Date: 4月 16th, 2012
Cate: ワイドレンジ
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ワイドレンジ考(続々ウェストミンスターとグールドのブラームス)

ウェストミンスターを6畳で鳴らす人はいないだろう。私だってそんなことはしない。
では、どのくらいの部屋の広さがあればいいのか。
私が働いていたころのステレオサウンドの試聴室は約20畳ほどの広さだった。

私がウェストミンスターに求めるホールの大きさであれば20畳あればいける。
ぎりぎり15畳でも──部屋の形にもよるけれど──いける気もする。

ウェストミンスターを置くにしてはすこし狭い感じのするくらいの部屋で、
ウェストミンスターの濃厚な(というよりも濃密な)響きを身近に感じながらブラームスを聴きたいと思う。

グールドの「間奏曲集」を聴くのであれば、よけいにそうだ。

グールドが「間奏曲集」を録音したのは1960年。
コンサートをドロップアウトしたのは1964年だから、「間奏曲集」のころはまだコンサートを行っていたわけだが、
だからといって、グールドの「間奏曲集」を大ホールで聴くような鳴らし方をしてしまうのは、
間違っている、とまではいわないけれど、そういう聴き方をする演奏ではない。
ウェストミンスターの大きさがまったく気にならないほど広い部屋で、
ウェストミンスターからの距離も十分にとって、という聴き方を、私はとらない。

アンプだって、最新のパワーアンプもいいけれど、
グールドの「間奏曲集」だけにかぎっていえば、真空管アンプの良質なものを組み合わせたい、と思う。
しかもウェストミンスター同様、濃密な響きをもつモノをもってきたい。
そういうアンプが市販されている製品の中にあるのかは、
すべてのアンプを聴いているわけではないからなんともいけないけれど、
心情的にはウェスターン・エレクトリックの300Bのシングルアンプを、
ウェストミンスターのためにつくることになるかもしれない。
(300Bのシングルアンプといっても人によってイメージする音は大きく違っている。
私がいう300Bシングルアンプの音は、伊藤先生の300Bシングルアンプの音である。)

ウェストミンスターは能率は高い。
しかも広くない部屋で聴くわけだし、グールドの「間奏曲集」を鳴らすのだから何の不足はない。
不足を感じる聴き方にこそ疑問をもつべきかもしれない。

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