Archive for 1月, 2021

Date: 1月 13th, 2021
Cate: 新製品

JBL SA750(その3)

SA750の紹介記事は、
オーディオ関係のウェブサイト以外にもある。

GIZMODOというサイトにも、SA750の紹介記事がある。
タイムマシンが持ってきてくれたJBLの60’sデザインアンプ
というタイトルの記事だ。

おそらく同じ資料を見て書かれたものだろうが、
オーディオ関係のサイトの紹介記事とは、違うといえば違う。

武者良太という人が書いている。
オーディオマニアではないのだろうか。
ソーシャルメディアに見られるオーディオマニアの反応とも違う。

デザインについての反応も、ずいぶん違う。
武者良太という人は、SA600に憧れはないのだろう。

記事の最後のほうに、こうある。
     *
JBL(Harman)を率いるSamsung(サムスン)だからこそ、世界的におうち時間が長いこの時代に合わせて、ゆったりと音楽が楽しめるアンプを作ったのではないかと思えてきます。
     *
こういう捉え方も、ずいぶん違うな、と感じたところ。

Date: 1月 12th, 2021
Cate: ディスク/ブック

スピーカー技術の100年III ステレオ時代と日本製システムの変遷(その2)

誤植のまったくない本というのは、いったいどれだけあるのだろうか。
スピーカー技術の100年III ステレオ時代と日本製システムの変遷」も、いくつかある。

すぐに誤植と、誰にでもわかる程度であれば、ここで取り上げたりはしない。
けれど、59ページ掲載の写真11-26は、見逃せない。

そこには《前面ネットを外して撮影したミニスピーカーシステムの外観(1964年)》とある。
本文中(57ページ)にも、1964年に撮影された、とある。

けれど、この写真に写っているのは、
ブラウンのL100、ダイヤトーンのDS5B、ロジャースのLS3/5A、グッドマンのMaxim、
パイオニアのCS-X3の五機種である。

LS3/5Aが日本に輸入されたのは1976年、
L100、DS5B、CS-X3は1977年に登場した機種である。
Maximだけが、この中では古い機種である。

写真は1977年に撮影されたもののはずだ。
この時代のオーディオを知る人ならば、すぐに間違いだと気づく。
問題なのは、ずっと後の世代に人たちは、この間違いに気づきにくいことだ。

資料的価値の高い本に、そう書いてあると、
その時代のことを知らない人は、そうなのか、と素直に信じてしまう。

そうなると、誰かが、違うよ、と指摘したところで、
あの本にそう書いてあったのだから、となかなか信じてもらえないことだって、十分考えられる。

不真面目な本であれば、あえて書かない。
でも「スピーカーの技術100年」は、より信頼ある本になってほしい。

そのためにも正誤表をきちんとつくり公開してほしい。

Date: 1月 12th, 2021
Cate: 書く

毎日書くということ(本音を失っているのか・その6)

よく汲みだす井戸の水は澄んでいる、という。

本音も同じだろう。
本音を押え付けたり、無視したりしているうちに、
書き手という井戸のなかの水(本音)は、いつのまにか澱んでしまった。

しかも澱んでしまっていることにすら気づいていない書き手がいる。

Date: 1月 12th, 2021
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その12)

この組合せ、この時の音があまりにも印象的だったこともあり、
私にとってラックスの38といえば、SQ38FDでもSQ38FD/IIではなく、LX38である。

しかも私はウッドケースというのが、あまり好きではない。
LX38はウッドケースがオプションになっていた。

おそらくウッドケースをつけると値上げしなければならなかったため、
なんとか価格も維持するためだったのだろう。

だとしても重いコートを脱ぎ捨てかのようでもあり、私はLX38を好む。
ではLX38の程度のいいのを探してきてコーネッタを鳴らしたいか、となると、
興味がまったくない、とはいわないまでも、それほどではない。

なぜかというと、まず一つはスペンドールのBCIIとコーネッタは、
同じイギリスのスピーカーシステムであっても、ずいぶんと性格が違う。
それに当時はアナログディスクで、カートリッジはピカリングだった。

