スピーカーシステムという組合せ(813と4311・その6)
4310のことに話を戻そう。
JBLは4320、4310で、プロフェッショナル分野で、
それまでアルテックの牙城といえたスタジオモニターで成功をおさめた。
この成功を、JBLはコンシューマー用スピーカーにも活かそうとした。
その第一弾が、L100である。
L100は、いわば4310のコンシューマー版である。
アーノルド・ウォルフによるデザインの、
縦横に溝が刻まれたスポンジような素材のフロントグリルが特徴の……、
といえば、多くの人が、あのスピーカーか、と思い出すほどに、
インパクトの強いアピアランスをもっていた。
ちなみにフロントグリルの素材は、JBLが開発した、
音の透過性に優れたスカルプチャード・カドレックスと呼ばれるもの。
L100搭載ユニットは、ウーファーが123A-1、スコーカーがLE5-2、トゥイーターがLE20-1と、
4310と同じで、クロスオーバー周波数も同じ、
エンクロージュアの寸法も横幅と奥行きがわずかに違うものの、ほぼ同じといえるバスレフ型。
ユニットの配置は違う。
L100を特徴づけているフロントグリルをはずせばすぐにわかることは、
スコーカー、トゥイーターのレベルコントロールのパネルの向きと位置が、
4310とは違う。
上下逆さまの4310だから、L100では上下が反転しただけと思うがちだが、
L100は横向きで使うことを前提とした配置と向きになっている。
いうまでもなくL100はブックシェルフ型であり、
この当時(1971年)のブックシェルフ型スピーカーは、
本棚に収められることも前提の設計で、そのための横向きなのだろう。
フロントグリルのJBLのバッジは、確か向きがかえられたはずで、
縦置きでも使うことを考えている。
この場合の縦置きはウーファーが下にくる、一般的なユニット配置である。
だからというべきか、L100には4310にあったサブバッフルがない。