オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(JBL S106 Aquarius 2・その1)
いくつものメーカーが、いくつものスピーカーシステムをつくってきている。
現在市場にでまわっているスピーカーシステムの数にしてもそうとうなものだし、
過去にあったスピーカーシステムも加えれば、膨大な数になる。
スピーカーシステムのシルエットとしては、四角い箱が圧倒的に多い。
ハイエンドオーディオといわれるスピーカーシステムでは、四角い箱の方が少ないけれど、
これまでのスピーカーシステムの大半は四角い箱である。
四角い箱のシルエットのスピーカーシステムが、
そうでないシルエットのスピーカーシステムよりも、デザインにおいて劣るかというと、
決してそんなことはない。
四角い箱でないスピーカーシステムのデザインが、
四角い箱のスピーカーシステムよりも優れているとも限らない。
スピーカーシステムのデザインで、もっとも果敢なメーカーといえたのはJBLである。
パラゴンやハーツフィールドをつくってきたメーカーだから、という理由だけではない。
成功例とはいえないスピーカーシステムを含めて、
JBLというスピーカーメーカーのデザインは、それだけで一冊の本がつくれるはずだ。
1960年代のJBLにはAquariusシリーズがあった。
いわば間接放射型のスピーカーシステムであり、だからこそのデザインであった。
Aquariusシリーズの中で、気になっていたのはS106である。
S106のことは以前から知っていたけれど、当時見たのは、それほど鮮明でない、
しかもあまり大きくもないモノクロの写真だった。
詳細についてもあまりわかっていなかった。
3ウェイの4スピーカーということぐらいだった。
それでも気になっていた。
こういうスピーカーシステムのデザインを1960年代に、
JBLはつくっていたのか(製品化していたのか)、と静かな昂奮もあった。