Archive for category テーマ

Date: 6月 4th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その10)

アナログプレーヤーの設置場所の準備が出来てから、
アナログプレーヤーの設置準備にとりかかる。

新品のアナログプレーヤーならば、この時点が開梱をはじめる。
まちがっても設置場所の準備の前に、開梱してアナログプレーヤーの組立てを行ってはならない。
すくなくともターンテーブルプラッターを装着しないこと。

どんな時でも、必ずアナログプレーヤー本体を設置場所にセットしたあとで、
ターンテーブルプラッターを装着する。

新品のアナログプレーヤーではなく、ほかの場所に置いていたモノを、
新たに設置した置き場所に移動するときも、ターンテーブルプラッターは外して移動すること。

ターンテーブルプラッターを装着したままのアナログプレーヤーの移動は、
軸受けをいためるもっとも大きな原因である。
特に設置場所に置く際に、ドンと載せるのは絶対にやってはいけない。

アナログプレーヤー全盛の時であれば、誤ってどこかを傷めたとしても修理はさほど問題はなかった。
けれど、すでに製造中止になっているアナログプレーヤー、
製造メーカーがもう存在しなくなったアナログプレーヤーは、修理するといっても、
どこが故障したかによっては満足のいく修理が望めなくなっている状況を考えれば、
アナログプレーヤーの取扱いは、昔以上に慎重に、丁寧に、確実に行っていきたい。

Date: 6月 4th, 2014
Cate: マルチアンプ

マルチアンプのすすめ(その33)

HIGH-TECHNIC SERIES-1の瀬川先生の文章を読みながら考えていた疑問は、この点である。
音色のつながり、である。

なぜJBLの3ウェイ以前のシステムで、音色のつながりがうまくいかなかったのか。
ウーファーからトゥイーターまでのそれぞれのユニットのメーカーが違うためだけだったのか。
スペンドールのスピーカーも、KEFのLS5/1Aも、ロジャースのPM510も瀬川先生は高く評価されていた。

HIGH-TECHNIC SERIES-1を読んでいた時の仮の結論として私が思い至ったのは、
それはマルチアンプだからなのかもしれない……、だった。

理屈の上ではマルチウェイのスピーカーシステムで、
すべてのユニットを内蔵のLCネットワークで分割して、という構成よりも、
ウーファーと、その上の帯域を分けたバイアンプ、
上の帯域もLCネットワークを排除して、すべてのユニットとアンプの間にネットワークを介在させないほうが、
ユニットの素性、性能も、よりストレートに活かされる、と考えがちだし、間違ってはいない。

けれどそれぞれのユニットの素性、性能がよりストレートに活かされる(出てくる)ということこそが、
スピーカーシステム全体の音色のつながりを損なう要因となるのではないか。

とすれば、メーカーは同じであっても、
ウーファーはコーン型、中高域はホーン型となると、
よく出来たLCネットワークでは音色のつながりが得られても、
マルチアンプにした時点で、音色のつながりは失われる、とまではいかなくとも損なわれるかもしれない。

そう考えていくとステレオサウンド 47号の五味先生の文章にも、無理なくつながっていく。

これがHIGH-TECHNIC SERIES-1、47号を読んでいたころ(1978年ごろ)に、考えていたことである。
もちろん、このときマルチアンプを自分でやっていたわけではない。

Date: 6月 3rd, 2014
Cate: オリジナル

オリジナルとは(あるスピーカーの補修・その14)

どこに依頼したらいいのか、正直決めかねていた。
これ以上判断材料となる情報は得られそうにないから、
いまある判断材料によって、どこかに決めなければならないのだが、ここにしよう、と決めるだけのものがない。

そんなある日、Googleであるスピーカーの画像検索を行っていた。
今回補修するスピーカーとは別ブランドのモノであり、調べたいことがあっての画像検索だった。

かなりの数の写真が検索結果として表示された。
それらの中から得たい情報が期待できそうな写真をクリックしていた。
そこで、ある写真が目に留った。
見事なメンテナンスがされているな、と思った。

