MPAをパワーアンプにもってくるのなら、コントロールアンプもCDプレーヤーで統一しよう、
とはまったく考えていない。
コントロールアンプのPL-Lは、実は聴いたことがない。
だから、実際に聴いてみると、さすがにナグラ同士の組合せ! ということになるかもこともあるだろうけど、
ただ直感的に、MPAに、私が感じている良さを、抽き出す方向とは、すこし違う気がする。
ではCDプレーヤーは、というと、以前、数時間、じっくりと触ったことがある。
音については、不満はない。
このCDプレーヤーを選ばない理由は、別のところにある。
ナグラのCDプレーヤーはピックアップ・メカニズム全体にトレイに一体になっている。
ピックアップにはフィリップスのCD-Pro2Mを使っているとのことで、
そのことにも不満は、特にない。メカニズムが出てくるのを見ているのも楽しい。
たしかに、精度が良さそうな感じは、見ている分には伝わってくる。
ナグラの輸入元である太陽インターナショナルのサイトには、
「トレイ上のクランプはセンタリングをきっちり出すため、ナグラにより切削されたもの」とある。
このクランプとは、ピックアップ・メカニズムのセンタースピンドルのことだろう。
ナグラのCDプレーヤーには、一般的なCDプレーヤーにあるクランプ用のアームはない。
メカニズムが出てきて、そこにディスクを置いて、磁力で吸いつくクランパーをユーザーが直に置く。
このクランパーの精度が、CDプレーヤーの全体の良さを壊してしまうほど、よくない。
たまたま私がさわっていた機種だけ、のこととは思えない。
おそらくすべての共通していることなのだろうが、実際において試しにと動かしてみると、
意外なほど動くのに驚く。
これが非常に軽いクランパーであれば、ディスクに回転に伴っての影響はごくわずかなのだろうが、
実際にはそこそこの重量がある。これがなにも意識せずに安易に置いてしまったら、
場合によっては、かなり偏心した状態でディスクとともに高速回転することになる。
意識的に大きく変身させたときの音と、注意深く、できるだけ中心にもってくるようにした時では、
残念なことに、当然のことでもあるが、音は微妙とはいいがたい差を聴かせる。
しかもできるだけ中心にもってくるようにするのが、意外と面倒なのだ。
これをもし自分のモノとして手に入れた日には、ディスクをかけかえていくことが億劫になるだろう。
クランパーの、そんなわずかな偏心による音の違いなど、気にしない、という人ならばいいだろう。
でも、いちど、その差を耳にしてしまうと、なかなか、そうは言い切れなくなる。
ナグラのCDプレーヤーが、価格の廉いものであれば、目をつぶろう、とも思うかもしれない。
でも、非常に高価なモノだ。しかも精度の高さを誇っている製品でもある。
CDプレーヤーは、日に何度も直接ふれるものである。
それが、ほんのわずかなことで、使い手にストレスをあたえるつくりになっているのは、
なんとも残念なことであり、クランパーを作りかえることだけですることだから、
なんとかしてほしいと思う次第だ。
もっとも私がナグラのCDプレーヤーに触ったのは、もう2年以上前のことだから、
最近の製品では改良されている可能性もある。