マルチアンプのすすめ(その32)
違うブランドのスピーカーユニットを組み合わせるのは、いいとこ取りになるよりも、
どうもうまくいかないことが多いのかもしれない。
そういえば、瀬川先生もステレオサウンドがマルチアンプを特集したHIGH-TECHNIC SERIES-1にも書かれている。
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その頃は、こうした考え方に合致するユニット自体が殆ど作られていず、また、あまりにもいろいろの国のキャラクターの違うユニットの寄せ集めでは、周波数レインジやエネルギーバランスまではうまくいっても、かんじんの音色のつながりにどうしてももうひとつぴしりと決まった感じが得られなくて、やがて、帯域の広さでは不満が残ったが相対的な音の良さで、JBLのLE15A(PR15併用のドロンコーン位相反転式エンクロージュア入り)、375ドライヴァーに537−500ホーン、および075という、JBL指定の3WAYになり、やがてそれをマルチアンプ・ドライブし、次に4333をしばらく聴いたのちに4341で今日まで一応落ちつく……というプロセスが、大まかに言ってここ十年あまりのわたくしのスピーカー遍歴だった。そう、もうひとつこれとは別系列に、KEFでアセンブリーしたイギリスBBC放送局のモニタースピーカーLS5/1Aの時代が併行しているが。
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けれど瀬川先生が最後まで手元に置かれていたKEFのLS5/1Aは、
ウーファーはグッドマン社製、トゥイーターはセレッション社製である。
LS5/1Aだけに限らない。
スペンドールの場合もトゥイーターには他社製のユニットを使っている。
ロジャースのPM510もトゥイーターはフランスのオーダックス製である。
ということは、必ずしもブランドが違うユニットを組み合わせて、うまくいくこともあることになる。