いまはそうではない。
ピカリングのXUV/4500QのようなCDプレーヤー、もしくはD/Aコンバーターはない。

あのころとずいぶんと、いろんなことが変ってきている。
LX38の出力管、50CA10も、いまでは製造されていない。
探せば、まだ入手できる真空管ではあるが、
なんとなく避けたい気持があったりする。

中国で、さまざまな真空管が製造されているが、
50CA10は、そのラインナップにはない。おそらくこれから先も期待薄だろう。

他にも、こまかな理由がいくつかあって、
LX38で、どうしても──、という気持にはなれないでいる。

やはりKT88のプッシュプルアンプで鳴らしたい、という気持のほうが、強い。
いい音の真空管アンプであれば、なにもKT88のプッシュプルにこだわる必要はない──、
頭では、そう理解していても、一度はKT88のプッシュプルで鳴らしてみたい。

それも自分の手で鳴らしてみたい。

Date: 1月 11th, 2021
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その11)

コーネッタを手に入れたことで、
この項のテーマが微妙にずれてきてしまっている。

だんだんとコーネッタにおける黄金の組合せ的なことを考え始めている。

別項で「黄金の組合せ」について書いている。
黄金の組合せという表現がつかわれるようになったのは、
タンノイのIIILZとラックスのSQ38FDの組合せからであろう。

この組合せの音は聴いたことがない。
それでもなんとなく想像はつく。

IIILZとコーネッタは、基本的には同じユニットといってもいい。
もちろんMonitor GoldとHPD295Aは違うユニットだ、という人もいるのはわかっている。

それでも別ブランドのユニットと比較すれば、どちらもタンノイの10インチ同軸型ユニットである。
ならばコーネッタにもSQ38FDが合うのだろうか。

これも別項で書いているのだが、
ラックスのLX38(SQ38FD、SQ38FD/IIの後継機)で鳴らしたスペンドールのBCIIの音は、
いまでも聴きたい、と思うほどの音だった。

熊本のオーディオ店で、この組合せで、と瀬川先生にいった。
瀬川先生は、なかなかおもしろい組合せだ、といわれた。
接続が終って、音が鳴り始めた。

カートリッジは、ピカリングのXUV/4500Qにした。

スピーカーにしてもアンプにしても、カートリッジもそうなのだが、
どれもはっきりとした個性をもつ音だ。

鳴ってきた音を聴かれた瀬川先生は「玄人の組合せだ」といわれた。
自分で考えた組合せということもあって、
私にとっての「黄金の組合せ」といえば、この組合せの音である。

Date: 1月 10th, 2021
Cate: 新製品

メリディアン 251 Powered Zone Controller

メリディアンの輸入元がオンキヨーに移行して一年以上経つが、
音沙汰なし、といっていい状態が続いている。

先日、久しぶりにメリディアンのサイトを見ていた。
Productsの項目をみていたら、Integrated Ampsとあった。

以前みたときにはなかった項目である。
どんなプリメインアンプなのだろう、とクリックしてみると、
そこに表示されたのは、218と同シャーシーの251である。

Integrated Amp(プリメインアンプ)ではあるけれど、
218同様、フロントパネルにはツマミはひとつもない。
iPhone、androidのアプリ、IP Controllerで操作することになる。

出力は8Ω負荷で65W×2、4Ωでは100W×2である。
シャーシーは218と同じであっても、プリメインアンプなだけに、
重量は218の約五倍の2.5kgである。
といってもコンパクトだし軽いプリメインアンプである。

入力は218に準ずる。
もちろんMQA対応である。

JBLのSA750もそうなのだが、D/Aコンバーターを搭載し、
しかもMQA対応であれば、それだけのことであっても、
聴いてみたい、という気持が高まる。

1986年だったか、アルパイン・ラックスマンからプリメインアンプ、LV109が登場した。
D/Aコンバーターを搭載した初めてのプリメインアンプである。
LV109は、かわりにフォノイコライザーを搭載せず、LE109として販売していた。

