Archive for category テーマ

Date: 9月 16th, 2021
Cate: ディスク/ブック

レンミンカイネン組曲

シベリウスのレンミンカイネン組曲。
いま、誰の演奏が高く評価されているのだろうか。

ほとんど、というか、まったく知らない。
私にとってのレンミンカイネン組曲は、
ユッカ=ペッカ・サラステ/トロント交響楽団による演奏でストップしたままだ。

菅野先生のところで、このディスクを初めて知って、初めて聴いた。
驚いた。
スピーカーから、こういう表情でシベリウスが響いてくるとは、
まったく想像できていなかったからだ。

オーケストラもトロントならば、録音場所もトロントである。
なのに北欧とは、こんな感じなのか、と錯覚できるほどに、
フィンランディアによる録音は素晴らしい。

今日、ふと思い出して、またTIDALで検索したところ、
MQA(44.1kHz)で配信されている。

こんな時間なので、ヘッドフォンで聴いていたけれど、
スピーカーで、しかも大きな音で聴いてこそだ。

それでも思うのは、ピストニックモーションを追求しただけのスピーカーからは、
絶対に、あの日、菅野先生のリスニングルームで響いていたシベリウスは再現できないこと。

Date: 9月 16th, 2021
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その12)

2014年に、マリア・カラスのEMIでのスタジオ録音すべてのCDボックスが出た。
69枚組で、25,000円ほどだった。

買おうかな、と思いつつも、他のCDを優先して買わずにいた。
2018年になって、タワーレコードからのメールで、かなり安くなったことを知る。
一万円を切っていた。

カラスのCDボックスには、139ページの本がついている。
写真やエッセイを集めたもので、附録とはいえないつくりだ。

カラスのCDもだけど、この本が見たかった(手に入れたかった)。
発売から四年経って、ようやく購入。

このCDボックスを、2019年1月のaudio wednesdayに持っていった。
マリア・カラスばかりをかけた回だった。

写真家の野上さんも来られていた。
カラスのCDボックスの本を見て、野上さんも購入されたくらいに、
この本の魅力は大きい。

いまではカラスのスタジオ録音は、TIDALで聴ける。
96kHzのMQA Studioで聴ける。
e-onkyoでも購入できる。

マリア・カラスの魅力を存分に味わいたければ、MQAで聴く。
なのでCDボックスで聴くことはなくなった。
おそらく、これからもないはずだ。

CDプレーヤーを買い替えることがあったら、
それぞれの良さを楽しむのに聴くことも出てくるだろうが、
いまのシステムでは、CDの出番は、マリア・カラスに限ってはない。

それではCDボックスを購入したのは、まったくの無駄とは思っていない。
価値が下ったとも感じていない。

それは本の存在があるからだ。

Date: 9月 16th, 2021
Cate: 新製品

JBL SA750(ARCAMのこと)

オーディオ関係のサイトで、
ハーマンインターナショナルがアーカム(ARCAM)の取り扱いを開始する、と記事にしている。
JBLのSA750のベースモデルのSA30も10月から発売になる。

今回の発表にひっかかったのが、PHILE WEBの記事だ。

そこには、
《なおハーマンインターナショナルが英国ブランドを取り扱うのは初めて。》
とあったからだ。

PHILE WEBの編集者は若い人ばかりなのだろうか。
それともハーマンインターナショナルからのリリースにそう書いてあったからなのか。

アーカムを取り扱うのは、今回が最初である。
けれど、アーカム以前に、ハーマンインターナショナルは英国ブランドを扱っていた。

SME、QUADがそうである。

Date: 9月 16th, 2021
Cate: ディスク/ブック

薬師丸ひろ子 40th Anniversary BOX

8月29日に、薬師丸ひろ子、歌手デビュー40周年記念CDボックスが出ることが、
発表になっていた。
十枚組で、すべてリマスターされている、ということだった。

聴いてみたいけれど、それだけなのか、とも半分くらい思っていた。
ユニバーサルミュージックなのだから、MQA-CDで出さないのか、と思ったからだ。

今日、新たな発表があった。
MQA-CDとのことである。

今月になって(私が気づいたのが9月であって、もっと前からだったのかもしれない)、
TIDALで、薬師丸ひろ子の「時の扉」が配信されるようになった。
MQA(48kHz)である。

