Archive for 7月, 2017

Date: 7月 8th, 2017
Cate: 使いこなし

他者のためのセッティング・チューニング(その4)

アンプやCDプレーヤーであっても、最近は三点支持の製品が多い。
底板の形状が三角形もしくは円形であれば、三点支持はいい結果を得られるはずだ。

だが実際の製品の多くは、底板は四角形である。
これを三点で支持することに、なんの疑問も感じないのだろうか。

こんなことをいうと、四点支持よりも三点支持のほうが音がいいから、という人がいる。
三点支持と四点支持の音は、かなり違う。
それに三点支持はガタツキをなくすという点でも楽である。

三点支持を完全否定はしないけれども、
基本は四点支持と私は考えている。

喫茶茶会記のスピーカーのエンクロージュアは四角い箱である。
このスピーカーを三点支持で鳴らしたことはなかったが、
ステレオサウンドの試聴室で、ダイヤトーンの木製キューブDK5000を使って、
三点支持と四点支持の音の違いの傾向は把握している。

DK5000は、今回も使っている。
前二点、後一点の三点支持に変えてみた。

この音を聴いてもらった。
リズムの流れに関しては、三点支持のほうがよくなった、とのことだった。
これで、なんとなくではあっても、リズムが流れる、ということがどういうことなのか、
掴めた、とまではいえないけれど、少なくとも方向はわかった。

次にやったのは三点支持のこまかなところの変更を二つ試した。
これである程度「リズムが流れる」ということがどういうことなのか掴め始めてきた。

こうなってくると、次になにをやるかが自然と頭に浮かぶ。
あそこをこう変えてみて、とか、そこでの結果をふまえて、その次はどうするか。

マリーザ・モンチのディスクを、そんなふうにして十回ほどかけた。
その他にこまかなところを変えてみた。

Date: 7月 8th, 2017
Cate: 使いこなし

他者のためのセッティング・チューニング(その3)

Hさんが、audio wednesdayに来られたのは二回。
前回はほとんど話すことがなかった。
どういう音楽を聴かれるのかも、先月のaudio wednesdayでは何もわからなかった。

今月のaudio wednesdayで、CDを持参されたけれど、それだけですぐにわかるわけでもない。
CDが、私のよく聴くものと同じであれば、まだなんとなく想像できても、
私がほとんど聴かないブラジル音楽ともなると、
まずは音を変化させて、Hさんがどういわれるかから、
どういう音を求めてられるのかを探るしかない。

まずマリーザ・モンチの声のイメージが違う、ということで、
トーンコントロールをいじった音を聴いてもらった。
5バンド、すべての帯域を少しずつ調整した。

イメージに近くなった、といわれたので、もう少し調整した。
さらにイメージは近づいた、とのこと。
それでも、自身のシステムで聴かれているマリーザ・モンチのイメージには、
まだまだの感じのようだった。

Hさんのもうひとつ不満は、リズムが流れる──、だった。
マリーザ・モンチの声のイメージが違うというのは、
なんとなくであっても、つかめるところがあったが、
この「リズムが流れる」は、どういうことなのか、つかみかねていた。

何度も会うことがあって、音楽、オーディオの話をよくしている相手であれば、
あれこれ聴いていくことで、イメージをはっきりとさせることもできようが、
ほぼ初対面といえる相手であっては、言葉よりもまず音を聴いてもらうほうがいい。

といっても、トーンコントロールの次に、どこをいじるかは、少し悩んだ。
こまかなところをわずかずつ変化させていっても……、と思い、
音の変化量として、わりと大きくなるところ、
スピーカーのセッティングを四点支持から三点支持に変更した。

Date: 7月 8th, 2017
Cate: スピーカーとのつきあい

ホーン今昔物語(その13)

定指向性ホーン(Constant-Directivity Horn)は、
エレクトロボイスに在籍していたドン・キール(Don Broadus Keele, Jr)によって開発されたことを知ったのは、
いつだったかは正確に憶えていないが1980年代に入ってからだった。