当時、ステレオサウンドにいたから、
D/Aコンバーターを搭載することへの反応を、直接知ることができた。
肯定的な意見は、ほぼなかった。
私も懐疑的だった。

アンプ・エンジニアが技術的な挑戦として試作品をてがけるのは理解できても、
製品化することのメリットがあるとは思えなかった。

それから三十数年が経ち、ずいぶん捉え方も変っている。

Date: 1月 9th, 2021
Cate: 新製品

JBL SA750(その2)

ソーシャルメディアを眺めていたら、
JBLの新製品、SA750は、アーカム(ARCAM)のSA30をベースにしているのではないか、
そんなことを目にした。

確かにスペックを比較すると、そう思えてくる。
いまアーカムの輸入元は日本にはなく、SA30というモデルがあることも、
今回初めて知った。

しかもアーカムは、いまではハーマン・インターナショナルの傘下である。
となるとますます、その可能性は高くなる、といえる。

事実かどうかは、SA750が登場してみないことにはいえない。
内部写真を比較できれば、一目瞭然となるのか。

それともSA30をベースにしていたとしても、
筐体が変更されるとともに、コンストラクションも変更されているのかもしれない。

可能性としては低いが、
たまたまSA30と同じスペックになってしまった、ということもあるかもしれない。

仮にそうだとしよう。
こういう例は過去にもある。

あえて固有名詞は出さないが、
インターネットではかなり話題になっていた。

ベースとなった国産モデルと、
流用した海外モデルの内部写真が比較されていた。

価格的にさほど違わないのであれば、
アピアランスを好みで選択する、ということも、
趣味の世界だから考えられる。

けれど、価格もずいぶん違っていた。
どうすればこれだけ違うのだろうか、と首を傾げたくなるほどだった。

海外モデルのほうは、オーディオ雑誌でも取り上げられていた。
そこそこの評価を得ていたけれど、
国産モデル(安価な製品)をベースにしていることに触れた人はいなかったはずだ。

SA750は、どうなるのだろうか。
4月発売ということは、
早ければ3月発売のステレオサウンドが取り上げるかもしれないし、
遅くとも6月発売の号には載るはずだ。

誰が担当するのか。
当り障りのないことを書くだけなのか、
SA30との比較を含めて書くのか。

Date: 1月 8th, 2021
Cate: 新製品

JBL SA750(その1)

いくつかのサイトに掲載されているのでご存知の方も多いだろう。
今年4月に、JBLの創立75周年を記念してのプリメインアンプSA750が登場する。

同時にスピーカーシステム、L100 Classic 75も登場する。

SA750という型番を見て、SA600の後継機か、と期待した。
記事の本文を読んでいくうちに、SA750の写真が登場した。
……(微妙)が、私の正直な感想である。

SA600を知っている世代ならば、がっかりした、というのが、本音だろう。
SA750のデザインを素晴らしい、という人はいるのだろうか。

悪い、とまではいいたくない気持がある。
なんとなくフロントパネルの右三分の二が、ラジオのように感じられる。

それでもSA750のプリメインアンプとしての機能には興味がある。
トーンコントロールはないようだが、
Dirac Live(ルーム補整)を備えているし、
フォノイコライザーはもちろん、D/Aコンバーターも内蔵している。

しかもMQA対応である。
Roon Ready対応でもある。

それにずんぐりむっくりではないのもいい。
音はどうなのかは、いまのところなんともいえない。

写真を見てがっかりした。

こういう内容の機能を搭載しているだけに、
なんらかのディスプレイを必要とするのだろう。
そのせいもあって素敵なデザインとは、お世辞にもいえない。

いっそのことディスプレイに関しては、
iPhoneなどのスマートフォンやiPadなどのタブレットにまかせてしまうのも、
ひとつの手であっただろうが、
プリメインアンプ一台で完結させたかったのでもあろう。