どうしてだろう? と思っていたら、こういうことだったのか。
おそらく176.4kHzでのMQA-CDなのだろうと、勝手に期待している。

e-onkyoでの配信も始まるであろう、
TIDALでも始まるかもしれない。

「花図鑑」を、個人的にはいちばんMQAで聴きたい。

Date: 9月 15th, 2021
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その11)

AppleからQuickTimeが発表されたのは1991年。
私がQuickTimeによる動画を、Macで最初に見たのは、
ボイジャーが出していたエキスパンドブック(電子書籍)での、
ビートルズの動画だった。

モノクロの小さなサイズでの再生だった。
おーっ、と思った。

でも、それ以上に、何倍もおーっと思ったのは、
1998年か1999年のストリーミング機能によるジョブスの基調講演だった。

当時はまだアナログモデムでインターネットに接続していた。
56kbpsという、いまでは信じられないほどの遅さなのだが、
これでもリアルタイムで基調講演を見ることができた。

ウインドウのサイズは小さい。
画質も悪い。動きも滑らかとはいえない。
しかも回線が不安定になると切断される。

深夜2時3時に、なんどか接続しなおしながら、最後までみていたことを思い出す。
このときは、技術の進歩というものを実感できたし、ほんとうに昂奮した。
すごい時代が来た、というよりも、すごい時代が来る、という昂奮だった。

回線がデジタルになり、高速化され安定すれば──、
当時、あの基調講演をリアルタイムで見ていた人は、そう感じたに違いない。

ストリーミングではカクカクした動画であっても、
たとえば映画の予告編がQuickTimeムービーでダウンロードができるようになっていた。

20数MBの予告編動画をダウンロードするのに、
アナログモデムで二時間前後かかっていた。
途中で失敗することもあった。

それでもけっこうな予告編をダウンロードしては見ていた。
楽しめるだけの画質だったからだ。

この時、音楽を売ることが変っていく予感が生まれた、といってもいい。

Date: 9月 15th, 2021
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その10)

黒田先生の「聴こえるものの彼方へ」のなかの
「ききたいレコードはやまほどあるが、一度にきけるのは一枚のレコード」に、
フィリップス・インターナショナルの副社長の話がでてくる。
     *
ディスク、つまり円盤になっているレコードの将来についてどう思いますか? とたずねたところ、彼はこたえて、こういった──そのようなことは考えたこともない、なぜならわが社は音楽を売る会社で、ディスクという物を売る会社ではないからだ。なるほどなあ、と思った。そのなるほどなあには、さまざまなおもいがこめられていたのだが、いわれてみればもっともなことだ。
     *
1972年のことだ。
五十年ほど前に、フィリップスの副社長が語っていたことを、
レコード会社のどれだけの人が真剣に耳をかたむけたのか。

このフィリップス・インターナショナルの副社長の話は、何度も引用している。
今回も、タワーレコードの新宿店の規模縮小のニュースをきいて、
思い出したのは、このことである。

オーディオの世界は(レコード会社もふくめて)、
はやくからデジタル化に取り組んでいた。

1985年のCDの登場以前から、デジタル録音はレコード会社各社で、
それぞれ独自に行われていた。

なのに……、といまは思う。

アナログディスク、ミュージックテープ、CD、SACDなどのパッケージメディアを売る会社を、
レコード会社という考えに捕われていたのか。

レコード店に関しても、ディスクやテープといったモノを売る店ではなく、
本来は、音楽を売る店のはずだ。

レコード店が、独自に演奏を録音して売る、ということはほとんどないし、
実際にはレコード会社がつくったレコード(録音物)を売るわけだから、
レコード店は音楽を売る店のはずだ、というのは酷なことはわかっている。

それでも、こんなことを書いているのは、
どちらもディスクやテープといったモノを売ることばかりで、
音楽を売ることを、技術の進歩をにらみながら考えてこなかったのではないのか──、
そんなふうに思うからだ。

Date: 9月 14th, 2021
Cate: High Resolution, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その1)

メリディアンの218を導入して、今日(9月14日)で丸二年を迎えた。
この二年間はMQAの二年間だった、ともいえる。

特に今年はMQAどっぷりの一年になりつつある。

1月にはヘッドフォンとiPhoneだけでもMQAが再生できるようにと、
スティック型のD/Aコンバーター兼ヘッドフォンアンプも購入した。
音とは関係ないことだが、7月にはMQAのTシャツとマグカップも購入した。
8月からはTIDALで、ソニーによるMQAの配信が本格的にスタートした。