販売店のサイトのようだった。どこだろう、と思ったら、第一候補のサイトだった。
やっぱり、ここがいいのか、と思いながら、
このサイトをもう一度読みなおしてみたら、
数ヵ月かかる、とあるメンテナンスはシステムに関して、である。
エッジの交換でもけっこうな時間がかかる、とある人から聞いていた。

でも、少し状況は変っているのかもしれない。
エッジの交換だけなら、それほど待たなくてもいいのかもしれない。

とにかく問い合わせてみるしかない。
返事は早かった。

ウーファーのメンテナンスであれば、二週間ほどだった。
それならばここしかない、ということで依頼した。

山形にあるオーディオラボオガワに依頼した。

Date: 6月 3rd, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その9)

ふだんあまり意識することはないが、われわれが暮らしている地球には重力があり、
アナログプレーヤーの動作には重力が密接に関係している。

スタティックバランスのトーンアーム。
どうやって針圧を印可しているのかを考えれば、すぐにわかる。

レコードをターンテーブルプラッターにのせる。
それだけでターンテーブルプラッターとレコードが同じ回転数で廻るのも、重力があるからだ。
重力がなければ、レコードとターンテーブルプラッターを密着させるためにスタビライザーが必要になる。
それもコレットチャック式のスタビライザーが。

ターンテーブルプラッターにしても同じだ。
重力を利用しているから、軸受けの中にシャフトがおさまり、ターンテーブルプラッターが回転できる。
試してみる必要はないが、アナログプレーヤーを上下逆さまにする、
つまり重力の作用が通常と正反対になるようにすれば、どうなるか、
それを考えれば、水平がきちんととれていない状態では重力が各部の動作に影響を与えることがわかる。

アナログプレーヤーの設置に関しては、絶対に忘れてはならないことが、
水平にガタツキなく設置することである。
これが基本中の基本であり、ここをおざなりにしたままでは、何も始まらないし、始めてもならない。

Date: 6月 3rd, 2014
Cate: ステレオサウンド

ステレオサウンドの表紙に感じること(その1)

書店にステレオサウンド 191号が並んでいる。
まだ読んでいないので、内容については書かない。

ここで書きたいのは、191号の表紙のこと。
191号の表紙の写真を見たのは、五月終りごろだった。
twitterに、191号の表紙をフォローしている人が添付していたからだ。

191号の表紙を、その時見て、私が最初に思ったことは、別冊を出したのか、だった。
写真だけでなくツイートされた文章も読んで、191号の表紙だと気づいた。

この十年くらいのステレオサウンドと別冊、
それを見てきた感じでいえば、191号の表紙はあきらかに別冊を思わせる印象がある。

これを書くためにステレオサウンドのサイトを見ているが、
やはり191号の表紙は、明らかに印象が違う。
どこがどうとはっきりと指摘できないけれど、いままでのステレオサウンドとは違う印象があることは感じられる。

Date: 6月 3rd, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その8)

なぜ水平がもとめられるのかといえば、
アナログプレーヤーの各部の動作は水平にセットされていることを前提としているからである。
それもそれぞれの箇所が水平でなければならない。

回転部であるターンテーブルプラッターが水平でなければならない。
ここが傾いていたらどうなるか、想像してみてほしい。

ターンテーブルプラッターが水平であっても、プレーヤーキャビネットの加工が悪くて、
仮にトーンアームが傾いて取り付けられていたら、どうなるか。これ想像してみてほしい。

名のとおったメーカーの、きちんとした製品であれば、ターンテーブルプラッターが水平であれば、
ほかの箇所も水平である、とはいえるが、
トーンアームを取り付けるベース部分がプレーヤーキャビネットとは別になっているときは、
または後付けのベースでトーンアームを二本にしたりするときは、一応確認・注意は必要となる。

寺垣プレーヤーは、ターンテーブルのシャフトを意図的に傾けている。
だからといって水平に無頓着であっていいわけではない。
理由があって傾けているのであり、置き台がその傾きと反対方向や違う方向に傾いていたら、どうなるか。

寺垣プレーヤーにおいても、置き台の水平は重要なことである。

そのためにも水準器はアナログプレーヤー関係のアクセサリーの基本である。

Date: 6月 2nd, 2014
Cate: マルチアンプ

マルチアンプのすすめ(その32)