それでも内容を知れば、なかなかに面白いそうなプリメインアンプだと思う。

5月ごろにOTOTENが開催されれば、そこでお披露目となるのだろうが、
このコロナ禍では、OTOTENの開催がどうなるのかなんともいえない。

Date: 1月 7th, 2021
Cate: 長島達夫

長島達夫氏のこと(その11)

長島先生がサウンドボーイの創刊号(だったはずだ)に、
将来、ダイヤモンドが半導体の材料となる、と書かれていた。

それから四十年以上が経って、ようやくそうなりそうである。

ナゾロジーというウェブサイトがある。
昨日(1月6日)の記事に、
「ダイヤモンドを引っ張って延ばす」と高性能の半導体に変化した!未来の半導体はダイヤ製かもしれない。
があった。

これもまた「ほらな、言った通りになっただろう」といわれたはずだ。

Date: 1月 7th, 2021
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(伊藤喜多男氏のことば)

伊藤喜多男先生のことば──
《スピーカーを選ぶなどとは思い上りでした。良否は別として実はスピーカーの方が選ぶ人を試していたのです。》

ステレオサウンド 72号に載っている。
記事ではなく、上弦(かみげん、と読む。シーメンス音響機器調進所)の広告に載っている。

これがスピーカー選びの真理とすれば、
タンノイに試されるときが、私にようやく訪れた、ということなのだろう。

Date: 1月 7th, 2021
Cate: 瀬川冬樹

虚構を継ぐ者(その4)

後継者とは、なんだろうか。

松尾芭蕉のことばをかりれば、
《古人の跡を求めず、古人の求めたる所を求めよ》であり、
ゲーテのことばをかりれば、
《古人が既に持っていた不充分な真理を探し出して、
それをより以上に進めることは、学問において、極めて功多いものである》と考えている。

先人・先達たちが積み重ねてきた実績の上に、
さらに積み重ねることができる人が後継者であり、
模倣するだけの人は後継者とはなりえない。

「青は藍より出でて藍より青し」であってこそ、後継者ともいえよう。

私がステレオサウンド 214号掲載の五月女 実氏の文章を読んで感じたことは、
こういうことであり、五月女 実氏を五味先生の後継者とはまったく感じられなかったし、
五月女 実氏は、五味康祐たらんとされているように感じたところでもある。

Date: 1月 6th, 2021
Cate: audio wednesday

第119回audio wednesdayでやる予定だったこと

今日は第一水曜日。
喫茶茶会記がビル建て替えによる退去にあわなければ、今日はaudio wednesdayだった。

2020年4月、コロナ禍で休んだため、
120回ではなく119回になってしまったが、
今日でaudio wednesdayは丸十年である。

なので少し趣向をかえて、アルテックの604-8Gをもっていき、
416-8Cのかわりに取り付けて鳴らす予定だった。

604-8Gは元箱におさまったままなので、宅急便で送ることができる。
クルマを持たない、運転できない私でもなんとかなる。

604-8Gを思いっきり鳴らしてみる──、が119回のテーマだった。

Date: 1月 6th, 2021
Cate: ショウ雑感

2021年ショウ雑感(その1)

2020年、私が行ったオーディオショウは、
1月末に開催されたTOKYO AUDIO BASE 2020だけだった。

今年はどうなのか、と思って検索してみても、なんの告知もない。
予定はないのだろう。

2月に開催予定だったポータブルオーディオ研究会は中止を、
12月末に発表している。
春のヘッドフォン祭も中止になる可能性は高い、といえる。

明日(1月7日)に非常事態宣言が出される、とのこと。
初夏のOTOTENも、今年も中止になっても不思議ではない。

オリンピックは開催されるのか。
開催されるとして、それまでに終息していなければ、
オリンピックのあとに、また感染が拡大しそうな気もする。

そんなことになったら秋のインターナショナルオーディオショウも、
昨年に続き中止になることだって考えられる。

OTOTEN、インターナショナルオーディオショウが中止になれば、
その他のオーディオショウも開催されることはないだろう。

こんな予想は外れてくれた方がいいのだが、楽観もしていない。
開催される、中止になる、
どちらになるにしろ、オンラインによるリモート試聴は、やってほしい。

今年もオーディオショウは開催されなかった、としよう。
そうなると来年(2022年)に期待することになるが、
二年続けての中止は、再開にいい方向に働くのではないだろうか。