充実している、といえるのだが、
あくまでも個人的に、である。

日本のオーディオ界でのMQAの扱いは、
海外での扱い、私のなかでの存在の大きさからすれば、淡泊ともいえるし、
冷たいとも感じることがある。

音楽之友社のステレオは一度、特集でMQAを取り上げていた。
音元出版もMQAのことはけっこう取り上げている。

ステレオサウンドは? となる。
このことはいずれ書くかもしれないが一つだけ書いておく。

12月発売のベストバイの特集。
CDプレーヤーの写真には、CD、SACD、といった対応メディアの記載がある。
なのにMQAは、ない。

e-onkyoがMQAに積極的でいてくれるは助かるが、
それでもソニー・ミュージック、ソニー・クラシカルのアルバムのMQAを聴くには、
e-onkyoでは、いまのところ無理である。
これから先はどうなるかはなんともいえないが、TIDALしかないわけだが、
そのTIDALも日本でのサービスが始まりそうで、まだである。

四ヵ月足らずで今年は終る。
日本でMQAが盛り上るとは、いまのところ思えない。
来年、再来年はどうなるのか。

Date: 9月 14th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(コントロールアンプのこと・その21)

ラジオ技術の1977年7月号の石田春夫氏の記事のおわりに、
Independenceの製作にあたっての試聴に使った器材が記されている。

パワーアンプは、EL156パラレルプッシプルアンプ(1977年3月号掲載)、
スピーカーはJBLの4320、パラゴン、アルテックのA7、
それにマグネパンとある。

比較コントロールアンプも挙げられている。
ここがいちばん興味深い。

マランツのModel 7とオーディオリサーチのSP3A、そしてGASのThaedra。
Thaedraが入っている、と思った。
Model 7とSP3Aは管球式、Independenceも管球式だから、
この二機種が比較機種としてあるのは、誰もが納得するところだろう。

Thaedraはソリッドステート。ブランドの歴史も浅い。
ソリッドステートのコントロールアンプとの比較もわかる。

このころソリッドステートのコントロールアンプは、というよりも、
ほとんどの市販されているコントロールアンプはソリッドステートだった。

そのなかでのThaedraである。

なぜThaedraだったのか。
石田氏が所有されていたモノなのか、
それとも周りのオーディオ仲間の誰かが所有していたモノだったか、
そのへんのところははっきりとしない。

少なくとも、どうでもいいと思っているコントロールアンプを、
比較機種として選ぶことはしないだろう。

数あるソリッドステートのコントロールアンプのなかでThaedra。
そういう人がIndependenceをつくったのか、ということが、
ラジオ技術の記事を読んで、もっとも印象に残っている。

Date: 9月 13th, 2021
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その9)

2018年6月に、青山ブックセンターの六本木店が閉店した。
六本木にあった青山ブックセンターは、
AXIS、WAVEのとともに、六本木を象徴する存在のようでもあった。

それでも以前書いているように、
閉店の一年ほど前に、青山ブックセンターに行っている。
なんとなくなのだが、店内が薄暗く感じられた。

照明を落としているわけでもないのだろうが、そう感じた。
それに人が少ない、とも感じた。
店内に活気がなかった。

寂れてしまった感じだった。
そんなことがあったから、
青山ブックセンターの六本木店閉店のニュースには、強い驚きは感じなかった。
やっはり閉店なのか……、そんな感じかただった。

活気が失われていく店舗には、人は集まらなくなっていく。
はっきりと感じなくても、なんとなくでもそんなふうに感じたら、足が遠のきがちになる。

タワーレコードの新宿店は規模は縮小するけれど、閉店するわけではない。
けれど、いつかは閉店ということになるかもしれない。

渋谷店が閉店することは考えにくいが、新宿店はそうとはいえないだろう。

渋谷のタワーレコードよりも、新宿のタワーレコードを利用した回数はかなり多い。
六本木のWAVEよりも、多い。

便利な店だった。
でもワクワクすることがあったのかというと、それほどでもなかった。

六本木のWAVEに感じていたワクワクは、タワーレコードには感じられなかった。
だからといって、いま六本木のWAVEが、どこかに現れたとしてもワクワクするだろうか。

