
市販されたモノを購入してのEidos 20であったそうだ。
とにかくレッド・ローズ・ミュージックの件も、
ゴールドムンドの件も、オーディオ雑誌は問題というふうには取り上げなかった。
Eidos 20に関しても、記事の前に話題になってしまっていたから、
傅 信幸氏は触れざるをえなかったのではないのか。
話題になっていなかったら(発覚していなかったら)、
そのことにはまったく触れずにいたように思ってしまう。
こういうことはオーディオ雑誌にとっても、オーディオ評論家にとっても、
やっかいなことでしかない。
触れずにおくのが、いちばん楽である。
触れざるをえない場合でも、さらっと触れるだけにしておく。
説明から逃げる態度こそ、オーディオ業界で喰っていくため、とでも、
彼らは口を揃えるかもしれない。
つまり、JBLの新製品であり、
JBLの創立75周年モデルのSA750は、
こういったオーディオ業界が抱える問題点を具象化し提示したモデルといえる。
JBLというよりも、ハーマンインターナショナルという大企業は、
こういったオーディオ業界が抱えている問題をあえて指摘するために、
もしくはオーディオ業界を試すなのか。
そんなふうに思ってしまうのは、SA750が単なる新製品ではなく、
75周年モデルでもあり、SA600のオマージュモデルということが前提としてあるからだ。
SA750がオーディオ雑誌で賞をとったとしよう。
そのことをJBL(ハーマンインターナショナル)を含めて、
オーディオメーカーは、どう捉えるだろうか。
SA750は存在価値というより、そういう意味で存在意義がある、といえる。
少しでも、なにかをあぶり出してくれるのか、それともまったくなのか。
そのどちらかであってもSA750の存在意義は変らない。