Date: 11月 22nd, 2015
Cate: 世代
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世代とオーディオ(ブームについて)

私は1976年に「五味オーディオ教室」と出あった。
そこからオーディオの世界が始まり開けていった。

このころはCDはまだ登場していなかった。
デジタル録音のLPが話題になっていた時期であり、
そろそろデジタルオーディオディスクの声が聞こえはじめてきたころでもある。

自分のオーディオで音楽を聴くということは、
ほぼ100%、LP(アナログディスク)を買って聴く、ということだった。
FM放送も聴いていたけれど、やはりLPだった。

1982年にCDが登場した。
ステレオサウンドで働いていたけれど、すぐにCDプレーヤーを購入したわけではなかった。
そのころはトーレンスの101 Limitedを使っていたから、
これに匹敵すると思えるCDプレーヤーはすぐには登場していなかったし、
フィリップスのLHH2000の音を聴いて驚き、欲しいと思ったことはあったが、
あの価格はすぐに手が出せるわけではなかった。

最初に購入したCDプレーヤーは、マランツ(フィリップス)の普及クラスのものだった。
それまで14ビットのD/Aコンバーター(TDA1540)を搭載していたマランツが、
やっと16ビット対応のTDA1541を搭載したCDプレーヤーを購入した。

だから、そのころの私にとってCDは、メインのプログラムソースではまだなかった。
CDプレーヤーは、その後数台国産モデルを使い、スチューダーのA727になった。

ここでやっとアナログディスクとCDを聴く比率が逆転しつつあった。

そういう時代にオーディオをやりはじめて、やってきた私にとっては、
いまの状況をアナログブームといわれても、ピンと来ない。

アナログディスクの生産量をみていくと、1999年にピークがある。
それまでCDの不急におされ生産量が減少していたアナログディスクだったが、
1999年はいきなり増えているし、2000年もその余波が残っている、といえる。
その後はまた減少している。

つまり1999年、2000年はアナログディスクのブームといえる。
だが、私と同世代、そして上の世代の人にとっては、
こういうデータを見せられても頭でブームであったことは理解できるが、
実感としてのアナログディスク・ブームであったとは感じていないのではないだろうか。

アナログディスク全盛のころからやっていた人はそう感じる。
けれどもっと若い世代の人たち、
つまりオーディオに関心を持ち始めた時、CDで音楽を聴くのが当り前という時代から始めた人にとっては、
1999年、2000年は、はっきりとしたアナログディスク・ブームであったはずだ。

昔はもっとアナログディスクが生産されていたことを、若い世代の人たちは知識として知ってはいても、
実感は伴っていなかった。
実感を伴ったブームは、だから1999年、2000年ということになる。

では、いまいわれているアナログディスク・ブームは、
さらに若い世代の人たちにとってのブームなのだろうか……、
ここで私は疑問を感じている。

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