どこのブースとはいわないが、
ただ惰性でやっているとしか感じられないブースが、いくつかある。

スタッフの解説を聞いていると、この人は、情熱があるのだろうか、と思ってしまう。
情熱のあらわれは、人によって違ってこよう。
それでも情熱をもって取り組んでいるのであれば、
それは必ずこちらに伝わってくるものである。

それはうまい、へたとは関係ない。
そんな人たちも、二年続けて中止になれば変るのではないのか。

Date: 1月 5th, 2021
Cate: Jazz Spirit

喫茶茶会記のこと(その9)

(その8)に、facebookへのコメントがあった。
長野県の一部は、AC電源の周波数が50Hzと60Hzの混在地区があるが、
喫茶茶会記が移転する茅野市は60Hzだ、ということが一つだった。

そうか、60Hzなのか。
喫茶茶会記のアンプとCDプレーヤーはマッキントッシュである。
アメリカの製品なのだから、60Hzが基本だと考えている。

電源周波数の違いは、
以前少し触れているが、たとえば上杉アンプ。
現在の上杉アンプではなく、上杉先生が主宰されていたころ、
つまり会社が芦屋にあったころの上杉アンプのことである。

刺激的な音をこいっさい好まれない上杉先生らしい音のアンプである。
けれど、力感の再現に関しては、不満とまではいかないけれど、
あと少し何かが足りないような気がすることもあった。

それはそれで上杉アンプの音の魅力なのかもしれないけれど、
それでも……、と思うところは常にあった。

けれど上杉先生は、50Hzの東京に住まわれていたわけではない。
60Hzのところに住まわれていたわけで、
60Hzの電源で上杉アンプを聴いたことは、私は一度もない。

もしかすると60Hzで聴けば、印象が変っていたのかもしれない。

だから喫茶茶会記が60Hzになるのは、かなり期待している。

そして標高のことへのコメントもあった。
その方は、茅野市ではないが、東京よりも標高の高いところに住まわれている。
気圧が低いせいで、スナック菓子の袋が膨らむ、とのこと。

とにかく移転先での喫茶茶会記の音をいちばん聴きたがっているのは、私かもしれない。

Date: 1月 5th, 2021
Cate: モーツァルト

続・モーツァルトの言葉(その4)

2008年9月3日に、このブログを始めた。
一本目のタイトルは「言いたいこと」だ。

いまもだが、当時のほうがいまよりもひどかったように感じているが、
五味先生、瀬川先生について、上っ面だけで、否定的なことを書く(言う)人がいる。

昔から、そんな人たちはいたのだろう。
それでも十数年前は、ひどくなっていたと感じた。

それに対する怒りがあった。
ブログを始めた理由の一つは、この怒りからである。

いまもおそらく、そんな人たちはいるだろう。
結局、そんなひとたちに欠けているのは、愛なのだろう。
愛のはずだ。

音楽への愛、音への愛、オーディオへの愛、
そういった愛が欠けていることに、本人は気づいていないのかもしれない。

以前、モーツァルトのことばを引用した。
     *
天才を作るのは高度な知性でも想像力でもない。知性と想像力を合わせても天才はできない。
愛、愛、愛……それこそが天才の魂である。
     *
いまどき、愛が大事、といおうものなら、
時代掛っている、とか、安っぽい、とかそんなふうに受けとられるかもしれない。

そんなことをいいたいヤツはいっていればいい。
そんなヤツはほっとけばいい。

モーツァルトの音楽を聴く聴き手に求められるのも、愛のはず。
モーツァルトの音楽についての知識ではなく、愛、愛、愛であろう。他に何がいるのか。

モーツァルトの音楽だけに限らない。
思うのは、音楽を愛するということは、そこに美を見出すこと、そして生み出すこと、ということだ。