オーディオの「介在」こそ(その4)
風土、ということばは、「風」と「土」からなっている。
風土、ということばには、そこに住むひとの慣習や文化に影響を及ぼす気候、地形、地質など、と辞書にはある。
土地によって土の性質は違う。だから、その土地ごとの特産物がある。
土の色も違えば、粘度も違う。
その土が、舗装される面積が増えることで、表面には露出しなくなりつつある。
都心でマンション住まいの方ならば、会社にいって帰ってくる間にいちども土を踏むことなく一日がおわる、
というひとは少なくないと思う。
そして都心では高層ビルが乱立している。
風も、土同様、その地域地域での独特の「風」であるはず。
それが巨大な人工物によって通り道を塞がれ、風と密接な関係にあるであろう土も舗装されつつある。
そのことによって、それぞれの国、土地に吹いていた風の性質が、
どこもかしこも似通ってきているのかもしれない。
実はこのことが、各国のスピーカーの音から、ある種の個性が稀薄になりつつある原因なのかもしれない。