コントロールアンプと短歌(その5)
CX10000、MX10000が登場するまで、
ヤマハのアンプのフロントパネルは、セパレートアンプが黒、プリメインアンプはシルバーだった。
(プリメインアンプでは、普及モデルで若者向けを謳っていたCA-V1は例外的にブラックパネルだった)
CI、BI、C2、B2をはじめ、その後のB3、C4、B4、C6、B6、C70、B70などすべて黒だった。
それが100周年記念モデルということもあってか、
CX10000、MX10000は黒ではなく、かといってもシルバーでもなく、
ガンメタリックのヘアーライン仕上げとなっている。
CX10000登場時は、単に100周年記念だからなのだろうな、というぐらいにしか捉えていなかった。
おそらくそうであろうとは思う。
でもそれだけでもないのでは、といまは思っている。
CIはアナログ時代の多機能コントロールアンプである。
CX10000はデジタル時代を迎えての多機能コントロールアンプだ。
CIにはフォノイコライザーが搭載されていた。
CX10000にはフォノイコライザーは搭載されていない。
HX10000という単体のフォノイコライザーアンプが、少し遅れて登場した。
HX10000は、フォノイコライザーアンプとしては、かなり大きい。
HX10000と同じものをCX10000に内蔵するのは、CX10000本体が大きくなりすぎるし、
それにデジタル信号との干渉を考えても、独立した形しかない。
CIとCX10000の間の12年、
コントロールアンプに求められるものがずいぶんと変化しようとしていることを、
CIとCX10000のデザインとともに、フロントパネルの色が表しているように見える。
同時に、CIはなぜ黒なのかという、別項のテーマに関係することも考えてしまう。
ステレオサウンドは81号の新製品紹介のページでCX100000をMX10000、CDX10000とともに取り上げている。
柳沢功力氏が担当されている。
その半年後、83号で長島先生がCX10000だけを、
「エキサイティング・コンポーネントを徹底的に掘り下げる」を取り上げられている。
この記事の写真の撮影は、私の指示で撮影してもらった。
写真の説明文も、私が書いた。
いまごろになって、CIとCX10000を並べての写真を撮影しておくべきだった、と後悔している。