Date: 5月 30th, 2014
Cate: きく
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音を聴くということ(試聴のこと・その8)

ステレオサウンドで働いて学んだことのひとつに、試聴という行為の難しさがある。
いろいろな人の、いろいろな試聴があった。
最初のうちは先輩がやっていたアナログプレーヤーの操作もいつごろからか私がやるようになっていた。
CDプレーヤーの操作なども含めて、試聴のオペレートをやってきて、
試聴とは、読者だったころに考えていたよりも、難しさを含んでいることを実感した。

スピーカーの特集記事のためにスピーカーをかなりの数集める。
それらのスピーカーを一機種ずつ、たいていは価格順(安い方から)試聴室に運び込み、聴いてもらう。
LP、CDを数枚、同じところをかけて試聴が終れば、試聴室から運び出し、次のスピーカーに入れ替える。
これをくり返すのが試聴である。

ここまでなら、ほとんどの読者が想像していることであるし、私もそういうものだと思っていた。
試聴とはそういうものではある。
けれど、実際の試聴は、こんなところまで厳格にしなければならないのか、と感じた。
試聴に関わるオーディオ評論家にとっても編集者にとっても、しんどさがある。

音を聴いているだけだろう、それのどこが……、と思う人は、
試聴のことを理解していない人である、と言い切れる。
それに、自分のシステムに対しても、厳しい姿勢で音を聴いていない、とも言い切れる。

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