1974年に開発していた、とのこと。
1975年に特許申請して、1978年に特許取得している。
公告番号US4071112 Aである。

どうしても輸入元を通じて日本市場に紹介される製品のみを見がちになる。
そのころのエレクトロボイスのホーンで、
定指向性を謳ったモノは、日本のコンシューマー市場にはなかった。
だからアルテックのマンタレーホーンが、定指向性ホーンの走りだと認識してしまった。

定指向性ホーンは1974年には開発されていた。
そのころ、すでにSentry IVAはあった。
トゥイーターはST350がついている。

このころST350はラジアルホーンということになっていた。
ST350の開発者が誰なのかはわからない。
ドン・キールなのだろうか。
ドン・キールは1972年から’76年までエレクトロボイスに在籍していた。

ドン・キールは、その後(1977年)にJBLに移っている。
JBLのバイラジアルホーンはドン・キールによる開発で、
1980年に特許申請され、1982年に特許取得している。
公告番号US4308932 Aである。
検索すればPDFがダウンロードできる。

ドン・キールは1984年までJBLに在籍していた。
ということは4430、4435に搭載されているバイラジアルホーン2344は、
彼の設計によるものなのだろうか。

4430、4435の設計責任者は、デヴィッド・スミスというエンジニアだが、
彼が2344まで設計しているとは限らない。

エレクトロボイスのトゥイーターST350の形状と2344の形状、
アルテックのマンタレーホーンからJBLのバイラジアルホーンへの形状の変化、
それらを考え合わせると、2344はドン・キールの手によるモノと思えてくる。

Date: 7月 7th, 2017
Cate: 組合せ

スピーカーシステムという組合せ(813と4311・その6)

4310のことに話を戻そう。

JBLは4320、4310で、プロフェッショナル分野で、
それまでアルテックの牙城といえたスタジオモニターで成功をおさめた。

この成功を、JBLはコンシューマー用スピーカーにも活かそうとした。
その第一弾が、L100である。

L100は、いわば4310のコンシューマー版である。
アーノルド・ウォルフによるデザインの、
縦横に溝が刻まれたスポンジような素材のフロントグリルが特徴の……、
といえば、多くの人が、あのスピーカーか、と思い出すほどに、
インパクトの強いアピアランスをもっていた。

ちなみにフロントグリルの素材は、JBLが開発した、
音の透過性に優れたスカルプチャード・カドレックスと呼ばれるもの。

L100搭載ユニットは、ウーファーが123A-1、スコーカーがLE5-2、トゥイーターがLE20-1と、
4310と同じで、クロスオーバー周波数も同じ、
エンクロージュアの寸法も横幅と奥行きがわずかに違うものの、ほぼ同じといえるバスレフ型。

ユニットの配置は違う。
L100を特徴づけているフロントグリルをはずせばすぐにわかることは、
スコーカー、トゥイーターのレベルコントロールのパネルの向きと位置が、
4310とは違う。

上下逆さまの4310だから、L100では上下が反転しただけと思うがちだが、
L100は横向きで使うことを前提とした配置と向きになっている。

いうまでもなくL100はブックシェルフ型であり、
この当時(1971年)のブックシェルフ型スピーカーは、
本棚に収められることも前提の設計で、そのための横向きなのだろう。

フロントグリルのJBLのバッジは、確か向きがかえられたはずで、
縦置きでも使うことを考えている。
この場合の縦置きはウーファーが下にくる、一般的なユニット配置である。

だからというべきか、L100には4310にあったサブバッフルがない。

Date: 7月 6th, 2017
Cate: audio wednesday

第79回audio wednesdayのお知らせ

8月のaudio wednesdayは、2日。
音出しの予定です。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 7月 6th, 2017
Cate: 五味康祐

「浄」の書

五味先生のリスニングルームに壁にあった「浄」の書。
同じ「浄」を手に入れたい、と思ったことがある。
そう思いながらも、同じ「浄」を自分のリスニングルームの壁に……、
という情景がうまく想像できないまま、齢をとった。

「浄」の書を、書家に依頼した人を知っている。
気持はわからないではないが、その「浄」と五味先生のリスニングルームにあった「浄」は、
それぞれの持主をあらわしている、とも感じた。

