世代とオーディオ(ガウスのこと・その14)
私が聴くことができたガウスの音は、3588同軸型ユニットを搭載したModel 7258と、
デンオンのSC2000だけである。
無線の実験の記事で、ガウスの登場を知り、つよい憧れを抱いてきたのに、
たったこれだけしか聴くことができなかった。
おそらく、これから先も聴く機会は訪れないような気がする。
なんとも不完全燃焼な感じがしている。
もっと聴きたかった、と思っていたけれど、ほとんど縁がなかった。
今回ガウスのことを書いていて思い出したことがある。
ステレオサウンド別冊HIGH TECHNIC SERIESのトゥイーター号のことだ。
このトゥイーター号は1978年12月ごろに出ている。
にも関わらず、テスト機種にガウスの1502はない。
このムックの巻末に佐伯多門氏によるトゥイーターの技術解説のページがある。
ドーム型、コーン型、リボン型、ホーン型などの構造の解説がなされていて、
それぞれの代表的な製品の写真も載っている。
ホーン型のところにはガウスの1502の写真が使われている。
このときガウスのユニットの販売は始まっていた。
けれど、岡先生、黒田先生、瀬川先生による試聴記事にはガウスは登場していない。
このとき、なぜだろう、と疑問に感じていた。
JBLの2405とガウスの1502の比較、
それを読みたいと思っていただけに、肩透かしのようでもあった。
いまなら、その理由のいくつかは推測がつく。
でも当時はまったくわからなかった。
ただただ、なぜ?、と思うばかりだった。
ガウスへの憧れは、そうやってしぼんでいった。
SC2000以降、ガウスのユニットを搭載した製品はでていない。
話題にものぼらなくなっていった。
ガウスがどうなったのかも気にしなくなっていた。
そんな私が、ふたたびガウスのことを、そういえばどうなったんだろう……とか、
やっぱり聴いてみたかったなぁ、とか思い出したのは、
菅野先生と川崎先生の対談がきっかけである。
この対談で、川崎先生は1978年にガウスへ企業留学する予定だった、と語られている。