違うブランドのスピーカーユニットを組み合わせるのは、いいとこ取りになるよりも、
どうもうまくいかないことが多いのかもしれない。

そういえば、瀬川先生もステレオサウンドがマルチアンプを特集したHIGH-TECHNIC SERIES-1にも書かれている。
     *
その頃は、こうした考え方に合致するユニット自体が殆ど作られていず、また、あまりにもいろいろの国のキャラクターの違うユニットの寄せ集めでは、周波数レインジやエネルギーバランスまではうまくいっても、かんじんの音色のつながりにどうしてももうひとつぴしりと決まった感じが得られなくて、やがて、帯域の広さでは不満が残ったが相対的な音の良さで、JBLのLE15A(PR15併用のドロンコーン位相反転式エンクロージュア入り)、375ドライヴァーに537−500ホーン、および075という、JBL指定の3WAYになり、やがてそれをマルチアンプ・ドライブし、次に4333をしばらく聴いたのちに4341で今日まで一応落ちつく……というプロセスが、大まかに言ってここ十年あまりのわたくしのスピーカー遍歴だった。そう、もうひとつこれとは別系列に、KEFでアセンブリーしたイギリスBBC放送局のモニタースピーカーLS5/1Aの時代が併行しているが。
     *
けれど瀬川先生が最後まで手元に置かれていたKEFのLS5/1Aは、
ウーファーはグッドマン社製、トゥイーターはセレッション社製である。
LS5/1Aだけに限らない。
スペンドールの場合もトゥイーターには他社製のユニットを使っている。
ロジャースのPM510もトゥイーターはフランスのオーダックス製である。

ということは、必ずしもブランドが違うユニットを組み合わせて、うまくいくこともあることになる。

Date: 6月 1st, 2014
Cate: Jazz Spirit

Jazz Spirit Audio(その5)

“Friday Night in San Francisco”。
私は、このディスクをどの位置で聴きたいか、といえば、
ステージの上で聴きたい。
ギターの至近距離にいて、聴きたい。

だから、そういう音で鳴ってほしい、と思う。

昨年のインターナショナルオーディオショウのあるブースで鳴っていた“Friday Night in San Francisco”は、
正反対の鳴り方だった。
いわゆるハイエンドスピーカーに共通するスピーカーよりも奥に定位する鳴り方。
とはいえスピーカーと聴取位置の距離はさほど離れていない。
比較的近い距離でもあった。

でも心理的距離感が遠く感じる音だった。
ギターのひとつひとつの音が鮮明に鳴れば、近くに感じられるかというと、必ずしもそうではない。

まったく異る音楽のディスクであれば、こういう鳴り方がふさわしいと感じることもあろうが、
そこで鳴っていたのは“Friday Night in San Francisco”。

ライヴ録音ゆえに収録されている観客のざわめき、歓声。
そういった要素がうまく鳴ればなるほど、観客の昂奮とは反比例するかのように、
こちらの心は冷静になっていくような、そんな感触の音が鳴っていた。

インターナショナルオーディオショウの四ヵ月ほど前に、
JBLのD130で“Friday Night in San Francisco”で聴いていたから、よけいにそう感じたのかもしれない。

Date: 6月 1st, 2014
Cate: マルチアンプ

マルチアンプのすすめ(その31)

1970年代はスピーカーユニットの豊富さにかけては、いまよりも充実していた。
いまも国内外にスピーカーユニットを生産している会社がけっこうある。
それらからいくつものユニットが登場している。
単純にユニットの数だけで比較すれば(すべてが輸入されているわけではないが)、いまの方が多いかもしれない。

けれどユニットのバリエーションということでは、1970年代の方が充実していた。
そのころ、ステレオサウンドが出していたHI-FI STEREO GUIDEを見ては、
スピーカーはこれにして、アンプはれあれ、プレーヤーとカートリッジは……、と、
予算を決めては組合せをあれこれ夢想していた。