書としているが、五味先生のところにあった「浄」は、
中国の石碑からの拓本、ということだ。

石碑に刻まれた「浄」と、紙に書かれた「浄」。
石碑に墨を塗り、紙にうつしとる。
このままでは反転しているから、もういちど紙にうつしとることで「浄」となる。

元の石碑は、カッティングされたラッカー盤だ、と思ったことがある。
そこからうつしとったのがいわゆるスタンパーにあたり、
もういちどうつしとることで、アナログディスクができるあがるのと同じところにも、
あの「浄」がリスニングルームにあった、ということと無縁ではない、とおもう。

そして何をみていたのか(何をみていないのか)がわかる。

Date: 7月 6th, 2017
Cate: 使いこなし

他者のためのセッティング・チューニング(その2)

マッキントッシュのプリメインアンプで、MA7900とMA2275との違いのひとつは、
トーンコントロールにある、といえる。

マッキントッシュのアンプだからMA2275にもトーンコントロールはついていた。
低音・高音の2バンド。
MA7900はソリッドステートアンプということもあって、
5バンド(30、125、500、2k、10kHz)がついてる。

2バンドと5バンドの違いよりも、
トーンコントロールをオン・オフした際の音の差の大きさが、
MA2275とMA7900とでははっきりと違う。

回路的には5バンドよりも2バンドのトーンコントロールのシンプルに思う人もいるだろう。
そうなるとトーンコントロールをバイパスした音と通した音の差は、
MA2275の方が少ないのでは……、となるのかもしれないが、
実際にはMA7900の方が、トーンコントロールのバイパスした音の差は小さい。

まったくないとはいわないが、
このくらいの差ならば、積極的に5バンドのトーンコントロールを使う手もある、
というよりも使わないほうがもったいない。

MA7900トーンコントロールの五つのツマミはすへて動かした。
それほど動かしたわけではない。

とにかくまず、こんな感じかな、とあたりをつけてトーンコントロールをいじった音を、
Hさんに聴いてもらう。
その反応によって、感触を探っていこうと考えた。

Date: 7月 6th, 2017
Cate: 使いこなし

他者のためのセッティング・チューニング(その1)

毎月第一水曜日の夜、
四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記でaudio wednesdayをやっている。

ここでも書いているように昨年からできるだけ音を鳴らしていくようにしている。
昨晩のaudio wednesdayもそうだった。

昨晩は、いつも少し違っていた。
そのことで、喫茶茶会記で鳴らしている音は、
そのために行っているセッティングは、誰のためなのか、と思った。

6月のaudio wednesdayに来られたHさんが、二回目となる昨晩はCD持参で来られた。
ブラジル音楽のディスクだった。

グラシェラ・スサーナをよく聴く私は、
スサーナがアルゼンチン出身ということで、
タンゴ、フォルクローレは、よく聴くとはいえないまでも、聴いてはいるが、
ブラジル音楽は、自ら進んで聴くことはほとんどない。

マリーザ・モンチのディスク”UNIVERSO AO MEU REDOR”をかけたときに、
自宅で聴かれている音と、イメージがずいぶん違う、ということだった。

なので、このディスクに絞って、
Hさんのマリーザ・モンチのイメージ添うようにセッティングを変更することにした。

まずいわれたのは、マリーザ・モンチの音のイメージの違いだった。
喫茶茶会記は、オーディオ店でもオーディオ雑誌の試聴室でもない。
CDプレーヤーやアンプ、スピーカーを他のモノに交換できるわけではない。

ケーブルもあれこれ替えたり、さまざまなアクセサリーを試せるわけではない。
CDプレーヤーもアンプも、スピーカーも、ケーブルもいっさい替えずに、
セッティングだけを変えてチューニングとなる。

だからそこにある機能は使う。
まず使ったのはマッキントッシュMA7900についているトーンコントロールだった。

Date: 7月 5th, 2017
Cate: デザイン

オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(JBL S106 Aquarius 2・その2)

