瀬川先生は、
マイケルソン&オースチンのパワーアンプによる4350Aのバイアンプ駆動の組合せで、
コントロールアンプはアキュフェーズのC240を、やはり選ばれるのか……、とも思う。
4343やアルテックの620Bの組合せでは、C240とTVA1の組合せは好ましい。
けれど、ここでの組合せは4350Aであり、しかもバイアンプである。
低域用にもTVA1をもってこられるとしたら、コントロールアンプはC240ですんなりと落着くと思う。
だが低域用にはM200である。
となると、もしかするとマークレビンソンのML6という可能性もあったのではないか……、そんな気もしてくる。
ML6だったとしたら、エレクトリックデヴァイディングネットワークはLNC2になる。
ML6がモノーラル仕様だからLNC2もモノーラルにされるかもしれない。
M200もモノーラル仕様だからだ。
となると、中高域用のTVA1も贅沢に片チャンネルのみ使用するということになるかもしれない。
コントロールアンプがC240だったら、こんなことはされないと思うが、
ML6をもし選択されたのであれば、ここまでいかれたのではないか。
そんな気がするのは、オール・レビンソンによるバイアンプ駆動の音を「ひとつ隔絶した世界」と表現され、
M200の音の切れ味に関して、次のように書かれているからだ。
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切れ味、という点になると、このアンプの音はもはや剃刀のような小ぶりの刃物ではなく、もっと重量級の、大ぶりで分厚い刃を持っている。剃刀のような小まわりの利く切れ味ではない。力を込めれば丸太をまっ二つにできそうな底力を持っている。
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この音の切れ味は、レビンソンの音の切れ味と対極にある。
《どこまでも音をこまかく分析してゆく方向に、音の切れこみ・切れ味を追求するあまりに、まるで鋭い剃刀のような切れ味で聴かせるのが多い。替刃式の、ことに刃の薄い両刃の剃刀の切れ味には、どこか神経を逆なでするようなところがある》、
この傾向がもっとも強いといえるのが、この時代のマークレビンソンのアンプの音だった。
「ひとつ隔絶した世界」と対極にあるもうひとつの「ひとつ隔絶した世界」を、
マイケルソン&オースチンのTVA1とM200のバイアンプ駆動によって、
4350Aから抽き出すことができるのであれば、そこまで瀬川先生は試されたような気がする。
《力を込めれば丸太をまっ二つにできそうな底力》は、
内蔵ネットワークでの4343以上に研ぎ澄まされるはずである。
4350Aではウーファーにはネットワークが介在しない。
しかもダブルウーファーである。
《力を込めれば丸太をまっ二つにできそうな底力》は、力を込めれば丸太をまっ二つにできる底力になるはずだ。
大ぶりの分厚い刃は、より鍛え抜かれたものになるのではないか。
それがどういう音なのか、想像するのが楽しくてならない。