コンポーネントの組合せだけではない、
スピーカーの組合せもあれこれ夢想できていた時代だ。

ウーファーはこれを、エンクロージュアはこれを組み合わせて、
中高域はホーン型にするか、ドーム型でいくのか……、
予算だけでなく、スピーカー全体の大きさをどうするのか、
とにかくそんなことを夢想しているのが、とにかく楽しかった。

よくいわれていることにメーカーの異るユニットは組み合わせないほうがいい、というのがある。
例えばアルテックのウーファーに、JBLのコンプレッションドライバーの組合せ。

この組合せは実際にやった人もけっこういた、と聞いている。
実際にやったことのある人から話も聞いている。
まったくうまくいかなかった、と。

Date: 6月 1st, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その7)

いまも昔もアナログディスク再生に関係するアクセサリーはいろいろある。
どんな人出もひとつかふたつは持っていることだろうし、
多い人ならば、ありとあらゆるアクセサリーを持っていることだろう。

アナログディスク再生に関係するアクセサリーの中で、もっとも重要なアクセサリーであるにもかかわらず、
意外に持っていない人がいるモノ──、
水準器である。

水準器がなければ置き台(ラック)の水平を出すことはできない。
水準器を使わずに目視でわかる傾きはけっこう大きなもので、
そんな傾きは論外であり、置き台(ラック)は水準器を使って水平にする必要がある。

水準器には、オーディオ用のアクセサリーとして売られている円筒型の小さなモノがある。
ないよりはいいけれど、水準器はホームセンターで売られている、スパンのあるタイプがいい。

小さな円筒型だと、水平を正確にとった台の上にいくつも並べてみると、
けっこうバラツキがあるのがわかる、という話を聞いている。

置き台の天板の上に水準器を置く。
左右方向と奥行き方向、どちらも水準器を置いてみる。
このときひとつ注意したいのは、水平を出したあと水準器の向きを180度回転させてみることである。
こうして水平がとれているかどうかもチェックしておくこと。

Date: 6月 1st, 2014
Cate: audio wednesday

第41回audio sharing例会のお知らせ(試聴ディスクのこと・再掲)

いまJBLの4350について書いている。
その中でチャック・マンジョーネの「サンチェスの子供たち」のことについてふれたことで、
facebookで、このことが話題になった。
いくつかのコメントの中で、試聴ディスクについて知りたい、というのがあった。

最近では視聴と書く人が、少なくともインターネットでは多くなってきているが、
あくまでも試聴であり、試聴のためにかけるディスクを試聴ディスク、試聴LP、試聴CDという。

ステレオサウンドで働いていたから、かなりの数の試聴ディスクを聴いてきた。
それ以前、ステレオサウンドの読者だったころも、どんなディスクを使われているのかは非常に興味があった。

試聴ディスクとは、いったいどういうものなのか。
どういう基準によって、試聴ディスクを選ぶのか。

いわゆる優秀録音と呼ばれていれば試聴ディスクとして十分なのたろうか。

試聴といっても、例えばスピーカーやアンプの総テストでは、
かなりの数のスピーカーなりアンプを聴く。
そういうときに使うのも試聴ディスクである。

一方で新製品として登場してきたスピーカーなりアンプを聴くときに使うのも試聴ディスクである。

さらに試聴室でもいい、自分のリスニングルームでもいい。
あるシステムからいい音を抽き出すために調整していくために聴くディスクもまた試聴ディスクである。

試聴ディスクで、ひとつのテーマになる。

今月のaudio sharing例会では、この試聴ディスクをテーマにしようと思っている。

今月のaudio sharing例会は、4日(水曜日)です。
時間はこれまでと同じ、夜7時です。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 5月 31st, 2014
Cate: オリジナル

オリジナルとは(あるスピーカーの補修・その13)

いくつかの候補から、ひとつだけ消去法で外した。
そこは東京にある店で、条件的には問題ない。
エッジ交換のサービスも行っているし、技術もしっかりしてそうだった。

商売になるのであれば何でもかんでも売る店とは異り、そこはJBLの4300シリーズを中心に商売をやっている。
このことは好感がもてる。

にも関わらず、ここを真っ先に候補から外したのは、エッジ交換の技術とは直接関係のないことからだ。

ここは4300シリーズ以外に、その店独自のスピーカーシステムを製作している。
JBLのユニットを使っている。
しかもそれに4300シリーズにはない型番をつけている。

