同軸型はトーラスなのか(余談・フィードバックについて)
フィードバックについて書いてきたついでに、すこし話はテーマからそれていく。
現在市販されているアンプ、これまで市販されてきたアンプの大半はNFBがかけられている。
無帰還アンプを謳っているものでも部分的なNFBがかかっているものもある。
フィードバック技術をまったくつかっていないアンプは、ごくわずかである。
NFBをかければ、アンプの特性は良くなる。
周波数特性は広くなり、歪も減り、ノイズも減る。それに出力インピーダンスも低くなる、など、
技術的なメリットがいくつもある。
メリットがある、ということは必ずデメリットもあるのが世の常で、
歪が減る一方で、NFBに起因する別の歪が発生することもある。
そして、NFBをかけると、音が悪くなる、と強く主張する人がいる。
たしかに安易にNFBを大量にかけたアンプは、昔から音が死んでいる、といわれることがあった。
これはなにもNFB量が多いことだけが、その原因ではないけれど、
たとえばNFB量が変えられるアンプで試してみると、
NFB量を増やしていくと音が死ぬ、とまではいわないものの、やや抑制される方向になりがちだ。
このことに関することなのだが、
「楽器にはNFBなんてものは存在しない。だからNFBなんて不必要だ」という不思議な理屈をきくこともある。
電子楽器は別として、アクースティックな楽器にはたしかにNFBに相当するものは存在しない。
ここまでは同意する。
けれど、だからといってアンプにNFBが不必要ということにならない。
ピアノでもヴァイオリンでもいいが、
アクースティックな楽器をステージの上に置くだけでは音は何ひとつ鳴らない。
楽器が音楽を奏でるには、演奏者が必要であり、
上の不思議な理屈には、演奏者がいない。