日本のオーディオ、これまで(オーディオと黒・その4)
黒といっても、実にさまざまな黒がある。
サンスイのアンプのブラックパネルとマッキントッシュのアンプのブラックパネルは違う。
同じメーカーであっても、価格帯や時期が違えば、同じ黒とはいえない違いがある。
ヤマハのスピーカーシステムにしても、NS1000Mの黒と来年夏に登場するNS5000の黒は同じではない。
NS5000の黒はピアノの黒である。
ピアノは黒が多い。
白や赤のピアノもあるが、数は少ない。
多くの人がピアノの色として思い浮べるのは黒である。
そのピアノの黒は最初からではない。
現代的なピアノの形になる前のピアノは黒ではなかった。
ピアノが黒になった理由は? という記事がタイミングよく公開された。
漆塗りの時計についての記事なのだが、そこにこう書いてある。
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特に「黒」が彼ら(海外の人たち)の目には素敵に映ったようです。なんでも漆塗り独特の深い黒色に海外の王侯貴族が魅せられ、ピアノが黒く塗られるようになったとか。それまでのピアノは木目が出たニス塗りだったそうです。漆のような黒にすることをジャパニングといい、ヨーロッパの人が憧れたようです。
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漆の黒だけが、ピアノが黒になっていった理由のすべてではないのかもしれない。
それでも漆の黒がピアノの黒につながり、黒の深さ、歴史の長さがあることを教えてくれている。