4300シリーズを好きで本当に理解している、と思わせる内容のスピーカーシステムであれば、
エッジ交換にここを選んだかもしれない。

だが実際の、この店オリジナルのスピーカーシステムは、
4300シリーズの魅力をほんとうに理解しているのだろうか、と疑いたくなる内容と外観である。

ここには、だから頼めない、と思った。
まったく心情的な理由から、外した。

Date: 5月 31st, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その6)

置き台(ラック)の設置でとにかく重要なことは水平をとること、そしてガタツキなく置くこと、である。

置き台(ラック)といっても、いくつかの構造がある。脚をもつモノもあれば、
四角い開放管(ヤマハのGTR1)の形状のモノもある。

ガタツキなく設置するのに適しているのは三点支持だから、脚は三本がいい──、
とは必ずしもならない。
スピーカーシステムの設置に関しても、三点支持がもっとも良いように捉えている人、
そう謳っているメーカーもあるが、少し冷静に考えれば、三点支持が理想的であるためには条件がある。

三点支持(三本柱)のラックと比較すれば、四本柱のラックは設置場所によってはガタツキが発生し、
ガタツキを取り除くにも、少しの慣れを要する。

開放管型のモノとなると、床との接地面積はぐんと広くなるわけで、ガタツキは発生しやすくなる。
どんなに重量があってもガタツキがあっては無駄になる。

ここでは具体的な手法については書かないが、
とにかく置き台(ラック)がガタついていては、何も始めてはならない。

ガタツキがなくなれば、というよりも、ラックによってはガタツキをとる作業そのものが、
水平を確保する作業にもなってくる場合もある。

Date: 5月 30th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その5)

アナログプレーヤーのための置き台を用意する。
それを部屋のどこかに設置する。

部屋のどこに設置するのかによっても音は変ってくる。
床の振動モードが置き場所によって違うこともあるし、
部屋のコーナーのように音が溜りやすいところと、
そうでないところでもハウリングマージンを含めて変化してくる。

とはいか、実際に置き台とプレーヤーを部屋あちこちに置いてみて音を出し聴いて、
ベストといえる位置を探し出すことがやれる人はいい。
すべての人がそういうわけにはいかない。

スピーカーの位置、聴取位置が決っていれば、
アナログプレーヤーを設置できる場所はある程度限られてくる。
部屋の広さによっても制約は違ってくる。
このあたりにしか置けない、ということもある。

それから使い勝手を優先すれば、どうしてもこの位置に置きたい、ということだってある。

ならば、その位置に置いて鳴らすしかないわけで、
そのために必要なことをやっていくのみである。

Date: 5月 30th, 2014
Cate: きく

音を聴くということ(試聴のこと・その8)

ステレオサウンドで働いて学んだことのひとつに、試聴という行為の難しさがある。
いろいろな人の、いろいろな試聴があった。
最初のうちは先輩がやっていたアナログプレーヤーの操作もいつごろからか私がやるようになっていた。
CDプレーヤーの操作なども含めて、試聴のオペレートをやってきて、
試聴とは、読者だったころに考えていたよりも、難しさを含んでいることを実感した。

スピーカーの特集記事のためにスピーカーをかなりの数集める。
それらのスピーカーを一機種ずつ、たいていは価格順(安い方から)試聴室に運び込み、聴いてもらう。
LP、CDを数枚、同じところをかけて試聴が終れば、試聴室から運び出し、次のスピーカーに入れ替える。
これをくり返すのが試聴である。

ここまでなら、ほとんどの読者が想像していることであるし、私もそういうものだと思っていた。
試聴とはそういうものではある。
けれど、実際の試聴は、こんなところまで厳格にしなければならないのか、と感じた。
試聴に関わるオーディオ評論家にとっても編集者にとっても、しんどさがある。

音を聴いているだけだろう、それのどこが……、と思う人は、
試聴のことを理解していない人である、と言い切れる。
それに、自分のシステムに対しても、厳しい姿勢で音を聴いていない、とも言い切れる。