Date: 4月 19th, 2012
Cate: 境界線
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境界線(その10)

私はコントロールアンプを、オーディオの系の中点として考えているわけだが、
CDプレーヤーが登場し、そのライン出力がチューナーやカセットデッキよりも高かったため、
コントロールアンプを省いて、フェーダーに置き換えることが流行とまではいかなかったものの、注目された。

ゼネラル通商が当時輸入していたP&Gのフェーダーを使った製品が、その走りで、
つづいてカウンターポイントからも(こちらはロータリー型アッテネーターを使用)出た。
現在もいくつかの製品が出ている。

増幅度を持たないフェーダー、
つまり電源を必要としない受動素子(ボリュウム)のみで構成されている、このフェーダーは、
コントロールアンプの位置にくるものであるが、
だからそのままコントロールアンプと同じようにオーディオの系の中点としてみることができるのだろうか。

フェーダーを使った場合、
CDプレーヤー、フェーダー、パワーアンプ、スピーカーシステムとなるわけだが、
受動素子のフェーダーは、オーディオの系全体を眺めたとき、アンプの類ではないし、CDプレーヤーの類でもない。
こういう区分けをすれば、フェーダーはケーブルと同じ類といえる。

となるとCDプレーヤーとパワーアンプのあいだには、ケーブル、フェーダー、ケーブルが存在するわけだが、
このケーブル+フェーダー+ケーブルは、
実のところ減衰量をもつ(自由に可変できる)ケーブルとして考えられるし、
そうなるとコントロールアンプとフェーダーは、オーディオの系において同じ位置において使われるものの、
存在自体の役割は異り、当然コントロールアンプの領域とフェーダーの領域は同じではなくなる。
そうなるとフェーダーは、オーディオの系の中点とは呼べない、と私は考えている。

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