妄想組合せの楽しみ(番外・その4)
小学校の理科の時間にならったことだと記憶しているけれど、炎の色と温度について、である。
わかりきったことを書くことになるが、熱さ、暖かさを感じさせる色、つまり赤や橙色の炎よりも、
冷たさに通じる感じのある青色の炎のほうが、温度は高い。
電灯にしても、いわゆる電球色は暖かみを感じるが、螢光灯の青白い光には、冷たく寒々しいものと感じる。
けれど、これも色温度でいえば、暖かみを感じさせる橙色の光は低く、螢光灯の青白い光の色は高い。
白熱電球の一般的な色温度は2500K、螢光灯は5000Kである。
この色温度の違いは、部屋の雰囲気までを変える。
螢光灯のもとで映える色と白熱電球で映える色とは違う。
色温度が高いほど、寒色系の色合いを引き出す。
そして人は色温度が高いもとでは活動的になり、低いところではくつろぎ、落ちつきを感じる、とされている。
たとえば、熱い音、といっても、その温度には高低がある。
音温度、とでも呼ぼうか。
ナグラのMPAの音の熱さは、色温度の高い光のような気がする。
ほんとうは断言したいところが、なにせMPAを聴いた時間は、ごく短い時間だったので……。
俗にいわれる、真空管アンプの暖かい音は、色温度の低い音、ともいえる。
それは白熱電球的でもあるわけだから、くつろぎ、なごめる。
もっとも真空管アンプといっても、より色温度の高い音を聴かせるものを、かなりの数ある。
だから、あくまでも、なんとなく一般的にイメージされている真空管アンプの音について、である。
MPAの色温度の高い音は、聴き手の心を、より活動的にしてくれる、といえないだろうか。
色温度の低い音でくつろいでいては、対決はできない。
対決していくには、色温度の高い、青白い炎のMPAが、だからロックウッドには合う、と思っている。