ワクワクするかもしれないが、そこでCDを買うのかとなると、
MQAでできるかぎり聴きたいと思っている私は、e-onkyo、TIDALだ。

便利な店とお世話になった店は同じではない。

Date: 9月 13th, 2021
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その8)

タワーレコードの新宿店が、いま改装している。
10月8日にリニューアルオープンの予定なのだが、規模は縮小される。

これまでは四フロアーが売場だったのが、二フロアーだけになってしまう。

新宿店開店当初のころからすれば、
ジャズ売場、クラシック売場ともにすでに縮小されている。

十年ほど前は、毎月25日ぐらいに行けば、
CDを山のように買い物カゴに入れている人が、必ず数人いた。

縮小される前から、そういう人が減っていった。
私自身、タワーレコードの店舗で買うことが減った。
店舗に行く回数もそうとうに減っている。

以前は、買う買わないに関係なく、なにかおもしろそうな新譜が入荷していないか。
それを確かめに行くだけでも楽しかったし、そのためだけに足を運んでいた。

けれど店舗で買うよりも、オンラインで買う方が多くなったのは、
ほとんどの人がそうだろう、と思う。

スマートフォンの普及とともに、新譜さがしはスマートフォンのほうが楽であるし、
移行してしまった、といえる。

そこに加えてe-onkyoで買うようになったし、TIDALも始めた。
こうなると、CDを買うのは、e-onkyo、TIDALにないものとなってしまった。

そういえば今年は新宿のタワーレコードには一度も行っていないことに気づいた。
渋谷店へは一回行っている。その程度になってしまった。
行くと閑散としている。

回数が減ったからといって、新しい音楽を聴いていないわけではなく、
TIDALで、むしろいままで以上に聴くようになった。

私同様、店舗に行くことが減った人でも、
CDを買う枚数に変化はない、もしくは増えている、という人はいるはずだ。

店舗で買わなくなった──。
店舗で買わなくなった、といえば、
ステレオサウンドの最新号、書店でみかけない。

売り切れてしまったのか、それとも……。
書店で見かけなくなったからといって、読んでいる人が減った、とはいえない。
私のように、Kindle Unlimitedで読んでいる人もいよう。

私だって、Kindle Unlimitedでまた読むようになったのだから、
ステレオサウンドを読む人は増えているのかもしれない。

そんな私だから、新宿店の規模縮小のニュースを聞いても、
そうかぁ──ぐらいでしかない。

いままでよくがんばってくれていた、と思う気持のほうが強い。

Date: 9月 12th, 2021
Cate: High Resolution

MQAのこと、TIDALのこと(オーディオラボのこと)

先ほど気づいたのだが、
TIDALで配信されていたオーディオラボのアルバムが消えていた。

すべてのオーテディオラボのアルバムが配信されていたわけではなく、
“Side by Side”が二枚と柳兼子のアルバムも二枚。
他に数枚あったが、私が知っている限りではそう多いわけではなかった。

音はよく感じなかった。
こんな程度なの? と聴いて、そう感じた。

配信されていたアルバム数も音(クォリティ)も中途半端のように感じた。
なので、勝手な推測なのだが、これら数枚のオーディオラボのアルバムは、
オクタヴィアからではなく別のところからではなかったのか。

オクタヴィアから発売される以前に、
クラウンレコードから発売されていたことがある。
そうなのかしれない。

TIDALから、オーディオラボのアルバムが消えてしまって、寂しいわけではなく、
むしろ期待している。
オクタヴィアが、きちんとリリースしてくれるのではないか、と。

オーディオラボのアルバムは、e-onkyoで購入できる。
DSF、flac、WAVでラインナップされている。
だからTIDALではMQAでの配信を期待している。

MQA Studioで、88.2kHzか176.4kHzで出てきてほしい。

いまはタイトルに(その1)とつけていない。
出たら(その2)を書くし、この投稿のタイトルに(その1)とつけることになる。
その日が、早く来てほしい。

Date: 9月 12th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(コントロールアンプのこと・その20)

