情報・情景・情操(その3)
情報量を増やしていく、しかも忠実に伝達していこうとする。
そのための手段として、デジタルでは、CDの44.1kHz/16ビットよりも、
もっと高いサンプリング周波数、
18ビット、24ビット、32ビット……とハイサンプリング・ハイビットの方向がある。
SACDという方向もある。
こういった情報量の増大に対応するために、再生側のオーディオ機器では、より高いSN比、
より広いダイナミックレンジ、周波数特性など、基本特性の拡大が要求されていく。
この方向の追求に限界はないのだろうか。
少なくとも現在の2チャンネルという制約の中でやっていくのであれば、
どこかで大きな壁にぶちあたることになるかもしれない。
もうひとつ、拡大する情報量に対応する手段として昔からあるのが、伝送系を増やすことである。
モノーラルよりステレオ(2チャンネル)、2チャンネル・ステレオよりは4チャンネル・ステレオと、
伝送系の数が増えていくことで、ひとつひとつの伝送系をとおる情報量は、それまでと同じであったとしても、
システム全体としての伝達できる情報量は確実に増していく。
これから先、デジタルの記録密度がもっと高まっていく。
そうすれば、いままで以上のハイサンプリング、ハイビットで、
12チャンネル、16チャンネル再生のための情報量もなんなく聴き手のものに届けられることになるだろう。
これは音楽の聴き手にとって、理想に近づいていくことなのだろうか。