インターネットの普及前と後との大きな違いを実感できるのが、
こういうときである。

以前はS106 Aquarius 2について、それ以上のことを知りたいと思っても、
なかなか困難だった。
いまやGoogleですぐさま情報が得られる。
文字だけの情報だけでなく、当時見たかったと思っていた写真、
それもカラーで、こまかなところまでの写真が、指先を動かすだけでみることができる。

その意味では、いい時代になった、と思う。

日本でJBLのAquariusシリーズといえば、よく知られているのはS109 Aquarius 4である。
このあとにL120 Aquarius Qが登場している。

Aquariusシリーズはまず五機種発表されている。
Aquarius 1、Aquarius 2、Aquarius 2A、Aquarius 3、Aquarius 4である。

当時の山水電気の広告でも、Aquarius 2のものは、見たことがなかった。
あるのかもしれないが、少なくとも私は見たことがない。

何かの機会で見たAquariusシリーズの広告には、
Aquarius 2A、Aquarius 3が、モダンな家具とともに写っていた。
キャッチコピーは、The next generation. だった。

Aquarius 1と4の写真は知っていた。
Aquarius 2だけの写真がなかなか見る機会がなかった。

2と2Aだから、よく似た恰好のスピーカーシステムなのたろう、とそのころは思っていた。
そう思っていたから、Aquarius 2の写真をはじめて見た時は、軽い衝撃だった。
想像していた姿とは、大きく違っていた。

けれど、すぐにはどこにスピーカーユニットが、
どんなふうに取り付けられているのかはわからなかった(想像できなかった)。

Date: 7月 4th, 2017
Cate: 再生音

続・再生音とは……(“The Hollow Men”)

Between the idea
And the reality
Between the motion
And the act
Falls the Shadow
     For Thine is the Kingdom

Between the conception
And the creation
Between the emotion
And the response
Falls the Shadow
     Life is very long

Between the desire
And the spasm
Between the potency
And the existence
Between the essence
And the descent
Falls the Shadow
     For Thine is the Kingdom
(T.S.エリオットの“The Hollow Men”より)

“Falls the Shadow”
「影が落ちる」という訳もあるし、
「幻影があらわれる」という訳もある。

影にしろ幻影にしろ、実体ではなく、
shadowを再生音として捉えるのならば、
このT.S.エリオットの“The Hollow Men”(うつろな人びと)は、
再生音がどこにあらわれるのか、
だからこそ再生音とは……、について示唆にとむ。

Date: 7月 4th, 2017
Cate: デザイン

オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(JBL S106 Aquarius 2・その1)

いくつものメーカーが、いくつものスピーカーシステムをつくってきている。
現在市場にでまわっているスピーカーシステムの数にしてもそうとうなものだし、
過去にあったスピーカーシステムも加えれば、膨大な数になる。

スピーカーシステムのシルエットとしては、四角い箱が圧倒的に多い。
ハイエンドオーディオといわれるスピーカーシステムでは、四角い箱の方が少ないけれど、
これまでのスピーカーシステムの大半は四角い箱である。

四角い箱のシルエットのスピーカーシステムが、
そうでないシルエットのスピーカーシステムよりも、デザインにおいて劣るかというと、
決してそんなことはない。

四角い箱でないスピーカーシステムのデザインが、
四角い箱のスピーカーシステムよりも優れているとも限らない。

スピーカーシステムのデザインで、もっとも果敢なメーカーといえたのはJBLである。
パラゴンやハーツフィールドをつくってきたメーカーだから、という理由だけではない。
成功例とはいえないスピーカーシステムを含めて、
JBLというスピーカーメーカーのデザインは、それだけで一冊の本がつくれるはずだ。

1960年代のJBLにはAquariusシリーズがあった。
いわば間接放射型のスピーカーシステムであり、だからこそのデザインであった。

Aquariusシリーズの中で、気になっていたのはS106である。
S106のことは以前から知っていたけれど、当時見たのは、それほど鮮明でない、
しかもあまり大きくもないモノクロの写真だった。

詳細についてもあまりわかっていなかった。
3ウェイの4スピーカーということぐらいだった。

それでも気になっていた。
こういうスピーカーシステムのデザインを1960年代に、
JBLはつくっていたのか(製品化していたのか)、と静かな昂奮もあった。

Date: 7月 3rd, 2017
Cate: audio wednesday

第78回audio wednesdayのお知らせ(暑い夏だから)