石田春夫氏の名前で検索してわかるのは、
石田氏はソニーを退社されてからハルアンプを始められた、ということ。

ラジオ技術には石田春夫で登場されているが、
無線と実験には石田春雄となっている。

ラジオ技術では、1977年11月にも、パワーアンプの記事を書かれている。
EL156のプッシュプルアンプで、Junior Battlerのはずだ。

無線と実験では、
1978年5月号掲載の「理想のオーディオ・ケーブルを求めて」というテーマで登場されている。

Independenceのラインアンプはカソードフォロワーの二段構成。
カソードフォロワーだから一段であっても信号の極性は反転しない。
にもかかわらず二段構成としているのは、
レベルコントロールまわりのアースの処理からだろう。

通常のアンプではライン入力は、
レベルコントロール(ポテンショメーター)、ラインアンプという信号経路である。

Independenceは、カソードフォロワー、レベルコントロール、カソードフォロワーとなっている。
1980年代のラジオ技術に掲載された富田嘉和氏の記事を読まれた方ならば、
こういう構成にしている理由がわかるはずだ。

実際のIndependenceのレベルコントロールのアースの配線がどうなっているのかは、
実機を見ているわけではないのでなんともいえないが、
考え方として富田嘉和氏と共通するところがある、と思っている。

Date: 9月 12th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(コントロールアンプのこと・その19)

ハルアンプのIndependenceについて、知り得たことがあるので補足しておく。

週末に、Independenceの製作記事があります、という連絡をいただいた。
ラジオ技術の1977年7月号に載っている。
記事をスキャンしたものを送ってもくださった。

石田春夫氏という方が記事を書かれている。
ほぼまちがいなく、この石田氏がハルアンプの主宰者のはずだ。

ハルアンプの存在を知ってから、なぜ「ハル」なのかがわからなかった。
記事を送ってくださった方は、春夫だからハルなのでは、ということだった。

いわれてみるとそうである。
春を告げるアンプという意味も込められているのかもしれない。

ラジオ技術の記事を読むと、1977年3月号には、
EL156のパラレルプッシュプル、出力100Wの記事があることもわかる。
これが、おそらくハルアンプのBattlerのはずだ。

記事はTypeIIではないIndependenceであり、
当然のことだが、回路図と回路の説明、それからプリント基板のパターンも知ることができる。

Independence TypeIIの回路図は、無線と実験の1979年7月号に載っている。
こちらは回路図のみである。

アンプ部に関しては、IndependenceとIndependence TypeIIの違いは、
ほとんどない、といえる。
定数にわずかな変更があるくらいだ。

ただし電源部は違う。
Independence TypeIIでは、ヒーター用、B電圧、どちらも定電圧化されている。
ヒーター回路は三端子レギュレーターで、
高圧のB電源回路はトランジスター四石(うち二石は誤差増幅、残り二石が制御用)で構成。

Independence TypeIIには、
フロントパネルをゴールド仕上げにしたIndependence TypeIIGがある。
ステレオサウンド 54号の新製品紹介に登場している。

Independence TypeIIGは、高信頼管の採用とともに電源回路が左右独立している。
このIndependence TypeIIGの音にも興味はあるが、
SAEのMark 2500と組み合わせることが前提であれば、Independence TypeIIである。

Mark 2500にゴールド仕上げのフロントパネルに似合わないからだ。

Date: 9月 11th, 2021
Cate: スピーカーの述懐

あるスピーカーの述懐(その15)

聴き手しか求めないスピーカーがあるような気がしている。
鳴らし手を求めているスピーカーが、一方にある。

弾き手を求めるスピーカーも、あってほしい。

Date: 9月 11th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(コントロールアンプのこと・その18)

メリディアンの218は、固定出力にも可変出力にも設定可能であるから、
SAEのMark 2500とのあいだに音量調整機能は不要といえば、そうである。

昨年まで毎月第一水曜日にやっていたaudio wednesdayでは、
218の機能を使って音量調整をやっていた。

ときおりインターネットでみかけるのは、
コントロールアンプを使うのがいいのか、
それともD/Aコンバーターが218と同じように音量調整機能があるのならば、
パワーアンプと直結してしまうのがいいのか、
デジタル領域での信号処理がイヤならば、
パッシヴ型フェーダーを介したほうがいいのか、
そんなことを悩む人がいる。

私は、どれでもいいじゃないか、と最近では考えるようになった。
どれがいいのか、ということよりも、
それぞれの方式の良さを楽しもう、と思うようになったからだ。

コントロールアンプを介するのならば、
介することの面白さを存分に楽しみたい。

なので、ここでのコントロールアンプ選びとは、
優れたコントロールアンプ選びということではない。