今日(7月3日)は、暑かった(というよりまだ暑い)。
これだけ暑い(もっと暑い日は来るだろうけど)、さわやかな音を聴きたい。
涼しげな音を聴きたい。

間違っても熱苦しい、聴いているだけで部屋の温度が増してくるような音は、
できれば避けたい。

井上先生がよくいわれていた。
日本には四季があるから、季節によって聴きたい音も変化していくものだ、と。

今月のaudio wednesdayは、5日。
午前中は台風通過の影響で雨のようだが、午後からは暑い、と思う。
ならば涼しげな、さわやかな音で、そんな音楽を聴くのもいいなぁ、と思うものの、
実際には、そんなところから離れた音を出すことになるだろう。

ならばいっそのこと、聴いているだけで体温が上昇していくような音楽を、
暑い夏の日に、けっこうな音量で聴く、というのもいいのではないか。
ぬるい音楽厳禁でいきたいと、考えている。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 7月 3rd, 2017
Cate: ジャーナリズム

オーディオの想像力の欠如が生むもの(その23)

オーディオの想像力の欠如とは、内なる耳の欠如である。

Date: 7月 2nd, 2017
Cate: 使いこなし

丁寧な使いこなし(その1)

ある時期から、JR東日本は電車を発車させる際に
「ドアを閉めさせていただきます」とアナウンスするようになっていた。

それまでの「ドア、閉まります」「ドア、閉めます」から、
「ドアを閉めさせていただきます」への変更である。

気持悪いな、とまず感じた。
しばらくして気づいたのは、
「ドアを閉めさせていただきます」になってから、
朝夕のラッシュ時に、駅員が何度もくり返していうことが増えていった。

ドアが閉まりかけようとしているのに、無理に乗ろうとする人が続くからのようだった。

駅のアナウンスは、ある種BGMのようなものかもしれないが、
駅の利用者は、意外に聞いている、というか、意識下になんらかの影響を与えているのか、
少なくとも以前のアナウンスのころは、
これほどくり返しいわれることは、ほとんどなかった。

正確に何回くり返されたのかをカウントしたわけではないが、
あきらかに「ドアを閉めさせていただきます」は、何度も何度も耳にするようななった。

それが昨年、もとの「ドアを閉めます」「ドアが閉まります」に戻った。
朝夕のラッシュ時にも、このアナウンスがくり返されることは、はっきりと減っている。

もちろんそれでも強引に乗り込もうとする人はいるけれど、
「ドアを閉めさせていただきます」のころは、そうでない人までが、
ドアを閉めさせまいとして乗っていたのではないだろうか。

「ドアを閉めさていただきます」はへりくだった言い方だ。
そのことを乗客は感じとっている。

決して丁寧な言い方ではない。
JR東日本は、ある時期、勘違いしていた、といえる。
でも、勘違いしていたことに気づいた。

Date: 7月 1st, 2017
Cate:

オーディオと青の関係(その20)

青で思い出すモノが、まだあった。
タンノイの同軸型ユニットであるが、本家英国のタンノイのそれではなく、
タンノイは1953年にカナダに、1954年にアメリカに、
北米進出を本格化すべく、それぞれにタンノイ・カナダとタンノイ・アメリカを設立した。

1974年にタンノイがハーマンインターナショナルに吸収された時点で解散している。
タンノイ・アメリカのスピーカーシステムはシュリロ貿易によって輸入されていた。

とはいうものの、タンノイ・アメリカのスピーカーシステムが知られはじめたころに、
ハーマンに吸収されてしまったので、
実際に輸入されたタンノイ・アメリカの製品を見た(聴いた)ことのある人は少ないはずだ。

私は幸運にも、わずかな時間ではあったが聴く機会があった。
でも一度だけである。

タンノイ・アメリカはスピーカーシステムだけでなく、ユニットも単売していた。
イギリスで売られているモニターゴールドそのままではなく、
磁気回路のカバーは、ブルーメタリックに変更されていた。

ブルーメタリックのカバーを見る機会はなかった。